平成29年5月10日
IMOでは、2010年に船舶による海上輸送中の危険物質及び有害物質(各種の化学物質、石油、LNG、LPG等)により発生した損害について、船舶所有者の厳格責任及び責任制限、船舶所有者の保険加入の義務化、HNS貨物の受取人等が拠出する国際基金(HNS基金)による補償を定めた2010年HNS条約を2010年4月の外交会議で採択しました。
本条約の発効促進を図るため、委員会は2014年より審議を続けてきましたが、今次会合において、
[1] 条約に対する理解を深めるための資料である「HNS事故のシナリオ」
[2] 将来のワークショップのプログラム案
[3] 2010年HNS条約発効促進のため、各国の状況に応じて批准に向けた検討を促す総会決議案
が、承認されました。
なお、本決議案は、本年12月のIMO第30回総会において採択される予定です。
また、
イ) ノルウェー※(注記)1より、本年4月21日、2010年HNS条約を批准するための文書をIMOの事務局長に寄託した旨
ロ) 欧州委員会(European Commission)より、本年4月25日、2010年HNS条約を批准する権限をEU加盟国に付与する決定を行った旨
が、それぞれ委員会に報告されました。
我が国としても、今後、各国の動向を注視しつつ、2010年HNS条約の批准の必要性について引き続き検討して参ります。
※(注記)1ノルウェーは最初の批准国、[1]200万総トン以上の船舶保有国4ヶ国以上含む12カ国の批准、及び[2]批准国の合計で4000万トン以上の拠出貨物の受取報告、のいずれも満たされた日から18ヶ月後に発効
1992年民事責任条約(CLC:Civil Liability Convention)※(注記)2及び2010年HNS条約の解釈に関し、委員会は前回会合より審議を続けてきましたが、今次会合において、条約証書の発給権限を認定機関に委譲するための具体的手続きを定めた総会決議案が承認されました。
我が国は、発給権限を委譲したとしても加盟国は自身が証書を発行したのと同様に責任を負う必要があること等の主張を決議案に反映させた上で支持しました。
なお、本決議案は、本年12月のIMO第30回総会において採択される予定です。
※(注記)2 タンカーによる油汚染事件に関し、船舶所有者に厳格責任を課すとともに、その責任額を一定限度に制限し得ること及び保険加入の義務化を定めた条約
1967年3月のトリー・キャニオン号事故※(注記)3を契機に1967年6月に第1回委員会が開催されてから、今年で50年目を迎えたことを記念するための行事が行われました。
※(注記)3 1967年3月、原油を満載したリベリア船籍タンカー「トリー・キャニオン号」が英国沖において座礁、流出した原油が英国の南西部沿岸とフランスの北部沿岸に漂着し、深刻な海洋汚染を引き起こした。
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