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niwa さんの日記 2015
1月
30
(金)
23:52
本文
ICFにおける「感情」の詳細(2)
沖縄の梅雨入りから北海道の雪便りまで、日本列島はバラエティな気候です。 東日本の巨大地震・津波の犠牲になられた方のご冥福と被災された皆さまにエールを送りますとともに、できることから、たとえば、友人・知人・先輩・元の職場の関係者で被災した人への食糧・救護用品・手紙などを送っています。 地球の何処にいても、お互いに、助け合って、命を大切に、生き切りましょう。 ICFの最低限リストの候補となる用語の中の「感情」のコード分類は、b152〜b180まで、実に重要な要素が詳細に分類されている。そのため、今回は、コード分類を詳細に視てみよう。 そして次回は、介護保険法の内容を比較検討し、理解してみよう。 WHOが加盟国に求める最低限のICFデータ必須項目のなかの感情(章=第1章.コード=b152-b180)は、つぎのような章とコードに分類されている。 第一レベル:躰の機能(body functions)のなかの第1章 精神機能(mental functions) ➩第二レベル:第1章 精神機能(mental functions)が【1】 全体的精神機能(global mental function:b110-b139)と【2】個別的精神機能(specific mental functions:b140-b189)に分類されている。 【2】個別的精神機能(specific mental functions:b140-b189)のなかの感情(b152-b180)の詳細分類は、つぎの内容である。 I 感情機能(emotional functions:b152) 躰(body=身体と精神は不可分)のなかのこころ(the mind=こころ)の動きにおける感情的要素に関して、つぎの内容が含まれている。 1感情の適切性:たとえば、良い知らせを聞いた時の幸福感など、状況に見合った感情を生む精神機能である。 2感情の統制力:感情の経験と表出を調節する精神機能である。 3感情の範囲(届く限界):愛、憎しみ、悲しみ、喜び、恐れ、怒りなどの感情を呼び起こす経験の変動の幅(spectrum)に関する精神機能である。4その他: II 知覚機能(perceptual functions:b156) 感覚刺激(たとえば、幻覚や錯覚で障害されるような機能を含む)を認知し、判断する個別的精神機能である。 1聴知覚:音、音色、高低音、その他の聴覚刺激の識別に関する精神機能である。 2視知覚:形態、大きさ、色調、その他の視覚刺激の識別に関する精神機能である。 3嗅知覚:嗅(におい)の違いを識別する精神機能である。 4味知覚:甘味、酸味、塩味、苦味刺激(ICFでは4基本味である。日本では5基本味 として「うま味」を加えている。近年、西洋でもumamiが使われている。)など、舌で検出される味の違いの識別に関する精神機能である。 5触知覚:ざらざら感、すべすべ感のように、触った質感の違いの識別に関する精神機 能である。 6視空間知覚:周辺の環境内、あるいは自分との位置関係について、視知覚による物の 相対的位置の識別に関する精神機能である。 7その他 III 思考機能(thought functions:b160) 躰のなかのこころ(the mind)の観念的要素に関連する個別的精神機能である。 1思考の速度:思考過程の速度を左右する精神機能である。 2思考の形式:思考過程を首尾一貫し、論理的に組織化する精神的機能である。機能障 害の例として、観念の保続、思考逸脱(連合弛緩)迂遠思考などがある。 3思考の内容:思考過程に在る観念と観念化されつつある内容に関わる精神機能である。 機能障害として妄想、過大評価観念(優格観念)、身体化などがある。 4思考の統制力:思考の意志的統制を可能にし、その事を自覚する精神機能である。機 能障害として反芻思考、強迫観念、思考伝播、思考吹入などがある。 5その他: IV 高次認知機能(higher-level cognitive functions:b164) 意思決定、抽象的思考、計画の立案と実行、精神的柔軟性、ある環境の下でどのような行動が適切かを決定すること。などの複雑な目標思考性行動を含む前頭葉に、特に依存する個別的精神機能であり、しばしば実行機能と呼ばれている。 1抽象化:現実の出来事や個別的な対象、実際の事例に関わりながら、それらとは別に 一般的概念や質や特徴を創造する精神機能である。 2組織化と計画:部分を全体に構築して体系化すること。実施や行動の方法を発展させ ることに関わる精神機能である。 3時間管理力:時間軸に沿って物事を順序づけ、出来事と活動に時間を割り当て遂行 する精神機能である。 4認知の柔軟性:目的達成、特に問題解決の戦略を変更し、柔軟に心構えを変更する精 神機能である。 5洞察力:自己と自分の行動を認識し、物事の真相を見抜き理解する精神機能である。 6判断力:たとえば自分の意見を持つ事も含み、さまざまな選択肢を判別し、評価する 精神機能である。 7問題解決力:一致または対立する情報を、同定、分析、統合して解決に持ち込む精神 機能である。 8その他 V 言語に関する精神機能(b167): サイン(記号)やシンボル(象徴)、話し言葉(音声言語)、書き言葉や手話など他の形式の言語の受容、表出や解読の機能。そして、たとえば受容性失語、表出性失語、ブローカー失語、ウエルニッケ失語、伝導失語で障害される機能など話し言葉と書き言葉の統合的な言語機能などの言語要素を認識し、使用する個別的精神機能である。 1言語受容:話し言葉(音声言語)、書き言葉および手話や他の形式のメッセージ(本音)を 解読し、理解するための個別的精神機能である。 1)話し言葉の受容:話し言葉によるメッセージ(本音)を解読し、その意味を理解する精 神機能である。 2)書き言葉の受容:書き言葉によるメッセージ(本音)を解読し、その意味を理解する精 神機能である。 3)手話の受容:手や他の動作で作られたサインを用いた言語によるメッセージ(本音) を解読し、その意味を理解する精神機能である。 4)その他 2 言語表出:話し言葉(音声言語)、書き言葉、手話、その他の形式で、意味のあるメッ セージ(本音)を作るために必要な個別的精神機能である。 1)話し言葉の表出:話し言葉(音声言語)による意味あるメッセージ(本音)を作るために 必要な精神機能である。 2)書き言葉の表出:書き言葉による意味あるメッセージ(本音)を作るために必要な精神 機能である。 3)手話の表出:手や他の動作で作られた意味あるメッセージ(本音)を作るために必要な 精神機能である。 4)その他 3 統合的言語機能:意味論的および象徴的な意味、文法構造、観念を組織して、話し言葉(音声言語)、書き言葉や他の形式でメッセージ(本音)を作る精神機能である。 4 その他 VI 計算機能(b172): 数学的記号と加算、減算や単純計算、複雑な計算の演算過程の意味を理解し、推論し、操作する個別的精神機能である。 1 単純な計算:数字を用いて加算、減算、乗算、除算の計算をするための精神機能であ る。 2 複雑な計算:言葉による問題を算術的手順の形に変える、数式を算術的手順の形に変 える、および数に関する他の複雑な操作を行う精神機能である。 3 その他 VII 複雑な運動を順序立てて行う精神機能(b176): 複雑で目的をもった運動を順序づけ、協調させて行う個別的精神機能である。たとえば、機能障害として観念失行、観念運動失行、着衣失行、眼球運動失行、発語失行がある。 VIII 自己と時間の経験(b180): 自己の同一性(identity)、自己の躰(body)、周りの環境と時間の現実のなかで、自己の位置を認識することに関する個別的精神機能である。 1 自己の経験:自己の同一性(identity)と周りの環境との現実のなかで、自己の位置を認 識する個別的精神機能である。障害例として離人症、現実感喪失など。 2 自己の躰像:機能障害例として幻影肢や極度に肥満したとか痩せたなど、自己の躰 (body)の描写や認識性に関わる個別的精神機能である。 3 時間の経験:機能障害例として未視感や既視感があり、時間の長さと経過に関わる個 別的精神機能である。 4 その他 以上の内容である。 次回は介護保険法の認定調査票項目からICFの「感情」項目を比較検討して視よう。 お楽しみに!
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