土地取引に関する規制は,土地の利用目的と取引価格についての規制であり,規制措置を大別すると,
- 規制区域内の土地取引に適用される許可制
- 一定規模以上の土地取引に適用される事前届出制(注視区域・監視区域)
- 届出制の適用除外としての宅地分譲等に係る事前確認制(注視区域・監視区域)
- 一定規模以上の土地取引に適用される事後届出制
の4つに分けることができる。
ただし,昭和63年2月から平成9年2月にかけて監視区域を指定していた期間を除いて,本県における規制区域,監視区域及び注視区域の指定はないため,現在の本県における国土利用計画法上の規制措置は,事後届出制のみである。
事後届出制
事後届出制は,全国にわたる一般的な土地取引規制制度として機能しており,適正かつ合理的な土地利用の確保の観点から,一定規模以上の土地取引について土地と力段階で土地取得後の土地の利用目的が不適切な場合には,その是正を促す仕組みとなっている。
| 《土地売買等届出処理状況》(単位:件) |
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項目
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元年度
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2年度
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3年度 |
4年度 |
5年度 |
| 前年度からの繰越 |
24 |
18 |
3 |
43 |
52 |
| 県受付 |
445
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431
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458
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488 |
497 |
| 不勧告 |
445
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429
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400 |
473 |
494 |
| 助言 |
0
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13
|
16 |
6 |
3
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| 勧告 |
0
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0
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0 |
0 |
0 |
|
取下げ等
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6
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4
|
2 |
0 |
0 |
| 審査繰越 |
18 |
3 |
43 |
52 |
58 |
事前届出制(注視区域制度,監視区域制度)
注視区域制度
平成10年の国土利用計画法改正においては,地価動向等にかんがみ,大規模な土地取引について全国一律に事前届出制を実施し,取引価格のチェックを行う必要性は低くなっていることから,全国における一般的な規制が事前届出制から事後届出制へ移行した。しかし,今後とも,局地的には地価の上昇が生ずるおそれも否定できないことから,事後届出制への移行とあわせて,機動的に区域と期間を限って土地の取引価格についても規制が可能となる事前届出制を適用させる仕組みとして注視区域制度が創設された。注視区域制度による規制の内容は基本的に平成10年改正以前の事前届出制とほぼ同じものとなっている。
なお,注視区域制度は,平成10年9月の施行以降,指定されたことはない。
監視区域制度
監視区域制度は,バブル期の地価高騰に対処するため昭和62年の国土利用計画法改正により創設された制度であり,届出の面積要件を引き下げることにより小規模土地取引についても価格及び利用目的をチェックするとともに,勧告要件を拡充し,短期転売等の投機的土地取引を排除しようとするものである。
昭和62年の制度施行以降,指定地域が拡大され,ピーク時の平成5年11月1日時点では58の都道府県・政令指定都市(1,212市町村)において指定されていたが,バブル崩壊後の地価の下落傾向等を踏まえ,監視区域の緩和・解除が実施され,平成11年12月1日時点において,監視区域を指定している団体は1都(1村)まで減少した。
その後,平成12年1月に8府県(48市町村)において指定がなされたが,平成17年1月までに解除され,平成31年3月31日時点において,監視区域を指定している団体は1都(1村)となっている。
なお,本県の監視区域指定の変遷については,次のとおりである。
《本県の監視区域指定の変遷》
昭和63年2月1日
:
鹿児島市の中心商業地を監視区域の指定
(22町丁目・250.5ha・200m2以上)
平成2年5月1日
:
鹿児島市の監視区域の指定区域を拡大
(55町丁目・1,086.8ha・200m2以上)
平成3年4月15日
:
鹿児島市の監視区域の届出対象面積の引下げ
(55町丁目・100m2以上)
国分市・隼人町(各一部)を監視区域に指定
(14地区・506.1ha・300m2以上)
平成4年3月1日
:
鹿児島サン・オーシャン・リゾート構想対象地域の一部地区を監視区域に指定
(枕崎市外16市町・24,537ha・2,000m2以上)
平成5年2月1日
:
鹿児島市の監視区域の指定区域を再指定
(55町丁目・1,086.8ha・100m2以上)
平成6年5月1日
:
鹿児島市及び国分市・隼人町の監視区域の届出対象面積の緩和
(鹿児島市:55町丁目・1,086.8ha・200m2以上)
(国分市・隼人町:14地区・506.1ha・500m2以上)
平成7年5月1日
:
鹿児島市及び国分市・隼人町の監視区域の指定を解除
平成9年2月28日
:
鹿児島サン・オーシャン・リゾート構想対象地域の一部地区の監視区域が指定期間満了
許可制(規制区域制度)
規制区域制度は,土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ,地価が急激に上昇している場合等に,一定の区域と期間を限って,すべての土地取引を許可に係らしめるものである。地価の高騰をもたらすような土地取引を規制するとともに,土地取引の目的が投機的とみられるものや適正かつ合理的な土地利用の確保を図るために支障があると認められるものを規制することとし,これにより,地価の高騰,土地の投機的需要(土地の仮需要)を土地取引の段間において厳しく抑制することを目的とした制度である。
なお,国土利用計画法の施行以来,規制区域の指定は行われていない。