記者発表 2009年5月15日

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国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第32号
「熱中症の原因を探る−救急搬送データから見るその実態と将来予測」の
刊行について (お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付 )

平成21年5月15日(金)
独立行政法人国立環境研究所
企 画 部 長 : 松井 佳巳 (029-850-2302)
環境情報センター長 : 松本 公男 (029-850-2340)
環境儀班主査 : 植弘 崇嗣 (029-850-2428)


国立環境研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第32号「熱中症の原因を探る−救急搬送データから見るその実態と将来予測」が刊行されました。「熱中症」については、夏期に環境省のホームページから予防情報が提供されていますが、その現状と原因解析、予防対策についての研究を紹介します。

熱中症とは、「熱に中(あた)って具合が悪くなる」ことを意味し、日射病や熱射病、脱水症状なども含む広い概念です。ヒートアイランドや地球温暖化に伴う気温上昇によってさらに患者の増加が危惧されています。

国立環境研究所では、東京都と全国17政令指定都市の消防局などの協力によって得た熱中症患者の救急搬送データと気象庁が公開しているデータとを考証し、温暖化と熱中症リスクの関連性を研究してきました。本号では、2000年以降の熱中症患者情報の分析結果と熱中症リスクを避けるための対応策や将来予測などを紹介します。

1 第32号の内容

多くの人々の健康情報とその環境要因との関連性を研究する分野は疫学と呼ばれています。マラリアやデング熱などについての疫学研究を長く行ってきた研究者が近年注目したのが「熱中症」でした。熱中症が起きやすい条件として気温だけでなく湿気や日射も関係します。さらに性別や年齢、地域によっても患者数の差が生じています。様々な情報の特徴を考慮してその関連を明らかにすることが重要ですが、熱中症によって緊急搬送された記録が全国で非常に良く整備されていたことから、その情報と気象情報を組み合わせて全体的な傾向を明らかにする研究に結びつけました。

さらに熱中症の将来を予測する研究やその過程で疫学的研究手法をどのように活用するか、アジア地域に視点を広げた研究の方向性などを解説しています。
[画像:環境儀第32号表紙写真]

内容は、

(1) 研究担当者へのインタビュー

  • 小野 雅司(おの まさじ)
    環境健康研究領域総合影響評価研究室長(当時)

(2) 研究成果のサマリーや国内外の研究の動きの紹介のほか、『増加する熱中症』『年齢階級別・発生場所別に見た熱中症患者の発生割合』『暑さ指数(WBGT)と熱中症死亡率』などについてのコラム、その他用語解説等



2 閲覧・入手についての問い合わせ先

くろまる 「環境儀」は、研究所のホームページで閲覧することができます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/
くろまる 冊子の入手については、下記へお問い合わせ下さい。
連絡先:国立環境研究所環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)


(参考)これまで「環境儀」で取り上げたテーマ

第 31号 : 「有害廃棄物の処理−アスベスト、PCB処理の一翼を担う分析研究」
第 30号 : 「河川生態系への人為的影響に関する評価 よりよい流域環境を未来に残す」
第 29号 : 「ライダーネットワークの展開−東アジア地域のエアロゾルの挙動解明を目指して」
第 28号 : 「森の息づかいを測る−森林生態系のCO2フラックス観測研究」
第 27号 : 「アレルギー性疾患への環境化学物質の影響」
第 26号 : 「成層圏オゾン層の行方 - 3次元化学モデルで見るオゾン層回復予測」
第 25号 : 「環境知覚研究の勧め−好ましい環境をめざして」
第 24号 : 「21世紀の廃棄物最終処分場−高規格最終処分システムの研究」
第 23号 : 「地球規模の海洋汚染−観測と実態」
第 22号 : 「微小粒子の健康影響―アレルギーと循環機能」
第 21号 : 「中国の都市大気汚染と健康影響」
第 20号 : 「地球環境保全に向けた国際合意をめざして ― 温暖化対策における社会科学的アプローチ」
第 19号 : 「最先端の気候モデルで予測する『地球温暖化』」
第 18号 : 「外来生物による生物多様性への影響を探る」
第 17号 : 「有機スズと生殖異常−海産巻貝に及ぼす内分泌かく乱化学物質の影響」
第 16号 : 「長江流域で検証する『流域圏環境管理』のあり方」
第 15号 : 「干潟の生態系−その機能評価と類型化」
第 14号 : 「マテリアルフロー分析−モノの流れから循環型社会・経済を考える」
第 13号 : 「難分解性溶存有機物−湖沼環境研究の新展開」
第 12号 : 「東アジアの広域大気汚染−国境を越える酸性雨」
第 11号 : 「持続可能な交通への道−環境負荷の少ない乗り物の普及をめざして」
第 10号 : 「オゾン層変動の機構解明−宇宙から探る 地球の大気を探る」
第 9号 : 「湖沼のエコシステム−持続可能な利用と保全をめざして」
第 8号 : 「黄砂研究最前線−科学的観測手法で黄砂の流れを遡る」
第 7号 : 「バイオエコ・エンジニアリング−開発途上国の水環境改善をめざして」
第 6号 : 「海の呼吸−北太平洋海洋表層のCO2吸収に関する研究」
第 5号 : 「VOC−揮発性有機化合物による都市大気汚染」
第 4号 : 「熱帯林−持続可能な森林管理をめざして」
第 3号 : 「干潟・浅海域−生物による水質浄化に関する研究」
第 2号 : 「地球温暖化の影響と対策−AIM:アジア太平洋地域における温暖化対策統合評価モデル」
創刊号 : 「環境中の『ホルモン様化学物質』の生殖・発生影響に関する研究」

バックナンバーはホームページから閲覧できます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/

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