公益財団法人
ウイルス肝炎研究財団
Viral Hepatitis Research Foundation of Japan
ウイルス肝炎・肝がんの制圧をめざして
当財団は、この趣意書に賛同する各方面の多数の方々からのご支援の下に
昭和56年 (1981年) 4月に発足し、今日に至っています。
財団法人ウイルス肝炎研究財団設立趣意書
現在わが国には、急性の肝臓病(急性肝炎年間35万人、劇症肝炎年間4千人)および慢性の肝臓病(慢性肝炎130万人、肝硬変38万人、肝癌1万8千人)、あわせて約200万人の肝臓病の患者が存在する。また死因統計によれば、肝硬変による死亡は年間1万6千人を数え、わが国死因順位の8位となっている。しかもこれらの肝疾患が成人期に多発し、経過が長期そして慢性にわたるため、患者の家族、家庭生活に及ぼす影響も大きく、また職場においても長期欠勤、休職の大きな要因の一つとなっている。成人の死因順位では脳血管障害、癌、心血管障害についで第4位を占めており、近年徐々に増加の傾向がみられている。肝疾患が21世紀の国民病といわれる理由もここにある。
しかも、これらの肝疾患は、近年の研究によって肝炎ウイルスと密接な関連を持つことが明らかにされたのである。その結果、病原に対する対策の基礎も十分に固められつつある。肝炎患者の約半数がB型肝炎ウイルスの持続感染者であり、また症状のないいわゆる無症候性のB型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリアー)がわが国には約300万人、WHOの調査をもとにすると地球上には約1億7千万人が存在し、しかもその4分の3がアジア太平洋地域に存在しているものと想定されている。これらのキャリアーの約10%に肝疾患を発症するともいわれている。
また、これらのHBVキャリアーは輸血、院内感染などにより、B型肝炎の感染原となるとともとに、家族内感染とくに母児感児と通じて、HBVキャリアーをさらにつくる素地ともなっている。
このように肝疾患と肝炎ウイルスとの関連が明らかにされ、輸血後肝炎の予防に関しては献血制度の推進、供血者に対するHBs抗原のスクリーニングなど種々の対策がとられそれ相応の成果が挙げられて来た。しかし、根本的な予防対策に必要な手段については、なお真剣な検討が続けられている。わが国の研究者の努力によって、ようやく肝炎ウイルスに関する研究が急速に進展し、ワクチン、免疫グロブリンによる発症予防の可能性も現実的なものとなるとともに、治療方法、患者等の管理方法にも新しい進歩が見られ始めたところである。
以上のような研究成果を基礎に、さらに公衆衛生活動の中で肝疾患対策を確立するために具体的な技術開発を進め、その結果を国内外に普及することが現時点での急務と考える。
そのためにも、政府の施策のみならず、民間サイドからも、きめこまかい研究体制づくり、あるいは研究成果の普及についての協力が必要であり、ここに「ウイルス肝炎研究財団」を設立し、国とともに国民の健康と福祉の増進に寄与しようとするものである。
昭 和 55 年 11 月
財団法人 ウイルス肝炎研究財団設立発起人
この趣意書に賛同する各方面の多数の方々からのご支援の下に、当財団は、翌昭和56年(1981年)4月に発足した。
財団法人 ウイルス肝炎研究財団
設立時役員
稲山 嘉寛
花村仁八郎
織田 敏次
【理事】
ウイルス肝炎の知識普及に役立てていただくことを目的として
これまでの研究成果を簡潔にまとめて作成した小冊子です。
冊子の内容はご自由にダウンロードして肝炎相談に役立てて下さい。