国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第35号
「環境負荷を低減する産業・生活排水の処理システム
−低濃度有機性排水処理の「省」「創」エネ化」の
刊行について
(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時配付 )
国立環境研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第35号「環境負荷を低減する産業・生活排水の処理システム−低濃度有機性排水処理の「省」「創」エネ化」が刊行されました。人間活動に伴って発生する排水は産業排水が年間 120億トン、生活排水が160億トンにものぼり、その排水処理には微生物有機物の分解を促進させるために汚水中に酸素を供給する必要があり、その供給エネルギー(曝気電力)を含めると生活・産業排水処理に、合わせて国内電力のほぼ1.5%に相当する膨大なエネルギーが消費されており、下水処理にも省エネ機能を組み込んだシステムの開発が急務となっています。
国立環境研究所では、嫌気性微生物を利用することで、多くのエネルギーを要する低濃度/低・常温の有機性排水を低エネルギーで高速処理することが可能な排水処理システムの実用化に取り組んでいます。「省」エネルギーであるとともにメタンガスを効率よく生成する「創」エネルギーの機能も併せ持ち、次代を担う有機性排水の処理法として多くの期待が寄せられています。
1 第35号の内容
好気性微生物による排水処理技術の普及により、生活排水や産業排水は適切な処理が行われ、我が国の水環境は健全な状態に保たれていますが、エネルギーの消費が大きい点が課題であり、省エネルギー型処理技術の開発は急務となっています。また、開発途上国での深刻な水環境汚染問題に対しても、排水処理に関わるエネルギー(運転コスト)を十分に確保できない等の理由から、好気性処理法の普及だけでは対応できない状況にあります。
本号では、有機性排水処理に関わるエネルギー消費量の大幅削減が可能な処理技術の確立を目指す独自の嫌気性排水処理法(メタン発酵処理技術)の開発への取り組みと、実証処理試験などを通じての有効性の評価、実用化のための道筋を紹介しています。さらに、水環境および地球環境の保全への理解が、有機性排水処理に関する研究の最前線を通して深まる内容となっています。
[画像:環境儀第35号表紙写真]
内容は次のとおりです。
(1) 研究担当者へのインタビュー
- 珠坪 一晃
水土壌圏環境研究領域
水環境質研究室主任研究員
(2) 研究成果のサマリー及び国内外の研究の動向の紹介
(3) 『低濃度/低・常温の有機性排水を対象としたグラニュール汚泥床メタン発酵処理技術の開発』
(4) 『嫌気性排水処理技術の研究動向』 等
2 閲覧・入手についての問い合わせ先
連絡先:国立環境研究所環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)
(参考)これまで「環境儀」で取り上げたテーマ
バックナンバーはホームページから閲覧できます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/