$Date: 2025年11月20日 15:09:00 $
拡張ライセンス(YSL-VPN-EX)はヤマハルーターの VPN、および外部接続に関する機能を拡張するためのライセンスです。ライセンスをインポートすることでインターフェース数や最大対地数を増加させることができます。
拡張される機能の内容は品番ごとに異なります。詳しくは「4-1. 拡張される機能」を参照してください。
拡張ライセンスはヤマハルーターと1台ごとにシリアル番号で紐づけられています。複数のヤマハルーターで拡張ライセンスを使用する場合、適用台数分の拡張ライセンスを購入する必要があります。購入後は、更新費用は必要なく無期限で拡張ライセンスを利用できます。オンライン認証は行わないため、インターネットに接続されていない環境でも拡張ライセンスを利用できます。
価格については製品ページを参照してください。
ヤマハルーターでは以下の機種、およびファームウェアで、拡張ライセンスをサポートしています。対応機種は品番ごとに異なります。
| 品番 | 機種 | ファームウェア |
|---|---|---|
| YSL-VPN-EX1 | RTX830 | Rev.15.02.22以降 |
| YSL-VPN-EX2 | RTX1300 | Rev.23.00.14以降 |
| YSL-VPN-EX3 | RTX3510 | すべてのリビジョン |
| 品番 | システムファイル |
|---|---|
| YSL-VPN-EX1 | ex-license_vpn.lic |
| YSL-VPN-EX2 |
ex-license_pwd.txt
ex-license_vpn.lic
|
| YSL-VPN-EX3 |
ヤマハルーター1台にインポートできる拡張ライセンスの最大数、および拡張ライセンスによって拡張される機能は品番ごとに異なります。
| 品番 | 拡張ライセンスの最大数 |
|---|---|
| YSL-VPN-EX1 | 1 |
| YSL-VPN-EX2 | 5 |
| YSL-VPN-EX3 | 4 |
| インターフェース | 品番 | 最大数 (本数に応じて拡張) |
|||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| なし | 1本 | 2本 | 3本 | 4本 | 5本 | ||
| トンネル | YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1100 | |
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | |
| PP | YSL-VPN-EX1 | 30 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 150 | |||||
| YSL-VPN-EX3 | 150 | - | |||||
| PP Anonymous | YSL-VPN-EX1 | 32 | 101 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 101 | 301 | 501 | 701 | 901 | 1101 | |
| YSL-VPN-EX3 | 1041 | 1541 | 2041 | 2541 | 3041 | - | |
| 機能 | 品番 | 最大数 (本数に応じて拡張) |
|||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| なし | 1本 | 2本 | 3本 | 4本 | 5本 | ||
| IPsec | YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1100 | |
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | |
| IPIP | YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1100 | |
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | |
| L2TPv2/IPsec | YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1100 | |
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | |
| L2TPv3, L2TPv3/IPsec | YSL-VPN-EX1 | 1 | 9 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 9 | 29 | |||||
| YSL-VPN-EX3 | 29 | 49 | - | ||||
| マルチポイントトンネル | YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | ||||||
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | ||||||
| データコネクト | YSL-VPN-EX1 | 6 | 8 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 8 | ||||||
| YSL-VPN-EX3 | 200 | - | |||||
| 合計(※(注記)) | YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1100 | |
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | |
VPN の最大対地数の増加にともない、関連するコマンドのパラメーターの上限値などが拡張されます。拡張ライセンスによって拡張された機能を使用する場合は、拡張ライセンスをインポートした後で設定を追加してください。
拡張されるパラメーターと対象コマンドは以下の通りです。各コマンドの詳細についてはRTXシリーズのコマンドリファレンスを参照してください。
| 拡張されるパラメーター | 対象コマンド | 品番 | 上限値 (本数に応じて拡張) |
なし | 1本 | 2本 | 3本 | 4本 | 5本 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| トンネル番号 |
|
YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1100 | ||
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | ||
| セキュリティゲートウェイ番号 |
|
YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1100 | ||
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | ||
| PP 番号 |
|
YSL-VPN-EX1 | 30 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 150 | ||||||
| YSL-VPN-EX3 | 150 | - | ||||||
| ユーザー ID グループ ID |
|
YSL-VPN-EX1 | 1000 | - | - | - | - | |
| YSL-VPN-EX2 | 1000 | 1100 | ||||||
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | ||
| ブリッジに収容できるインターフェース数 |
|
YSL-VPN-EX1 | 2 | 10 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 10 | 30 | ||||||
| YSL-VPN-EX3 | 30 | 50 | - | |||||
| アドレスプール番号 |
|
YSL-VPN-EX1 | 32 | 101 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 101 | 301 | 501 | 701 | 901 | 1101 | ||
| YSL-VPN-EX3 | 1041 | 1541 | 2041 | 2541 | 3041 | - | ||
| プールできる IP アドレスの数 |
|
YSL-VPN-EX1 | 32 | 101 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 101 | 301 | 501 | 701 | 901 | 1101 | ||
| YSL-VPN-EX3 | 1041 | 1541 | 2041 | 2541 | 3041 | - | ||
| ipsec transport コマンドの設定を 展開するトランスポート ID の数 |
|
YSL-VPN-EX1 | 20 | 100 | - | - | - | - |
| YSL-VPN-EX2 | 100 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1100 | ||
| YSL-VPN-EX3 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 | 3000 | - | ||
また、YSL-VPN-EX1 対応機種(RTX830)は、YSL-VPN-EX1 をインポートするとマルチポイントトンネルのサーバー機能が有効になります。これによるコマンドの拡張は次の通りです。
拡張ライセンスを有効にするためには、パスワードの登録と拡張ライセンスのインポートを行う必要があります。
拡張ライセンスは一度有効にすると、手動で無効化操作を行わない限り有効であり続けます。ヤマハルーターを再起動しても有効であり続けるため、再起動する度にここで説明する手順を実施する必要はありません。
パスワードの登録方法は品番によって異なります。
# ex-license password <パスワード>
# save
# register ex-license password New Password:
# register ex-license password New Password: New Password(Confirm):
# register ex-license password New Password: New Password(Confirm): /yamaha_sys/ex-license_pwd.txtにパスワードを保存しました。
拡張ライセンスをインポートするためには、パスワードが登録されている必要があります。必ず「5-1-1. パスワードを登録する」の手順を事前に実施してください。
# import ex-license key ライセンスキーを入力してください:
# import ex-license key ライセンスキーを入力してください: xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx 以下のライセンスをインポートします。 YSL-VPN-EX2 ライセンスのインポートを続けますか? (Y/N)
# import ex-license key xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
# show status license =============================================================== 品番 状態 有効期限 --------------------------------------------------------------- YSL-VPN-EX2 有効 - ===============================================================
YSL-VPN-EX1 対応機種(RTX830)では、ex-license password コマンドが含まれていないコンフィグでルーターを再起動した場合は拡張ライセンスが無効になります。ルーターの起動コンフィグを変更する場合は、別途 ex-license password コマンドで拡張ライセンスのパスワードを登録してください。
拡張ライセンスを無効にするためには、パスワードの削除と拡張ライセンスの削除を行う必要があります。
パスワードの削除方法は品番によって異なります。
# no ex-license password
# save
# unregister ex-license password /yamaha_sys/ex-license_pwd.txtを削除しました。 再起動するとYSL-VPN-EX2が無効になります。
# clear ex-license 以下のライセンスをクリアします。 YSL-VPN-EX2 ライセンスをクリアするとルーターが再起動されます。 ライセンスをクリアしますか? (Y/N)
# show status license ライセンスがありません。
拡張ライセンスの有効/無効は次のコマンドで確認できます。また、ヤマハルーターへのログイン時に出力されるバナーで確認することもできます。
拡張ライセンスが有効のときは、次のように表示されます。
# show status license =============================================================== 品番 状態 有効期限 --------------------------------------------------------------- YSL-VPN-EX2 有効 - ===============================================================
拡張ライセンスが無効のときは、次のように表示されます。
# show status license ライセンスがありません。
拡張ライセンスが有効のときは、品番が表示されます。無効のときは表示されません。
# show environment RTX1300 BootROM Ver. 1.00 RTX1300 FlashROM Table Ver. 1.00 RTX1300 Rev.23.00.14 (Tue Oct 22 09:32:40 2024) main: RTX1300 ver=00 serial=XXXXXXXXX MAC-Address=ac:44:f2:XX:XX:XX - ac:44:f2:XX:XX:XX Ex-license: YSL-VPN-EX2
拡張ライセンスが有効のときは、品番が表示されます。無効のときは表示されません。
# show config # RTX1300 Rev.23.00.14 (Tue Oct 22 09:32:40 2024) # MAC Address : ac:44:f2:XX:XX:XX - ac:44:f2:XX:XX:XX # Memory 1024Mbytes, 8LAN # main: RTX1300 ver=00 serial=XXXXXXXXX MAC-Address=ac:44:f2:XX:XX:XX - ac:44:f2:XX:XX:XX # Ex-license: YSL-VPN-EX2
拡張ライセンスが有効のときは、品番が表示されます。無効のときは表示されません。
RTX1300 Rev.23.00.14 (Tue Oct 22 09:32:40 2024) Copyright (c) 1994-2024 Yamaha Corporation. All Rights Reserved. To display the software copyright statement, use 'show copyright' command. ac:44:f2:XX:XX:XX - ac:44:f2:XX:XX:XX Memory 1024Mbytes, 8LAN Ex-license: YSL-VPN-EX2
拡張ライセンスが有効化されていない状態でヤマハルーターを起動したとき、拡張される機能に関する設定はコンフィグに反映されません。そのため、以下に示す例のように、拡張される機能に関する設定が含まれているコンフィグを適用する場合は、先にコンフィグ適用先のヤマハルーターで拡張ライセンスを有効化してから他筐体のコンフィグを適用してください。
拡張ライセンスによって拡張される機能に関する設定については「4-2. コマンドの拡張」を参照してください。
YSL-VPN-EX1 対応機種(RTX830)の場合、ルーター起動時に拡張ライセンスを有効にするには起動コンフィグに ex-license password コマンド(拡張ライセンスのパスワード)が設定されている必要があります。YSL-VPN-EX1 対応機種(RTX830)に他筐体のコンフィグを適用する場合は、以下の手順でコンフィグを適用してください。
TFTP、または WebGUI で他筐体のコンフィグを適用できます。
C:\Users>tftp <コンフィグ適用先のルーターのIPアドレス> put <コンフィグファイル名> config
# save
cold start コマンドまたは WebGUI で設定の初期化を行うとき、拡張ライセンスによる拡張を維持するか否かを選択することができます。拡張ライセンスによる拡張を維持した場合は、設定の初期化が完了した後も引き続き拡張ライセンスが有効になります。
# cold start Password:
# cold start Password: 拡張ライセンス(Ex-license)による拡張を維持しますか? (Y/N)
以下の SYSLOG メッセージが出力されます。
| レベル | 出力メッセージ | 意味 |
|---|---|---|
| INFO | [EX-LICENSE] License is activated. | 拡張ライセンスが有効になった |
| INFO | [EX-LICENSE] License is expanded. | 拡張ライセンスが追加でインポートされた |
| INFO | [EX-LICENSE] License is deactivated. | 拡張ライセンスが削除された |
RTX830 では拡張ライセンスのSYSLOGメッセージは出力されません。
[EOF]