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平成18年度日本水産学会春季大会講演要旨(2006年3月29日〜4月2日)
英虞湾のような閉鎖性海域で養殖業を持続的に行うには,適正養殖量を把握することが重要である。そこで,漁場環境条件とアコヤガイに関するモデルを構築し,これを別途作成中の生態系モデルに組み込むことにより適正養殖量を評価する。その一環として呼吸量と環境条件との関係について検討した。
実験には,日本貝,中国貝および、日本貝と中国貝の交雑貝の3系統の2年貝と3年貝を用いた。塩分33の条件下で13,16,19,22,25,28および30°Cでの呼吸量を測定した。各系統、各年齢、各水温で6個体以上、呼吸量を測定した。
呼吸量の測定は,以下の方法を用いた。容量720mlのチャンバーに供試貝を1個体ずつ収容し,酸素飽和状態にした海水を6〜62ml/min.の速度でチャンバー内に送り,海水交換をおこなった。チャンバー通過前後の海水の溶存酸素量を溶存酸素計Oxi340(WTW製)で測定し,その差と海水交換速度から呼吸量を求めた。一度の測定は,2〜4日連続して行った。
供試貝の貝肉乾重量は0.24〜2.58gであり,全系統,全水温での呼吸量測定結果は7.1〜69.6 mgO2/day/ind.であった。
水温25°Cにおける貝肉乾重量と呼吸量の関係において,各系統間に明確な差は見られなかった。
大きさの違う試供貝の呼吸量を比較するため,水温25°Cにおける呼吸量R(mgO2/day/ind.)と貝肉乾重量WD(g)から関係式R=13.051 WD0.75+5.9305を求めた。
水温と呼吸量の関係を見るため,各水温での測定結果を上記の式を用いて3年貝に相当する貝肉乾燥重量3gに統一して呼吸量を算出した。その結果,16°Cでは3.70〜38.74mgO2/day/ind.,30°Cでは39.20〜94.24mgO2/day/ind.と個体によるばらつきは見られるものの,各系統とも16°C以上では,水温が上昇するにつれて呼吸量が増加する傾向が見られた。ただし,13°Cと16°Cの間では呼吸量に明確な差は見られなかった。
なお、この研究は三重県地域結集型共同研究事業である「閉鎖性海域の環境創生プロジェクト研究」として行った。