〈建設グラフ2017年6月号〉
山口県は、本州の最西端に位置し、三方が海に開けており、また、秋吉台・秋芳洞や錦帯橋、平成27年7月に「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に認定された萩城下町など、歴史・文化・自然に恵まれた地域です。
山口河川国道事務所は、山口県内全域を所掌管内とし、河川事業については一級河川である佐波川(山口市〜防府市)の改修及び維持管理と島地川ダムの維持管理を行っており、道路事業については、一般国道2号、9号、188号、190号、191号(一部除く)の総延長465.8kmを管理区間とし、山陰道をはじめとした改築及び維持管理、交通安全対策事業を実施するなど、多様な事業を行っています。
山陰道については、鳥取県から山口県の日本海側を結ぶ全長約380kmの高規格幹線道路であり、平成29年4月時点で全体の約半分にあたる約170kmが開通しています。山口県においては、全長約115kmのうち、一般国道191号萩・三隅道路の約15kmが平成23年に全線開通しています。また、山口県における山陰道の未整備区間については、平成27年4月に、「俵山〜豊田間」「三隅〜長門間」「大井〜萩間」「木与付近」「小浜〜田万川間」の5区間、計約46kmが優先整備区間として社会資本整備審議会道路分科会中国地方小委員会により選定されました。これらの区間は未整備区間の中でも特に課題が大きく、優先して整備すべき区間として選定されたものであります。現在は、一般国道491号長門・俵山道路の整備を進め、また、平成28年度より、新規事業として一般国道491号俵山・豊田道路に着手し、さらに平成29年度には、将来の山陰道としての活用も想定した一般国道191号木与防災に着手したところです。
俵山・豊田道路は、平成28年度より新規事業として着手しており、長門・俵山道路の起点部である長門市俵山小原から下関市豊田町八道に至る延長約13.9kmの道路です。
長門市から下関市を結ぶ一般国道491号や主要地方道下関長門線は事前通行規制区間を有し、当該区間において通行止めが5年間(H22〜H26)に11件(総規制時間363時間)発生するなど、防災上課題のある区間です。
また、俵山温泉IC(仮称)付近の俵山地区は、俵山温泉等の観光地が存在し、異常気象時の孤立により、経済活動に影響を及ぼす可能性があります。
俵山・豊田道路の整備によって、災害時の代替路確保だけでなく、整備中の長門・俵山道路との連携により、下関市への搬送ルートが強化されることによる長門市主要産業の水産業・水産加工業の企業活動の支援や、第3次救急医療機関へのアクセス強化、さらには高速ネットワークの整備による九州から山口県北部への広域的な観光周遊道路の形成による観光交流人口の拡大など、山陰地方の高規格幹線道路の一部を形成する道路として、広域交流の促進及び、地域活性化に寄与することが期待されます。今年度は、道路設計、地質調査、環境調査など進めて参ります。
災害に強い道路事業については、地域の皆様の安全・安心に資する整備効果が早期に発揮できるよう、地域の皆様及び地元自治体をはじめとする関係機関のご協力を頂きながら取り組んで参ります。引き続きご理解・ご支援のほどよろしくお願いいたします。