少年付添人日誌弁護士会月報「付添人日誌」より転載したものです。
付添人日誌(17・10月号)
一 平成一七年三月四日、当番弁護士出動要請
平成一六年一〇月に登録してまだ間もない三月四日、当番弁護士(少年)出動要請書がFAXで送られました。
周知のとおり、福岡県弁護士会では、平成一二年一二月より「付添人サポート研修制度」を実施しており、この時の事件は、その研修制度の一環であり、私の「サポート弁護士」は、池田耕一郎先生が担当して下さることになりました。
二 初回の接見そして観護措置への立会い
初回の接見から数日後、池田先生から教えられ、少年の身柄が家庭裁判所に送致されることを知りました。
その後、ばたばたと、意見書を起案し、三月一一日、裁判官と事前面会、意見書を提出し、観護措置決定に立会いました
当日、少年の母親を裁判所に呼んでいましたので、すぐに少年を引受ける親の存在を裁判官にアピールできました。もちろん、この辺の段取りは、すべて池田先生に整えていただきました。
結果は、在宅となりました。
少年事件は、スケジューリングが非常に大切だとは聞いていましたが、初回の接見からのわずかな期間に、通常業務をこなしつつ、これだけの態勢を整えることは、実に大変なことだと痛感しました。まさに、「段取り力」が問われる場面です。
三 在宅そして審判
在宅となった後は、池田先生の事務所で定期的に少年及び母親との面談を行い、随時、報告書を裁判所に提出し、少年の成長をアピールしてきました。裁判所四月の異動の時期と重なったためか、保護者と少年との調査官面接は七月の初めに行われ、審判は、七月一一日と決定されました。
最終的に、少年に対する処遇意見をどうするか悩みましたが、池田先生の後押しもあって不処分の意見書を提出しました。しかしながら、結果は、保護観察処分でした。
四 事件を振り返って
本件の少年は、非行の深度も進んでないし(家裁係属歴無し)、両親も健在で、家庭環境もしっかりしていましたので、今回の処分は残念でした。
もっとも、少年及びその親とも真剣に向き合い、悩み考えることができ、よい経験でした。
五 最後に
新規登録間もない時期に、池田先生と共同で事件をやれたことは、幸せでした。事件を一人でやっていると他の先生の仕事振りを細かくみることはできませんので、大変勉強になりますし、なにより、弁護士として共感できることも多かったからです。
付添人サポート研修制度万歳です。
河内 美香
目次
- 付添人日誌 (連続掲載第3回)(7・7月号)
- 付添人日誌 (連続掲載第2回)(7・4月号)
- 付添人日誌 (連続掲載第1回)(7・1月号)
- 付添人日誌 移送前の少年事件(被疑者国選)でできること(6・10月号)
- 付添人日誌 審判で一言もしゃべることができなかった少年(6・7月号)
- 付添人日誌 審判で一言もしゃべることができなかった少年(6・7月号)
- 付添人日誌(6・4月号)
- 付添人日誌(6・1月号)
- 付添人日誌(5・10月号)
- 付添人日誌(5・1月号)
- 付添人日誌 特定少年に関する付添人活動の報告(4・10月号)
- 付添人日誌(4・7月号)
- 付添人日誌(4・1月号)
- 付添人日誌(3・7月号)
- 付添人日誌(3・4月号)
- 付添人日誌(3・1月号)
- 付添人日誌(2・10月号)
- 付添人日誌 「受け子」にされた少年(2・7月号)
- 付添人日誌 付添人実務研修(2・4月号)
- 付添人日誌 伝わらなかった思い 伝えたい思い(1・10月号)
- 付添人日誌(30・9月号)
- 付添人日誌 すべての少年に国選付添人を!(30・8月号)
- 付添人日誌(30・7月号)
- 付添人日誌 〜迅速な初動対応と環境調整により保護観察処分を得た一例〜(30・3月号)
- 付添人日誌(30・1月号)
- 付添人日誌(29・12月号)
- 付添人日誌(29・10月号)
- 付添人日誌(29・9月号)
- 付添人日誌(29・8月号)
- 付添人日誌(29・7月号)
- 付添人日誌(29・6月号)
- 付添人日誌(29・2月号)
- 付添人日誌 初めての少年付添人事件を担当して(28・1月号)
- 付添人日誌(27・11月号)
- 付添人日誌 保護者の悩み(27・10月号)
- 付添人日誌 初めての付添事件(27・8月号)
- 付添人日誌 法テラス「子どもに対する法律援助」制度の活用−触法・否認事件−(27・7月号)
- 付添人日誌 少年が広げてくれる就労支援の輪(27・6月号)
- 付添人日誌(27・5月号)
- 付添人日誌 非行前の付添人活動(27・3月号)
- 付添人日誌(27・2月号)
- 付添人日誌 国選付添人としての活動報告(26・10月号)
- 付添人日誌(26・9月号)
- 付添人日誌(26・8月号)
- 付添人日誌 はじめての付添人活動(26・7月号)
- 付添人日誌「初めての少年付添人活動」(26・6月号)
- 付添人日誌(25・10月号)
- 付添人日誌(25・5月号)
- 付添人日誌「子離れ親離れ」(25・3月号)
- 付添人日誌(25・1月号)
- 付添人日誌(24・11月号)
- 付添人日誌 〜子どもシェルターを始めます〜(24・1月号)
- 付添人日誌 被害弁償と親の思い(23・12月号)
- 付添人日誌 逆送少年(23・6月号)
- 付添人日誌(23・5月号)
- 付添人日誌(22・9月号)
- 付添人日誌(22・5月号)
- 付添人日誌(20・2月号)
- 付添人日誌(18・8月号)
- 付添人日誌(18・7月号)
- 付添人日誌(17・10月号)
- 付添人日誌〜やってはいないけど・・・〜(17・8月号)
- 雨上がりには虹を(15・4月号)
- 不処分事件から見えてくる少年事件の問題(その3)(14・7月号)
- 処分事件から見えてくる少年事件の問題(その2)(14・6月号)
- 女の子からのラブコール(14・5月号)
- 不処分事件から見えてくる少年事件の問題(その1)(14・5月号)
- 盾としての付添人(14・4月号)
- 少年院送致処分が、抗告審で差戻後、保護観察処分に(14・3月号)
- 付添人日誌(14・2月号)
- 被害者に少年の気持ちが通じた!の巻(14・1月号)
- 少年のパートナーとして(13・12月号)
- 少年付添人を経験して(13・11月号)
- 当番付添人制度の現在・未来(13・10月号)