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日本水産増殖学会第1回大会講演要旨(2002年9月19日
マハタの種苗生産は不安定かつ低い生残率で知られている。減耗の要因は一つではないが,ふ化仔魚の活力不足は減耗の大きな要因となっている。そこで本研究では,仔魚の活力判定手法の一つとして,無給餌生残指数(SAI)により仔魚の活力を数値化することを試みた。
1999年〜2002年の5月に計25回の試験をおこなった。オゾン殺菌海水500mL入りのビーカーに人工授精で得られたマハタ受精卵を150粒ずつ収容し,ふ化後の仔魚が全て死亡するまで無給餌飼育した。飼育期間中の水温は22.0°Cで,換水と通気はおこなわなかった。死魚については,毎日ほぼ決まった時間に除去し,累積死亡数と仔魚の開口時(3日齢)の生残率を決定した。これらの結果からSAIを算出した。またSAIに及ぼす水温の影響を検討するため18°C,20°C,22°C,24°C,26°Cの各水温区を設定して25回の試験をおこなった。
仔魚はふ化後10日目までに全個体が死亡した。開口時の生残率は7.2〜94.6%,SAIは2.3〜39.4で大きく異なった。SAIと採卵時のデータ(浮上卵率,卵径,ふ化率)には相関は認められなかった。SAIと開口時生残率の間には高い相関が認められ(r=0.836,p<0.01),SAIが10以下では開口時生残率が10%以下となった。SAIが10以上の仔魚を大量飼育した時の日齢10の生残率は36.4〜68.7%で,全飼育例で稚魚(日齢60)まで生産することができた。水温18〜26°Cの範囲において,試験水温(x1)とSAI(y1)との間にy1=-4.36x1+126.80(r=0.953,p<0.05)と有意な直線回帰が認められた。