令和7年度*第2層生活支援コーディネーターの活動報告*第2エリア(手稲中央・手稲鉄北・稲穂金山・星置)
手稲鉄北地区:山口団地連合自治会による1日八百屋さん
10月28日に、山口団地連合自治会による団地住民向けの青果販売のイベントを見学しました。今年の6月に1回目のイベントを行い、今回(10月)が今年2回目のイベントです。
当日、開始予定時刻14時の15分くらい前に会場の山口団地会館に到着したところ、玄関前には既に行列ができており、みぞれが降る寒い日だったため、開始時刻を早めて販売を開始したとのことでした。
会館の玄関とロビーに設けた売り場には、大玉の白菜やキャベツ、かぼちゃ、大根、人参、じゃがいもなどの野菜に加え、柿、みかん、梨、シャインマスカットなどの果物、さらにはカレイやホッケの干物まで、ずらっと品物が並んでいました。青果卸のお仕事をされている連合自治会役員の方の伝手でお安く商品を仕入れることができたそうで、長ネギ1束100円、白菜1玉200円、シャインマスカット1パック500円など格安です。
売り場でお客さんに声をかけている売り子さんのお顔に見覚えが・・と思ったら自治会の役員さん。役員に加え、住民有志の方々も売り子や会計など運営を担う、いわば団地住民による団地住民のための1日八百屋さんです。
売り子さんもお客さんも団地の住民ということもあり、「好きなの選んでいいよ!」「一番いいのを選んでよ!」など、和気あいあいとした雰囲気のやり取りもありました。
写真左:白菜1玉200円!格安です。 写真右:住民同士ですが、今日は売り子さんとお客さんです。
そして、代金のやり取りは直径5センチくらいの大きな金色のおもちゃのコインで行います。玄関前で、会計担当の方が現金とコインとの両替を行っており、お客さんはそのコインを使って100円の商品なら1枚、200円なら2枚を使ってお買い物します。おもちゃのコインだと数えやすく、お釣りの計算や受け渡しもいらなくなるため、高齢者にもやさしく、売り子さんの負担も少ないように見えました。
この日お買い物をされた女性の方にお話を聞いたところ、普段はバスに乗ってスーパーまで出かけているそうで、「ここ(団地会館)だと家から近いから、たくさん買っても持って帰れる」と2つのエコバックにたくさんの野菜や果物を詰めて帰っていきました。
高齢化が進む山口団地は徒歩圏内にスーパーがなく、定期的に来る移動販売車が住民の買い物の場となっていますが、それに加え、今回のように、近場で買い物ができ、外出機会や住民同士の交流にもなるとても参考になる取り組みでした。
手稲鉄北地区:今年度2回目の「包丁研ぎ」の取り組み報告です
手稲鉄北地区において"ちょっとした生活の支え合い"として、行っている「包丁研ぎ」の取り組みの今年度2回目(曙地区)の報告です。
曙地区では、昨年から鉄北コミュニティプラザで包丁研ぎの機会を設けています。
昨年は、曙地区で実施するのが初めてで試行ということもあり、コミュニティプラザで活動している自主運動サークル「ロコトレサークル」の参加者にチラシを配布し周知しました。今年はこの取り組みをもっと広げようと、手稲鉄北地区福祉のまち推進センター(福まち)の事務局の皆さんと相談し、コミュニティプラザの周りの町内会へのチラシ回覧、コミュニティプラザ入口へのポスター掲示などにより周知し、当日は21名の住民の方が包丁を持って来られました。
研ぎ手は6月の稲山地区と同様にお二人で、21本の包丁を2時間もかからずに研いでいきました。中には、包丁を研いでくれるところを見てみたいという方もおり、研ぎ手の隣に座って見学し、研ぎ方や手入れの仕方を教えてもらっていました。
また、刃が錆びてしまった包丁を持って来て「自分の家の砥石では研ぐのが難しい」という方に対しては、「こういう錆がある包丁は、最初に荒砥石で研がないといけないんだよ」と砥石の違いを見せてアドバイスする様子もありました。
この日は、同じ時間帯にコミュニティプラザの2階でロコトレサークルが活動していることもあり、研ぐのを待っている間にサークルの体操を見学できるよう、福まちからサークルの関係者に見学受入れをお願いしてくださっていました。実際に、包丁を預けて「体操を見学してきます」という方もおり、このうちお二人がサークルに加入することになりました。
後日、福まちへは研いだ包丁を使ってみた感想が寄せられ、「早速柿の皮をむき、心地よい切れ味でした」、「人参の乱切りもスパスパ切れました」と好評だったことに加え、「持参した包丁は娘の修学旅行のお土産でした。これからも大事に使っていきたいです」との包丁に込められた想いも届きました。
試行錯誤しながら進めているこの取り組みですが、引き続き、福まちの皆さんや研ぎ手とも相談しながら、より良い取り組み、地域に根付く取り組みにできるよう、工夫していきたいです。
写真左:会館にポスターを貼って周知 写真右:包丁を研ぐ様子を見学し、研ぎ方を教わる
稲穂金山地区:生活支援推進連絡会で高齢者の生活の困りごとや支え合いについて話し合いました
6月25日(水)に、金山地区の生活支援推進連絡会を開催しました。前回(令和7年2月)に続き2回目で、今回も地域の町内会長、民生委員、地区福祉のまち推進センター事務局、まちづくりセンター、地域包括支援センター等の皆さんに集まっていただき、地域の高齢者の生活のお困りごとの共有、解決のためのアイディア等について意見交換しました。
出席者の皆さんからは、地域の高齢者のお困りごととして、買い物、通院などで移動が大変な様子を見聞きするとのご意見が出されました。バスで買い物に出かけたとしても、帰りは荷物を持って坂を上らなければならない、通院するにもタクシーの確保が容易ではないといったお話があった一方、顔見知りの住民同士であれば一緒に乗せていってあげるといった助け合いも行われているとのお話もお聞きすることができました。
また、以前は地域の会館に来ていた移動販売車がお店の事情により来られなくなったとのお話もあり、今後のさらなる高齢化を見据えると、買い物や移動の問題について地域の皆さんと考えることの必要性を改めて認識する会議になったのではないかと思います。
果たして担い手が見つかるだろうか?といった課題も出されていましたが、非常に前向きな意見が飛び交う会議でした。
今後は、コーディネーターにおいて、有償でちょっとした困りごとへの対応を行っている事例や、移動支援に取り組む際の制度的な枠組み、既に取り組んでいる事例など、参考となるような情報を収集して提供し、皆さんと引き続き検討していく予定です。
手稲鉄北地区:今年も「包丁研ぎ」の取り組みが始まりました
手稲鉄北地区において"ちょっとした生活の支え合い"として、令和5年度から行われている「包丁研ぎ」の取り組みが今年も始まりましたので、その様子をご紹介します。
コーディネーターが今年の包丁研ぎについて、手稲鉄北地区福祉のまち推進センター(福まち)や包丁研ぎのボランティア・満保さんと相談しようと思っていた矢先の5月下旬、地域の居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんからあるご相談を受けました。
ご相談は、同じ手稲鉄北地区内にある老人ホームにお住まいの方が、包丁を研ぐのが得意だけれどなかなか特技を活かす機会がなく、「包丁を研いであげたい」というご本人の希望を叶えてあげたいというものでした。手稲区社協が発行している生活支援体制整備事業の広報紙で手稲鉄北地区の包丁研ぎの取り組みを知ってくださってのご相談でした。
昨年度の2層協議体で地域の皆さんと包丁研ぎの取り組みについて振り返りをした際には、「今後も取り組みを継続していくためには、新たな研ぎ手も必要」とのご意見もあったところ、今回のお話は願ってもないことで、福まちの皆さんや満保さんの賛同も得て、新たな研ぎ手を迎え入れることになりました。
早速、6月19日(木)に今年の最初の包丁研ぎをやると決まり、当日は、満保さんと新たな研ぎ手・髙橋さんの2人体制で、稲山連合町内会のサロン「いなやま会」のメンバーが持ってきた包丁、はさみ、鎌を研ぐことになりました。
新たな研ぎ手の髙橋さんも、手際よく次々と包丁や鎌を研ぎ、「昔、大工をしていたから、みんなが『包丁を研いでほしい』と持って来たんだよ」となつかしそうにおっしゃり、研ぐ作業の中で包丁の刃を指先で確かめる仕草は、さすが職人と思わせるものでした。
※(注記)写真左:2人で次々と包丁を研いでいきます 写真右:楽しくおしゃべりしながら待つ地域の皆さん
包丁を研いでもらいに集まったいなやま会メンバーの皆さんは、「今日の夕飯は何にしようかな?」「何がいいと思う?」など、調理するのを楽しみに、おしゃべりしながら研ぎ終わるのを待ちました。9人分、15丁ほどの刃物をお2人で分担して研ぐと1時間ちょっとで終わり、予定よりも早めに終了することができました。
コーディネーターの仕事は、ちょっとした生活の困りごとを解決する仕組みづくりのお手伝いなのですが、そこには担い手の発掘、すなわち高齢者の社会参加を応援することも含まれます。包丁研ぎに限らず、様々な特技をお持ちの方に活躍していただけるよう活動していけたらと思います。
なお、手稲鉄北地区ではまだまだ研ぎ手を募集しています。得意だよ!という方は、手稲区社協までご連絡をお待ちしています!
稲穂金山地区:稲穂会館の「スマイルオレンジチーム in いなかな福祉デー」に伺いました
4月14日(月)に、稲穂会館において、いなかな福祉デー(注)の一環で開催されている「スマイルオレンジチーム」に伺ってきました。
「スマイルオレンジチーム」は、認知症の方やご家族の社会参加、認知症に関する普及啓発のための活動の拠点で、地域包括支援センターのオレンジコーディネーターが担当しており、誰でも参加でき、途中参加、途中退席も自由です。
認知症の方やご家族、地域の方が集まって語らったり、認知症について知ったり・知ってもらう方法を考えたり、やりたいこと・やってみたいことのアイディアを出し合ってやってみたりと、いろいろな活動をし得る場となっています。
第2地域包括支援センターでは、毎週、手稲区民センターを拠点としてスマイルオレンジチームを開催しているほか、月1回、稲穂会館でも出張開催しています。
スマイルオレンジチームには、認知症に関する本やリーフレットも用意されており、自由に手に取って読むこともできます。この日は、参加された地域の方が、認知症の方の気持ちを描いた絵本を手に取り、読み聞かせをしてくださいました。その様子を見た嶋津オレンジコーディネーターから、「6月のふれあい交流ランチ会で、住民の方に認知症について知ってもらうための催しを考えているので、そのときに絵本の読み聞かせをしてくれませんか?」とのオファーが出され、快くお引き受けされていました。
令和6年1月に施行された認知症基本法では、認知症になると何もできなくなるという考えではなく、認知症になってもできること・やりたいことがあり、地域で仲間等とともに希望を持って自分らしく暮らすことができるという「新しい認知症観」が示されています。この新しい認知症観に立つことがすべての取り組みの出発点となるため、住民の皆さんに「認知症について知ってもらう」ことはとても大切なことだと思います。
生活支援コーディネーターも"高齢者の方々がいつまでも住み慣れた地域で自分らしく暮らせるように"という同じ目的に向かって活動しています。認知症の人もそうでない人も、できることを活かして自分らしく暮らせるような地域づくりのお手伝いをしていけたらと思います。
(注)いなかな福祉デーは、地域のまちづくり協議会である稲穂金山活性化推進委員会が中心となって行っている稲穂金山地区の福祉の総合的な取り組みで、月1回(原則第2月曜)稲穂会館で、福まちと区社協による「困りごと相談」、介護予防センターによる介護予防教室「すこやか倶楽部」、地域包括支援センターによる「スマイルオレンジチーム」、まちづくりセンターによる「フードドライブ事業」が行われています。
お問い合わせ
札幌市手稲区社会福祉協議会
006-8612
札幌市手稲区前田1条11丁目 手稲区民センター1階
電話:011-681-2644(直通)
FAX:011-684-8560