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認定者インタビュー「 Pizza製作所 zizi」
第15回認定 Pizza製作所zizi インタビュー
2025年7月31日 [] [Made in Furano 事務局]
日本最北端の認定店!「Pizza製作所zizi」が切り拓く、ふらの産小⻨と本場イタリア・ナポリで磨いた技術の融合
富良野市が独自に設ける、ふらの産の食材にこだわった加工品を厳格な基準で認定する制度「メイドインフラノ」。この度、見事その認定を獲得した「Pizza製作所zizi」の代表 湊 匠さんに、これまでの歩みとナポリPizzaへの情熱、そしてメイドインフラノ認定への挑戦についてお話を伺いました。
Pizza製作所ziziのこれまでの歩みと 本場ナポリPizzaへの飽くなき探求
「Pizza製作所zizi」という親しみやすい店名の由来は、代表の湊さんが年齢とともにキャリアを積んだ後、おじいちゃんになってから挑戦したピッツェリアである、というなんともユニークなものでした。
ナポリPizzaとの出会いは、前職で「富良野チーズ工房」に勤務していた時のこと。
「2005年に富良野チーズ工房でモッツァレラチーズの製造が決まり、モッツアレラチーズの研修のため3週間イタリアへ行きました。研修先のチーズを使用しているピッツェリアへ行き、そこで見たPizza職人たちの、柔らかい生地を数手で伸ばす技術や、アクロバティックに生地を回すパフォーマンスには度肝を抜かれました。遠心力を利用し、生地にダメージを与えず早く伸ばすその技術は、まさに理にかなったものでした。」
この感動体験が、湊さんを奥深いナポリPizzaの世界へと引き込みました。
その後、「富良野チーズ工房」でも「ピッツァ工房」というPizzaショップを立ち上げることになり、再度イタリア・ナポリへ。
この時はスタッフとともに、1ヶ月間ピッツェリアで研修を受講。営業中の店内での研修もあると思っていたそうですが、実際は営業時間外に基本的な理論と仕込み作業をするという限られたものだったとのこと。帰国後3ヶ月で「ピッツァ工房」を立ち上げることが決まっていたためナポリ研修だけでは間に合わず、当時の専門家のサポートを受け、何とか開店にこぎ着けることができたそうです。しかし、営業が始まっても、イタリア・ナポリで学んだ知識がまだ"点と点"でしかなく、走りながら常に出でくる課題とぶつかっていたと言います。
その課題が同時に内なる想いを高め、2014年、湊さんは開業準備のため「ピッツァ工房」を早期退職しました。
「自分自身で店を立ち上げると決めた時、もう一度イタリアへ行こうと決心しました。ナポリのガエターノ師匠の元で40日間トレーニングを受け、『なるほど!こうだったのか!』と感動したんです。しかし、日本に帰ってくると、粉も水も塩もイーストも、水の硬度まで全く違うため、また壁にぶつかりました。10年経った今もなお、生地と向き合う日々は続いており、師匠の味に近づこうと奮闘しています。そして富良野の食材を最大限に活かした、美味しいPizzaを1人でも多くの方へ届けたいです。」
故・ガエターノ師匠は、イタリア・ナポリに本部がある「真のナポリピッツァ協会(Associazione Verace Pizza Napoletana)」で最高技術顧問を務め、世界大会優勝者を何人も育てあげてきた巨匠。また、基本に忠実で、クラシカルなスタイルを一生涯貫いた方だったそうです。
イタリア・ナポリでも柔らかい生地のPizzaが台頭し二極化している中で、湊さんは師匠の意志を繋ぐべく、クラシカルなスタイルを貫いています。
2023年に娘さんと共に師匠のもとへ修行に行った際、師匠が娘さんの焼いたピザを見て、親指を立てて「GOODサイン」を出してくれた時の喜びはひとしおだったと語ります。
湊さんだけでなく、奥様、娘さんともに、自店が「真のナポリピッツァ協会」認定店であることに誇りを持たれており、日本に100店舗程度、北海道に5店舗しかない認定店の中で、「Pizza製作所zizi」は日本最北端の認定店として、本場イタリア・ナポリの味と伝統を守り続けています。
「メイドインフラノ」認定への挑戦とこだわり
なぜ、冷凍Pizzaでメイドインフラノ認定を目指したのでしょうか。
「私たちが加盟している『真のナポリピッツァ協会』では、小麦粉をはじめとした食材に規定があり、ふらの産小麦を使用できませんでした。しかし冷凍Pizzaは協会の規約で "ナポリPizzaの認定外" とされています。そこで、創業以来ずっとやりたくてもできなかった自分たちの大好きな富良野らしさ全開のPizzaを作ろう!と、商品開発の目標の1つに『メイドインフラノ認定取得』を掲げ、私たちの挑戦が始まりました。
特にこだわったのはPizza生地です。富良野エリアのブランド小麦『春ゆたか』と『北ほなみ』を使用し、ナポリPizzaの特徴でもある、外はカリッと中はもちっとした食感を表現することが大変難しかったです。
2024年の審査会では残念ながら、パッケージに改良点があるということで認定とはならず悔しい思いをしました。ですがその悔しさをバネに、パッケージデザインから細部に至るまで研究を重ね、自分たちの納得がいくものに仕上がりました。赤い帯を巻いたり、トレードマークの猫ちゃんを冷凍仕様で描いてもらったりと、美味しそうに見える工夫も凝らしました。無事に認定をいただけた時は、本当に嬉しかったです。」
今までもこれからも守り続ける「お客様への5つの約束」
「Pizza製作所zizi」は、Webサイトで掲げる5つの約束を胸に、日々Pizzaを作り続けています。
1、ふらの産の農作物を大切にします。
2、本場の味を表現するために妥協しません。
3、食品添加物が入ったものは極力使いません。
4、大切な人に食べてもらいたいものだけを提供します。
5、Pizzaで大切な人を笑顔にします。
「私たちは『ふらの産を大切に、あくまでも本物志向で』をモットーにPizzaを焼いています。
トッピングの野菜は基本的にふらの産で、その野菜が一番輝く調理法や表現方法を何度も試行錯誤します。一方で、現地ナポリと同じ味を表現するために必要な食材はイタリア産にこだわっています。協会認定店として、伝統的な手法・技術でナポリと同じクオリティのナポリPizzaを提供する使命があるからです。」
そして、最も大事になさっているのは、「大切な人に安心して食べてもらいたいと思うか。」という指標です。
「薪窯にPizzaを入れてから焼きあがるまで約1分30秒。少しでも迷いがあると焦げて しまいます。
ーこのPizzaを子どもや孫に食べてもらいたいと思うか?
ーこれが出てきた時に、大切な人に喜んでもらえるか?
ー心からおいしいと思えるか?
ー誰かに紹介したくなるレベルのものなのか?
自問自答しながら、窯の前に立って焼いています。
私たちの願いは、Pizzaとともに『大切な人と、安心で美味しいPizzaを囲む幸せな時間』を届けること。」
「フラノマルシェ2時代に深く感動したことがありました。ある1組のご家族が当店のPizzaをご購入されました。お子さんが卵アレルギーをお持ちで、その時初めて家族みんなと同じPizzaを食べたとお聞きました。Pizzaを囲むご家族の笑顔はとても輝いていて、その笑顔は今でも忘れられません。
これからも『真のナポリピッツァ協会』認定店として、伝統的な手法と現地ナポリと同じ品質を守り、Pizza職人としてさらに研鑽を深めてまいります。そして、お客様へPizzaと共に『大切な人と、安心で美味しいPizzaを囲む幸せな時間』をご提供し続けます。」
湊さんファミリーの富良野への愛情と、Pizzaへの情熱が結実した証です。富良野の大地でナポリの魂が息づく「Pizza製作所zizi」のPizzaを、ぜひ一度味わってみてください。