食品添加物
食品添加物とは
食品添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいいます。
原則として、食品衛生法に基づいて、指定を受けた添加物(指定添加物)だけを使用することができます。指定添加物以外で添加物として使用できるものとして、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物があります。
既存添加物
我が国において広く使用されており、長い食経験があるものは、例外的に指定を受けることなく使用・販売等が認められており、既存添加物名簿に収載されています。
天然香料
動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるものです(バニラ香料、カニ香料など)。
一般飲食物添加物
一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるものです(イチゴジュース、寒天など)。
食品添加物の種類と用途例
使用基準(使用できる食品、使用量等の最大限度、使用制限)が定められている食品添加物は、その基準の範囲内で使用が認められています。種類と用途例を一部紹介します。
種類 | 用途 | 食品添加物の例 |
---|---|---|
甘味料 |
食品に甘味を与える |
キシリトール、アスパルテーム |
着色料 |
食品を着色して色調を整える |
クチナシ黄色素、食用黄色4号 |
保存料 |
カビや細菌などの発育を抑制し、食品の保存性をよくする |
ソルビン酸、安息香酸、しらこたん白抽出物 |
増粘剤 安定剤 ゲル化剤 糊剤 |
食品に滑らかな感じや、粘り気を与え、分離を防止し、安定性を向上させる |
ペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム |
酸化防止剤 |
油脂などの酸化を防ぎ保存性をよくする |
エリソルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸 |
発色剤 |
ハム・ソーセージなどの食肉製品等を鮮赤色に保たせる |
亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム |
香料 |
食品に香りをつける |
オレンジ香料、バニリン |
食品添加物の表示
食品添加物は、原則として、使用した全ての食品添加物が「物質名」で表示されています。
ただし、一部の食品添加物に限って、簡略名や類別名等の一般に広く使用されている名称で表示することも可能です。
名称 | 簡略名または類別名 |
---|---|
L-アスコルビン酸ナトリウム |
アスコルビン酸Na、ビタミンC、V.C |
炭酸水素ナトリウム |
重曹、炭酸水素Na、重炭酸Na |
食品添加物の表示の例外
用途名併記
次の用途目的に使用した場合は、物質名と一緒に用途名を表示する必要があります。
【併記が必要な用途名】
1甘味料、2着色料、3保存料、4増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料、5酸化防止剤、6発色剤、7漂白剤、8防かび剤又は防ばい剤
一括名
複数の添加物の組合せで効果を発揮するようなものや、食品中にも通常存在する成分と同じものは、物質名の代わりに一括名で表示することができます。
【表示が認められている一括名】
1イーストフード、2ガムベース、3かんすい、4酵素、5光沢剤、6香料、7酸味料、8チューインガム軟化剤、9調味料、10豆腐用凝固剤、11苦味料、12乳化剤、13水素イオン濃度調整剤(pH調整剤)、14膨張剤
表示省略可
加工助剤、キャリーオーバーの目的で使用されるものについては、食品添加物の表示を省略することができます。
【加工助剤】
食品の加工の際に使用されるが、(1)完成前に除去されるもの、(2)その食品に通常含まれる成分に変えられ、その量を明らかに増加させるものではないもの、(3)食品に含まれる量が少なく、その成分による影響を食品に及ぼさないもの。
【キャリーオーバー】
原材料の製造や加工の際に使用されるが、次にその原材料を用いて製造される食品には使用されず、その食品中には原材料から持ち越された添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの。
加工食品における
食品添加物の表示例
「添加物」欄、または「原材料名」欄に原材料と区分して表示します。区分は、記号「/」や改行などにより行います。
添加物欄を設けた表示例
原材料名欄に「/」で区分した表示例
食品中の放射性物質
放射性物質とは
「放射線」を出す物質を「放射性物質」といい、放射線を出す能力を「放射能」といいます。
放射線、放射能、放射性物質の関係を電球に例えると、「電球」が放射性物質に、電球から出る「光線」が放射線に、電球の「光を出す性質」と「その強さ(ワット数)」が放射能に対応します。
食品中の放射性物質に関する
基準値について
食品中の放射性物質の基準値は、食べ続けたときに、その食品に含まれる放射性物質から生涯に受ける影響が、十分小さく安全なレベルになるよう決められています。
放射性セシウムの基準値
(平成24年4月から)
食品群 | 基準値(ベクレル/kg) |
---|---|
[画像:一般食品を表すイラスト]一般食品 |
100 |
[画像:乳児用食品を表すイラスト]乳児用食品 |
50 |
[画像:牛乳を表すイラスト]牛乳 |
50 |
[画像:飲料水を表すイラスト]飲料水 |
10 |
残留農薬
残留農薬とは
農薬の使用等により、農産物等にそのまま残留したり、土壌等を通じて移行又は残留した農薬のことをいいます。
残留農薬の基準値について
食品衛生法では食品中に残留する農薬などが、人の健康に害を及ぼすことのないよう、全ての農薬、飼料添加物、動物用医薬品について、残留基準が設定されており、基準を超える食品の販売等を禁止しています(いわゆるポジティブリスト制度)。
残留基準は、食品安全委員会が人が摂取しても安全と評価した量の範囲で、食品ごとに設定されています。
その他
いわゆる「健康食品」
いわゆる「健康食品」と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、医薬品や医薬部外品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品全般を指しているものです。
そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。
鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザは、鳥類に対して感染性を示すA型インフルエンザウイルスによる感染症です。
これまで、鶏肉や鶏卵を食べることにより、鳥インフルエンザウイルスが人に感染したという報告はありません。
豚熱
豚熱は、豚、いのししの病気であり、人に感染することはありません。豚肉の摂取により、豚熱が人に感染することは世界的に報告されておらず、豚熱ワクチンを接種した豚の肉を食べても、人の健康に影響はありません。
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