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平成16年度日本水産学会大会(2004年4月1日〜5日)講演要旨
水産有用魚種の種苗生産では,形態異常魚の出現は重要な問題である。本研究は,近年海産魚養殖の新魚種として,種苗生産が試みられているマハタ(Epinephelus septemfasciatus)人工種苗の形態異常を調査し,形態異常の症例把握ならびに出現時期の把握を試みた。
1999年から2003年の5年間に三重県尾鷲栽培漁業センターで生産したマハタ人工種苗について,外部形態の観察およびソフテックスによる軟X線写真撮影を行い,形態異常の症例把握を行った。2001年,2002年に生産した人工種苗については,2年間および1年間の養殖試験を行い,形態異常の追跡調査を行った。2003年に生産した人工種苗については取り上げ後,種苗配布時まで85日間の飼育試験を行い,追跡調査を行った。
1999年から2003年の種苗配布時(TL120〜150mm)の形態異常率は6.9〜52.5%,開鰾率は90.0〜100.0%であった。形態異常の症例は脊椎骨上湾(脊椎骨の屈曲)が92.0%と最も多く,その他には椎体癒合,くびれ症および下顎の異常が認められた。脊椎骨の屈曲は全長20mm以降で発生が認められた。2001年産,2002年産種苗の養殖試験では,形態異常の発生率に変化は認められなかったが,脊椎骨の屈曲角度は大きくなる傾向が認められた。2003年産種苗の追跡調査の結果,開鰾率は取り上げ時(日齢55,TL30〜40mm)の61.5%が,種苗配布時(日齢140,TL126〜144mm)には98.2%となり,成長とともに開鰾率の上昇が認められた。各年の取り上げ時の開鰾率と種苗配布時の形態異常率には相関関係が認められた。