まず最初に、豪華絢爛な山車が登場する秋祭りを2つご紹介しましょう。
まずは、埼玉県川越市で2025年10月18日(土)、19日(日)に開催される「川越まつり」。
国指定重要無形民俗文化財に加え、ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、その歴史は370年。「関東三大祭り」のひとつでもあります。
江戸時代、舟運で栄えた川越には荷物だけでなく、江戸文化も流入してきました。現在の「川越まつり」の祭礼やしきたりも、遡れば江戸がルーツ。現在の東京で催される祭りよりも、江戸の風流・文化が色濃く残っているといっても過言ではありません。
蔵造りの街並みに映えるのは、精巧な人形を載せたきらびやかな山車。何台もの山車が街を巡行し、十字路で2つの山車がすれ違う姿は圧巻のスケールです。祭りの最大の見どころは「曳っかわせ(ひっかわせ)」。数台の山車が向かい合い、笛や太鼓の競演を繰り広げながら提灯が高く掲げられ、歓声が飛び交います。とりわけ夜に行われる「曳っかわせ」は、灯りの美しさも相まって幻想的。祭りのクライマックスに華々しく催されます。
続いてご紹介するのは茨城県の県南に位置する石岡市で行われる「石岡のおまつり(常陸國總社宮例大祭)」。こちらも関東三大まつりのひとつに数えられます。
2025年の開催日は、9月13日(土)、14日(日)、15日(月・祝)の3日間。各町内の山車は巨大で、上に載る人形も2mほどの高さ。そして1層目は台座が回転する仕組みになっており、そこを舞台として太鼓や笛、鉦を用いた「石岡囃子」が演奏されます。祭りの迫力を五感で楽しめるところが魅力です。
さらに、獅子の頭をつけた大型の荷車「幌獅子(ほろじし)」や、まつりの行列の先頭を歩き、露払いを務める獅子舞「ささら」、「おっしゃい、おっしゃい、おっしゃいな!」と石岡囃子の演奏に合わせて掛け声で盛り上げる女性陣「おっしゃい隊」など、石岡独自の見どころも豊富です。なお、人ごみを極力避けたい方は1日目、とにかくダイナミックな祭りを満喫したい方は、幌獅子や山車が夜に見られる2日目がおすすめです。
ちなみに、もうひとつの関東三大祭りは千葉県香取市の「佐原の大祭」。10月第2土曜日を中日とする金・土・日曜で開催されます。三大祭りは日程が被っていないため、その気になれば1年ですべて見物が可能!ぜひ足を運んで、秋の風情をお楽しみください。