人に振る舞われた大物主の恵みし神酒(コラム)|歩く・なら<奈良の歩き方新提案!拠点滞在探求型ウォークルート>

造り酒屋の軒先に、青々とした杉玉が顔を現せば新酒の季節。酒仙には待望の吉報はまた、冬の到来を告げる風物詩でもある。

酒林ともいわれる杉玉。酒屋の看板としてのイメージが定着しているが、本来は酒造りのお守り。大神神社では11月14日に「酒まつり」が行われ、参拝した造り酒屋に「しるしの杉玉」が授与される。

大神神社の祭神は酒の神としても知られる大物主大神。『日本書紀』にその由来がある。

掌酒(さかびと)に任命された活日(いくひ)が大神に神酒を捧げ、崇神天皇に献上した。そして「この神酒は倭国を作られた大物主が醸造された神酒です」と歌に託したという。

古来酒は集団の儀礼、つまり神と人との交流の場で飲まれるものだった。『日本書紀』の神代で、酒を醸した神として先に大山祇神と神吾田鹿葦津姫(かむあたかしつひめ。木花開耶姫ともいう)が登場するが、神の坐す前で人々が酒を酌み交わした記録は、この時が初めて。

杉は大神神社のご神木。縁の杉玉を頼りに今日も"味酒(うまさけ)"が仕込まれる。

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