プロジェクトProjects
小清水町防災拠点型複合庁舎 ワタシノ
2023
北海道斜里郡小清水町
構 造:鉄筋コンクリート造
階 数:地下1階、地上2階
延床面積:4,213m2
山脇克彦建築構造設計( 構造設計 )
総合設備計画(設備設計)
プラッツ(外構設計)
乃村工藝社(VID・FFE)
ワイライツ(照明デザイン)
Studio Akane Moriyama(ファブリックデザイン)
フェーズフリー協会(フェーズフリー監修)
世界自然遺産知床に程近い小清水町の複合役場庁舎である。フェーズフリーの視点を取り入れた防災拠点であり、役場、保健センター、公民館、商工会事務所、更にはフィットネスジム、カフェ、ランドリー機能を有する。一見無関係とも言える機能同士が、防災というキーワードを介して複合された。ジムのシャワーやランドリーは、災害時の衛生面の保持に、カフェは炊き出しや情報発信の拠点となる。町民の安全安心に視座を置いた公共建築のハード整備が、いつもの賑わいの場となる、商業的な集客によらない新しい公共の場である。
商店街から連続する国道沿いの広大な敷地が計画地である。国道沿いに軒を連ねる商店街に連続させるように、間口や高さの異なる7つのボリュームを配する配置計画を採用し、商店街への賑わいの波及効果を意図した。短冊のサイズは、内部の機能と対応し、光や風を通す中央の通過動線(じゃがいもストリート)を中心に北側に役場機能、南側に賑わい機能を配し明確な管理区画を形成した。同時に施設の一体感を持たせるために各ボリュームを横断する動線や視線の抜けを随所に設けゆるやかな一体感をもたらす空間構成とした。
外装は堅牢かつ省メンテのディテールに徹したPCaパネルで覆い、内部は大ぶりなRC打放の架構が活動の地を成す。架構に附加する要素として、大自然と生きる小清水を象徴する土壁や木、光や風を透過するファブリック、色彩豊かなサインなどを配し人の目の近くに素材感を織り交ぜている。世代を越えた人々でにぎわい、普段の日も、もしもの災害の日も、ここが、いつものワタシノ居場所になるよう希望がこめられ施設名称は「ワタシノ」となった。