蓄電池の導入を検討しているものの、補助金は国が打ち切ったと聞いて導入をためらっていませんか。
事実、国の補助金は終了しています。しかし、蓄電池がもたらす家計へのメリットは、計り知れません。
また、条件次第では地方自治体の補助金制度を利用できるほか、国からも補助が受けられる可能性があります。
この記事では、国からの補助金が打ち切られた理由と、蓄電池を導入するメリットを詳しく解説します。
地方自治体による補助金制度を知りたい方や、補助金に頼らず費用を抑えて蓄電池を導入する具体的な方法を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
国が主導する家庭用蓄電池に対する補助金制度は、すでに終了しています。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、FIT制度が開始された初期には、太陽光発電システムと連携する蓄電池導入に対し、多くの補助金が設けられました。
これは、再生可能エネルギーの普及を後押しするための施策です。導入費用の一部を国が負担することで、一般家庭への普及を促進する目的がありました。
しかし、これらの補助金は太陽光発電の導入が一定の普及率に達し、市場が成熟するにつれ、段階的に廃止されています。
現在では、国が実施する大規模な家庭用蓄電池の補助金は打ち切られているか、形式を変えた補助が設けられています。
国による蓄電池補助金が打ち切りになった理由は、大きく分けると3つあります。
一つ目は、太陽光発電システムおよび蓄電池の市場が成熟し、初期の普及段階を脱したためです。導入費用が初期に比べて低減したことも、補助金制度が見直される要因となりました。
二つ目は、補助金の目的が達成されたと判断されたためです。再生可能エネルギーの導入促進という目標がある程度達成されたことにより、政策の焦点は次の段階へと移行しています。
三つ目は、財政的な制約です。無限に補助金を継続するわけにはいかず、他の政策への予算配分も考慮する必要があるため、補助金制度の継続は困難になりました。
補助金が打ち切られても、蓄電池を導入するメリットはあります。
特に自家消費率を高め、電気料金の削減に貢献する点は大きな魅力です。電力会社から購入する電力量を減らし、太陽光発電で得た電力を効率的に利用できます。
また、電力の安定供給にも寄与し、停電時の非常用電源としても活用できます。災害時にも電力を確保でき、安心感につながるでしょう。
ピークシフトやピークカットによる電気料金の最適化も図れ、経済的なメリットも期待できます。
ここでは、蓄電池を導入する2つのメリットを詳しく解説します。
蓄電池を導入すると、日中に太陽光発電で発電した余剰電力を貯めておけます。
貯めた電力は、太陽光発電が稼働しない夜間や曇りの日に利用可能です。
これにより、電力会社から購入する電力量を削減できるため、電気料金の節約につながります。特に、電気料金が値上がり傾向にある現状で自家消費率を高めることは、家庭の電気代を抑える有効な手段となるでしょう。
蓄電池は、災害などによる停電が発生した際でも貯められた電力の使用が可能です。
公共電力網からの供給がストップする状況であっても、照明や冷蔵庫などの生活に必要な最低限の電力を確保できます。
ただし、特定の回路に限定して電力を供給する特定負荷型や、家全体に電力を供給する全負荷型など、種類により停電時の対応範囲は異なります。
国からの補助金が打ち切られても、地方自治体では独自の蓄電池に関する補助金制度を設けています。
地方自治体の補助金は、地域ごとの特性や政策目標に応じてさまざまな形で提供されており、再生可能エネルギーの普及促進や防災対策を目的とするものがほとんどです。
ここでは、以下の3つの補助金制度を紹介します。
それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。
東京都江戸川区では、気候変動に備え、脱炭素を目指す「補助金制度」を実施しています。
再生可能エネルギーの自家消費を促し、CO2排出量の削減に貢献することが目的です。
2025年4月1日時点では、太陽光発電システムと定置型蓄電池の申込みは終了し、ポータブル電源、電気自動車等、再エネ100%電力のみが受付可能です。
自治体名 | 東京都江戸川区 |
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補助対象者 | 江戸川区内に住所を有する個人で、住民税の滞納がない方(※(注記)太陽光発電システムと定置型蓄電池は購入前に申請必須) |
補助額 | 経費の1/4(上限200,000円) |
募集期間 | 太陽光発電システム、定置型蓄電池は5月8日(木曜日)で受付を終了 |
北海道札幌市では、「再エネ省エネ機器導入補助金制度」を実施しています。再生可能エネルギーや省エネルギー機器の導入を促進するための制度です。
主な対象機器は、以下の5つです。
定置用蓄電池であれば、1kWhあたり2万円(上限8万円)の補助を受けられます。
ただし、合計出力1.5kW以上の太陽光発電設備との接続、蓄電容量が2.0kWh以上であること、本体の購入費用が1台あたり100,000円以上(税抜き)であることなどが要件です。
自治体名 | 北海道札幌市 |
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補助対象者 | 札幌市民 |
補助額 | 1kWhあたり2万円(上限8万円) |
募集期間 | 第1回:2025年5月7日〜7月9日(抽選予定日:7月23日)
第2回:2025年9月1日〜11月5日(抽選予定日:11月19日) |
福岡県福岡市が実施する住宅用エネルギーシステム導入支援事業は、市内の住宅に太陽光発電システムや蓄電池などを導入する市民を対象とした補助金制度です。
再生可能エネルギーの利用促進と、災害に強いまちづくりを目的としています。
戸建て、集合住宅問わず、上限40万円として本体価格の1/2までの補助を受けられます。
自治体名 | 福岡県福岡市 |
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補助対象者 | 【個人】 ・自ら所有する住宅又は所有者以外が居住している個人所有の住宅に、補助対象システムを設置する者 ・補助対象システムが設置された住宅を購入する者 |
補助額 | 本体価格の1/2(上限40万円) |
募集期間 | 令和8年2月27日(予定) |
国による蓄電池の補助金はすでに打ち切られていますが、特定の条件を満たせば、以下の制度を利用できる可能性があります。
これらは、蓄電池単体の導入を目的としたものではなく、特定の目的達成のためにその一部が認められる場合に適用されます。
子育てグリーン住宅支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯が省エネ性能の高い住宅を取得する際に利用できる補助金制度です。
ZEH住宅や長期優良住宅などの要件を満たす住宅で、太陽光発電システムや蓄電池を導入する費用の一部が補助対象となる場合があります。
制度の目的は、住宅の省エネ性能向上と再生可能エネルギー導入の促進です。
DR家庭用蓄電池事業は、デマンドレスポンス(DR)に協力する家庭を対象とした補助金制度です。
デマンドレスポンスとは、電力需給がひっ迫した際に、家庭の電力使用量を抑制することで電力系統の安定化に貢献する取り組みです。
この事業では、DRに対応可能な機能を持つ家庭用蓄電池の導入費用の一部が補助される場合があります。
出典:DR家庭用蓄電池事業
補助金制度を利用する際は、以下4つのポイントに注意しましょう。
場合によっては補助を受ける機会を逃したり、トラブルになったりする可能性があります。
補助金制度には、申請期限が設けられています。
期限を過ぎると、条件を満たしていても補助金を受け取れません。
申請書類の準備には時間がかかる場合があるため、早めに情報収集を開始し、余裕を持って手続きを進めましょう。
補助金の申請タイミングは、制度によって異なります。
工事が完了してから申請を受け付ける制度や、補助金の交付が決定した後に工事業者と契約しなければならない制度があるため注意しましょう。
間違ったタイミングで契約や工事を進めてしまうと、補助金の対象外となる可能性があります。
多くの補助金制度は、予算が定められています。
予算に達すると、期間内であっても受付が終了となるケースは少なくありません。
特に人気の高い補助金は、予算が早い段階で枯渇する傾向が見られます。そのため、補助金制度の利用を検討している場合は早めに申請準備を進め、受付開始と同時に申し込むなど、迅速に対応してください。
補助金制度は、国や地方自治体などの複数の団体が提供するケースがあります。
これらの補助金をそれぞれ活用すれば、安く済ませられると考えがちですが、実際は併用できないケースが多いです。事実、国の補助金と地方自治体の補助金を同時に利用することは、原則として認められていない場合も少なくありません。
申請する際は、事前にそれぞれの補助金制度の要項を確認し、併用の可否を必ず把握しましょう。
補助金なしでも蓄電池を安く導入するポイントは、3つあります。
ここでは、補助金なしで蓄電池を安く導入するポイントを詳しく解説します。
蓄電池の最新機種は新しい機能や高い性能を持っていますが、高額になりやすいです。
導入費用を抑えたい場合は、型落ちモデルやひとつ前の世代の機種を検討するとよいでしょう。
古い機種でも、十分な性能と機能を有しているケースは珍しくありません。最新機種に比べて大幅に費用を抑えられる可能性があるため、事前に必要な機能を把握し、それに合った機種を選んでください。
蓄電池の本体価格は、販売店によって異なります。
複数の販売店から見積もりを取得し、価格を比較検討しましょう。
また、本体価格だけでなく、工事費用や保証内容なども含めた総額で比較すると、お得な販売店を見つけやすくなるでしょう。比較サイトや一括見積もりサービスの活用も適しています。
蓄電池の容量は、価格に大きく影響します。容量が大きいほど、1kWhあたりの費用は低くなる傾向にありますが、家庭の使用電力に合わない過剰な容量の蓄電池を選んでも、無駄な費用が発生するだけです。
したがって、家庭で普段使用する電力量や災害時の備えとして必要な電力量を把握し、適切な容量の蓄電池を選ぶ必要があります。
家庭の使用電力に合った容量の蓄電池を選べば、初期費用を抑えつつ最大の効果が得られるでしょう。
国による蓄電池の補助金は打ち切られましたが、地方自治体による独自の補助金制度は多数あります。
これらを上手に活用すれば、費用を抑えて導入できる可能性は高まります。
制度の利用にあたっては、申請期限やタイミング、併用の可否などを必ず確認し、計画的に進めましょう。
補助金が利用できない場合は、最新機種を避ける、本体価格の安い販売店を選ぶ、家庭の電力使用量に合った容量を選ぶなどの工夫をすると、導入費用を削減可能です。
株式会社TANAKAでは、お客様のニーズに合わせた最適な蓄電池のご提案と、導入に関する具体的なサポートを提供しています。蓄電池に関するご相談は、ぜひ当社までお問い合わせください。