日本原子力技術協会では、 2005年5月25日(水)から5月27日(金)までの3日間にわたり、北海道電力株式会社泊発電所に対して相互評価を実施しました。 概要は以下の通りです。
1.対象事業所 (所在地)
北海道電力株式会社泊発電所( 北海道古宇郡泊村 )
2.事業所の概要
泊発電所は、札幌市西方約 70kmの 古宇郡泊村に位置し、 1号機は1989年6月、2号機は1991年4月に営業運転を開始している。定格電気出力は1,2号機ともに57.9万kWであり、北海道の電気の約3割をまかなう重要な電源となっている。現在、3号機(定格電気出力91.2万kW)の建設が進められており、2009年の運転開始を計画している。
3.レビューチームの構成及びレビューの方法
Aグループ:
株式会社日立製作所、株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン
(レビュー分野 : 組織・運営、放射線防護)
Bグループ:
電源開発 株式会社、 日本原子力技術協会
(レビュー分野 : 教育・訓練、運転・保守、特定評価項目)
レビュー方法:
上記分野について、現場観察、関係者との面談および書類確認
4.オブザーバー参加状況
5.レビュー結果
(1)主な結論
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今回のレビュー結果を総括すると、原子力安全の面で直ちに改善措置を施さなければ重大な事故の発生に繋がるような項目は見出されなかった。
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本発電所においては、品質マネジメントシステムの導入にともない、社長が定めた原子力発電に係る「品質方針」基づき、所長は「品質目標」を設定し、さらに各課(室)長は各課(室)の「品質目標」を設定するとともに目標達成に向けた「実行計画」を策定して所長承認を受け、これらを課(室)員に周知・徹底しており、一貫した原子力安全への意識付けが確認された。また、コンプライアンスにも積極的に取り組んでおり、本店主導による教育や研修により所員への意識の徹底が確認された。さらに、労働安全にも力を入れており、専任職によるパトロールの他、所長も含めた管理職パトロール、安全衛生協議会パトロール等により、管理者が率先して安全への取り組みを実証していることが確認された。美浜3号機二次系配管破損事故への対応については、美浜3号機と同じPWRとして二次系配管破損事故を重く受け止めており、適切に取り組んでいることを確認した。
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今後も現状に満足することなく、なお一層の安全文化の向上を目指してさらなる自主保安努力を継続していくことが望まれる。
(2)良好事例及び改善提案
今回のレビューにおいて、NSネットの他の会員さらには原子力産業界に広く紹介されるべきいくつかの良好事例を見出した。一方、安全文化の更なる向上に役立つものとしていくつかの提案を行った。
良好事例
*1と改善提案
*2の一覧は次のとおり。
○しろまる良好事例
レビュー分野
良好事例の概要
組織・運営
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「重大災害リメンバーウィーク」の設定と実行
教育・訓練
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運転経験から学んだ教訓やノウハウ等の『運転要領』への明記
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教育・訓練における原子力訓練センターとの連携
○しろまる改善提案
レビュー分野
改善提案の概要
運転・保守
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『トラブル情報検討要領』内のフロー図への工夫
5.相互評価報告書
相互評価報告書本文及び参考図は、こちらをご覧下さい。
●くろまる相互評価報告書本文(PDF形式: 189KByte)
●くろまる参考図
当該事業所の安全確保活動のうち、的確かつ効果的で独自性のある手法を取り入れている事例であって、NSネットの会員さらには原子力産業界に広く伝えたい、優れた事例を示したもの。
原子力の安全性を最高水準へと目指す視点から、原子力産業界でのベストプラクティスに照らして、当該事業所の安全確保活動をさらに向上・改善させるため の提案などを示したもの。そのため、現状の活動が原子力産業界の一般的な水準以上であっても、改善提案の対象として取り上げる場合がある。