月刊 経団連2021年2月号
特集 ポストコロナのデジタルガバメントとデジタルエコノミー
巻頭言
3Rは未来世代との誓約
経済規模拡大と生活レベル向上に伴って、地球温暖化、プラスチック廃棄物による海洋汚染などの地球環境問題がクローズアップされ、それらの課題解決に対する、より積極的な取り組みが求められている。
特集
ポストコロナのデジタルガバメントとデジタルエコノミー
デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じてSociety 5.0への変革を目指す中、新型コロナウイルス感染の拡大により、日本社会全体におけるデジタル化の遅れが顕在化した。政府では、デジタル庁の創設を明確に打ち出し、行政のデジタル化、マイナンバー制度の徹底活用、個人情報保護制度の見直し等の検討が急速に進んでいる。本座談会では、2020年12月に公表した経団連提言「ポストコロナにおけるデジタルエコノミー政策のあり方」の内容を踏まえながら、我が国がどのようにデジタルガバメントを構築し、デジタルエコノミーを推進していくべきかについて議論する。
座談会:ポストコロナのデジタルガバメントとデジタルエコノミー
- 篠原 弘道 (経団連副会長、デジタルエコノミー推進委員長/日本電信電話会長)
- 甘利 明 (自民党デジタル社会推進本部座長)
- 岩﨑 尚子 (早稲田大学電子政府・自治体研究所教授)
- 浦川 伸一 (経団連デジタルエコノミー推進委員会企画部会長/損害保険ジャパン取締役専務執行役員)
- ■しかく 日本を取り巻くデジタル化の現状と課題
- Society 5.0の実現にはDXの進展が急務
- 日本は"繋がらないデジタル化"に取り組んできた
- データガバナンスの方向性
- 「世界デジタル政府ランキング」 日本は7位
- ■しかく デジタル庁による行政DXへの期待
- レガシーシステムは破棄してもよい
- DX促進のKPIを定め、ロードマップを作ること
- マイナンバーカードの普及に期待
- デジタル庁は標準化したシステムを国、地方公共団体にクラウドで提供すべき
- DXで「誰一人取り残さない」
- ■しかく データ駆動型社会を実現する道筋
- データ取引市場の構築を産学官で進める
- データ駆動型社会の実現はアジャイル型のアプローチで
- ICT弱者にも利便性の高いデータ駆動型社会の実現を
- DXの進展に、データの標準化、書式の統一化は避けて通れない
- ■しかく 産業界への期待
- 企業間でデータを共有し、新しい価値創造に活用する
- 企業にはデータ利活用についての説明責任がある
- ICT、そしてグローバル競争に最適な人材育成を
- リアルの世界でプラットフォーマーに
デジタル改革の推進に向けて
平井 卓也(デジタル改革担当大臣)
- IT基本法の抜本改正
〜デジタル社会の将来像を明示 - 強力な総合調整機能を有するデジタル庁の設置
- デジタル改革関連法案および総合的なデータ戦略の策定
【提言】
ポストコロナにおけるデジタルエコノミー政策のあり方に関する提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/125.html
篠原 弘道(経団連副会長、デジタルエコノミー推進委員長/日本電信電話会長)
井阪 隆一(経団連審議員会副議長、デジタルエコノミー推進委員長/セブン&アイ・ホールディングス社長)
- 求められる政策
- 企業の自主的な取り組み
「個人情報保護制度の見直しに関する最終報告」について
冨安 泰一郎(内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室審議官)
- 個人情報保護法制の現状と課題
- 見直しの方向性
- 法制化に向けて
デジタル経済社会における個人と国家
宍戸 常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
- デジタル経済社会の特徴
- デジタル現存在への配慮
- 国家の役割と機能の見直し
マイナンバー制度と国・地方デジタル化の今後
庄司 昌彦(武蔵大学社会学部教授)
- マイナンバーカードとマイナンバー
- 国・地方デジタル化と自治体システム
- 失敗を繰り返さぬための行動変容を
データをめぐる国際情勢
平井 裕秀(経済産業省商務情報政策局長)
- DFFTの実現に向けて
- 基盤整備の軸
〜通商ルール、個人情報保護 - 5Gの普及支援
〜データ流通を支えるインフラ - AIをめぐる国際的議論
- コロナ禍において問われるDFFTの真価
セブン&アイグループにおけるDX
米谷 修(セブン&アイ・ホールディングス執行役員・グループDX戦略本部長)
- セブン&アイグループのDXに関する取り組みの背景
- セブン&アイグループにおけるDXの全体像
- 攻めのDX:ラストワンマイルDXプラットフォーム
- グループDXを推進するための組織・人事
一般記事
【提言】
2050年カーボンニュートラル(Society 5.0 with Carbon Neutral)実現に向けて
―経済界の決意とアクション―
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/123.html
杉森 務(経団連副会長、環境安全委員長/ENEOSホールディングス会長)
小堀 秀毅(経団連審議員会副議長、環境安全委員長/旭化成社長)
野田 由美子(経団連審議員会副議長、環境安全委員長/ヴェオリア・ジャパン会長)
- 経済界の決意と役割
- 重点分野での具体的取り組み
連載
-
あの時、あの言葉
一球入魂
魚谷 雅彦(資生堂社長) -
Essay「時の調べ」
サリヴァンと世界恐慌の時代
阿部 大樹(精神科医)