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平成15年度日本水産学会講演要旨(2003年4月1日〜4月5日)
ノリの色落ちや色調回復を論ずるためには,生ノリの色調を数値化する必要がある。そこで生ノリの色落ちの程度を色彩色差計を用いて評価した。また,色落ちしたノリを,過大な施設負担がかからないことを必須条件とし,摘採後に高密度かつ24時間の浸漬処理によって回復させることを目的として,添加に最適なアンモニウム態窒素(NH4-N)濃度を検討した。
ノリ葉体の色落ちの程度を色彩色差計で測定し,得られたL*値,a*値,b*値とクロロフィルa,フィコエリトリン,フィコシアニンの各色素含量について回帰分析を行った。さらに正常なノリから極度の色落ちノリになるまでの各色落ち段階のL*値,a*値,b*値を測定した。次に,各色落ち段階のノリ葉体1g(湿重量;水分含量80%)を,NH4-N濃度1,10,25,50mg/Lの4段階になるように調製した硫酸アンモニウム添加海水30mL中で24時間処理し,色調を回復させた。処理後の葉体の色調を色彩色差計で測定し,色調の向上がみられた処理濃度について,規模を30gに拡大して処理を行い,乾ノリを作製して色調を比較した。
L*値,a*値,b*値のうちa*値が各色素含量と最も相関が高かった。色調が正常なノリから細胞質が顆粒状になった極度の色落ちノリまでのa*値は+7.2から-5.4に減少した。色落ちした生ノリの色調回復は,a*値が-0.36〜-2.68の中程度〜重度の色落ちノリをNH4-N 濃度25 mg/Lに調整した海水中で処理したとき最も効果があった。a*値が-0.78の中〜重度の色落ちノリで作った乾ノリの色調はa*値が1.17であったのに対し,NH4-N 濃度25mg/Lで回復処理すると乾ノリのa*値は1.59に向上し,肉眼的にも色調回復効果が明らかであった。