聞くチャンネル インタビュー

〝縁〟を大切に、出会いが仕事のプラスに

東北建設株式会社 代表取締役社長 太田由美子さん

1968年生まれ、郡山市出身。桜の聖母短期大学家政科卒。学生時代は2年制大学のタイトなスケジュールをこなすため、毎日早朝から電車で郡山〜福島間を通学し、教職課程を履修するなど勉学に励んだ。卒業後は地元の製薬会社に8年間勤務。結婚を機に家庭に入ったが、ご主人の家業である東北建設で仕事に復帰し、2015年に社長に就任。1877年創業の老舗・総合建設業の9代目として奮闘する日々。

★「社員を信頼、対外的な対応に全力」

― 建設業界に関わったきっかけを教えてください
建設業を家業とする夫との結婚がきっかけです。東北建設7代目社長の夫の政界進出に伴い、社長に就任した義母の下で、社長室長を務め、企画室などでも勤務した後、2015年に社長職を引き継ぎました。社長に就く前は、子供3人の育児を中心に、家庭のことに注力することが多く、東日本大震災では子供が小さかったこともあり、3年間の避難生活も経験しました。他社の社長の皆さんとは違い、建設業関連の資格を持っているわけではなく、専門的なことも詳しくはありませんが、優秀な社員に恵まれたおかげで今があると、日々実感しています。

― 日々の業務やスケジュールを教えてください
午前8時までに社員が出勤しますので、私も同じように出勤し、処理や決裁しなければならない案件、各部門からの相談事などに対応します。打ち合わせや会議も多くあります。社内の業務だけではなく、商工会議所など様々な団体の会合といった対外的な仕事も多くあります。

― 社長としてのどのような時にやりがいを感じますか
私は、建設に関する専門的なことが分からず、そこは負い目を感じる部分でもありますが、社員を信頼して業務を任せ、自分は対外的な部分を頑張らなければという気持ちで取り組んでいます。人との出会いにより人脈が構築され、いろいろと協力してもらえることも増えました。業務にもプラスに働くようになり、今ではやりがいと思えるようになりました。

― 女性経営者として大変だと感じたことはございますか
他業種の会合などで、分からないこともある中で、周りが男性の経営者ばかりで一人になってしまう場合などは、女性がもっと活躍する社会となり、女性経営者がもっと増えてほしいと感じることもあります。建設業界の経営者の方とは、頻繁に顔を合わせるので、親しくさせていただいています。建設業界だから何かがつらい、大変だったと思ったことはありません。

★「地域に頼られる建設業、誇りとやりがいに」

― 建設業は女性の活躍が課題です。取り組んでいることはありますか
わが社の女性社員は、私を除いて5人ほどです。事務職や営業職がメインで技術者はいません。十数年前には、現場を担当する技術者の女性もいたのですが、やはり子育てなどで厳しいということで退職してしまいました。
女性技術者に入社していただきたいのはもちろんですが、これからは、建設ディレクターなど、事務職の立場のまま建設現場をフォローしてもらうことも非常に助かる業務だと思っています。社員の平均年齢も上がってきている中で、人手も足りていませんので、女性がそのような形でフォローできる体制が必要だと感じています。

― 働き方改革の取り組みはいかがでしょうか
休日の確保や長時間労働の削減については、「土・日曜日は必ず現場を休んでほしい」「午後5時までに現場を離れてもらいたい」というような施主(民間企業)もいらっしゃって、そのような現場だと非常に助かりますが、そうでない限り、完全週休2日の達成はなかなか難しく、ほかの曜日に休日を取ってもらうような形をとっています。
また、イクボス宣言も行っており、自治体の補助制度を活用しながら育休制度を推進していきたいと思っています。20代の社員も数人いますので、ぜひ積極的に取得してもらいたいでと考えています。

― 建女会の幹事として活動していらっしゃいます
皆さん、技術や資格を持っていて、他社のそのような方とお会いする機会は少ないですから、とても貴重な時間になっています。技術者としての考え方、地域の実情を聞くことができて、勉強になることがたくさんあります。県が南相馬市で数年前から行っているキッザニア(仕事体験プログラム)に出展する県建設業協会の取り組みも手伝っていますが、子供たちに建設業はこういう仕事なんだと分かってもらえるような活動に参加できていることは大変有意義で、やりがいを感じています。

― 若者へのメッセージをお願いします
台風等の災害で壊れた堤防を直し、翌年同じように台風におそわれても大丈夫だった時は、この工事で地域を守れたのだと実感できました。なにより、災害が起こると「何とかしてほしい」と会社に駆け込んできてくださる地域の方もいらっしゃいます。頼っていただけていることにやりがいを感じますし、自分たちのいる意味を感じさせられます。仕事のつらさはもちろんあると思いますが、地域の守り手ということに誇りとやりがいを持ってほしいと思います。

★「創業150周年目前、今後も地域に貢献」

― 休日はどのように過ごされていますか
子供が学生の頃までは、子供のサポートに明け暮れていました。子供も大きくなり、今は休日の過ごし方を模索中です。
これといった趣味は特にないのですが、少し体力をつけるために散歩をするように
なりました。自然の中を歩いていると清々しい気持ちになるので楽しみの一つになりました。あとはゴルフをサボらずに頑張ることです!

― 今後の目標はございますか
わが社は、創業150年を目前に控えています。明治10年に創業し私が9代目ですが、これまで、たくさんの先輩方がつないでくれた地域での信頼を大事にしていきたいという思いがあります。今後も積極的に地域に貢献していきたいと考えています。

― 好きな言葉を教えてください
「縁」です。この会社にお世話になっているのも縁があってのことです。それがきっかけで様々な縁が広がっていき、建設業界の方やお客様、関連会社から近所の方まですべてが「縁」から始まっています。これからも長く続いていくものですから大切にしていきたいです。

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