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2019年度内分泌かく乱化学物質等環境調査結果について
「内分泌かく乱化学物質」は、動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の化学物質であり、国において生態系影響等に関する科学的知見の集積や環境リスク評価等の取組が進められています。
愛知県では、国の取組において生態系への内分泌かく乱作用を有することが推察された、あるいはその可能性がある化学物質について、環境中の状況を把握するため、1999年度から環境調査を行っています。
2019年度は、県内河川7地点及び海域3地点において4物質を対象として水質調査を実施しました。
その結果は、次のとおりです。
1 調査の概要
(1)調査対象物質
海域1地点 平成17年度化学物質分析法開発調査報告書(平成18年7月 環境省)
海域3地点 平成19年度化学物質分析法開発調査報告書(平成20年12月 環境省)
人畜由来の女性ホルモン
河川7地点海域3地点 要調査項目等調査マニュアル(平成15年3月 環境省)
(2)調査地点
2 調査結果の概要
・ ビスフェノールA
ビスフェノールAは、調査を実施した1地点で検出されましたが、国が示した「内分泌かく乱作用試験における予測無影響濃度※(注記)1」及び「生態リスク初期評価における予測無影響濃度※(注記)2」を下回りました。
・ フェニトロチオン
フェニトロチオンは、調査を実施した7地点全てにおいて検出され、このうち4地点で「生態リスク初期評価における予測無影響濃度※(注記)2」を上回りましたが、全て「水質汚濁に係る要監視項目の指針値※(注記)3」を下回りました。
・ 4-ヒドロキシ安息香酸メチル
4-ヒドロキシ安息香酸メチルは、調査を実施した6地点全てにおいて検出されましたが、全て「生態リスク初期評価における予測無影響濃度※(注記)2」を下回りました。
・ 17β-エストラジオール
17β-エストラジオールは、調査を実施した10地点のいずれからも検出されませんでした。
(µg/L)
調査地点数
内分泌かく乱作用試験における予測無影響濃度 ※(注記)1(µg/L) 生態リスク初期評価における予測無影響濃度 ※(注記)2
(µg/L) 水質汚濁に係る要監視項目の指針値 ※(注記)3
(µg/L) 全国調査結果 ※(注記)4
(µg/L)
0.040
河川1地点 24.7又は47 11 - <0.0017〜0.28海域1地点 - 0.00021 3以下 <0.000011〜0.0048
海域3地点 - 2.0 - <0.002〜0.003
海域3地点 - - - <0.00011〜0.0017
※(注記)1 内分泌かく乱作用試験における予測無影響濃度:生態系影響評価のための試験により、メダカの性分化に影響を与えなかった最大濃度に安全係数を乗じることにより求めた、魚類を中心とする生態系に影響を及ぼす可能性はないと予測される濃度
※(注記)2 生態リスク初期評価における予測無影響濃度:水生生物の急性毒性値及び慢性毒性値のそれぞれについて、信頼できる知見のうち生物群ごとに値の最も低いものを整理し、そのうち最も低い値に対して情報量に応じたアセスメント係数を適用することにより求めた濃度
※(注記)3 水質汚濁に係る要監視項目の指針値:長期間摂取に伴う健康影響を考慮して算出された値
※(注記)4 全国調査結果:平成30年度版「化学物質と環境」(平成31年3月 環境省)の「環境調査実施化学物質一覧(昭和49年度〜平成29年度)」のうち、直近のデータにおける検出濃度範囲
3 今後の対応
化学物質の内分泌かく乱作用問題について、国は、2016年6月に策定された「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応-EXTEND2016-」の中で、化学物質の内分泌かく乱作用については、EXTEND2010によるこれまでの成果や国際的な動向を踏まえると、必要なリスク管理を行うことを目指して引き続き対応を進めていくことが必要としており、EXTEND2016により、1:作用・影響評価及び試験法の開発、2:環境中濃度の実態把握及びばく露量の評価、3:リスク評価及びリスク管理、4:化学物質の内分泌かく乱作用に関する知見収集及び5:国際協力及び情報発信の推進を行うこととしています。
本県においても、国によるリスク評価及びリスク管理に迅速に対応するために、引き続き適切な環境調査を実施していくとともに、国等からの情報収集、科学的知見の集積に努めます。
※(注記) 調査結果の詳細は別添のとおり。
問合せ
愛知県環境局環境政策部環境活動推進課
環境リスク対策グループ
内線:3025、3026
電話:052-954-6212(ダイヤルイン)
E-mail: kankyokatsudo@pref.aichi.lg.jp
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