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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年12月4日 No.3708 バイオセキュリティ戦略 -英国政府と懇談/バイオエコノミー委員会企画部会

経団連は10月10日、東京・大手町の経団連会館でバイオエコノミー委員会企画部会(大内香部会長)を開催した。来日中の英国科学・イノベーション・技術省(DSIT)のハンナ・リーガン氏(Engineering Biology Growth Lead=市場成長責任者)、ジェイコブ・スミス氏(Engineering Biology Economic Security Officer=経済安全保障担当官)らから、エンジニアリング・バイオロジーの国家戦略ほか、バイオセキュリティ戦略の概要について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

リーガン氏(右から2人目)、スミス氏(同3人目)

しかく 英国が描くエンジニアリング・バイオロジーの国家戦略

DSITでは、生物由来の製品やサービスの設計、規模拡大、実用化のプロセスを「エンジニアリング・バイオロジー」と定義。新たな産業戦略のもと、国内外でセクターの確立と企業成長の支援を目指している。

同戦略には、研究開発向けに1億9600万ポンド、インフラ整備に1億8400万ポンドなど、大規模な投資が盛り込まれている。

規制当局が新たなイノベーションに対応できるよう、規制整備やサンドボックスの導入を推進している。国際的なリーダーシップの発揮と連携も重要であり、日本を含む各国との協力体制を強化している。

しかく バイオロジカルセキュリティ戦略とGSSガイダンス

2023年、「バイオロジカルセキュリティ戦略」を策定した。これは、生物学的脅威への強靭化を図るためのビジョンを示すもので、産業界や学術界に広く参照されている。

同戦略は、(1)リスク理解(2)脅威防止(3)検知と早期対応(4)迅速な対処と影響軽減――の4本柱で構成される。その実践には省庁横断と産学官連携が不可欠だ。

DSITが担うのは「責任あるイノベーション」であり、企業・学術界・政府の専門家を集めた諮問パネルを設置し、政策の妥当性を検証している。

この議論のなかの重要な事案に、合成DNAの安全利用を目的とした「遺伝子合成審査(GSS)ガイダンス」がある。合成遺伝子は研究開発に不可欠である一方、危険性を伴う可能性もある。このガイダンスは事業者向けに策定したものであり、企業の負担軽減を考慮しつつ、好事例を含めた国際的な情報共有を進めている。

現時点では任意のガイダンスだが、時間をかけて最適な方法を協議し、必要に応じて法制化も検討する。

しかく 責任あるイノベーションと国際協力によるバイオセキュリティ強化

市場がバイオセキュリティを過小評価する傾向があるなかで英国政府は、バイオセキュリティが経済成長や安全で責任あるイノベーションの実現と密接に関わっていると捉えている。

エンジニアリング・バイオロジーはその根幹であり、継続的な支援と、国際的なパートナーシップ構築を積極的に追求していく方針だ。

【産業技術本部】

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