陸水学雑誌
Online ISSN : 1882-4897
Print ISSN : 0021-5104
ISSN-L : 0021-5104
植物が生産したフェノール化合物の藻類に対する増殖抑制効果
中井 智司, 井上 豊, 李 炳大, 細見 正明
著者情報
  • 中井 智司

    東京農工大学工学部

  • 井上 豊

    東京農工大学工学部

  • 李 炳大

    威徳大学校環境科学科

  • 細見 正明

    東京農工大学工学部

責任著者(Corresponding author)

ORCID
キーワード: 藍藻類, シキミ酸代謝経路, フェノール, 多価フェノール, 自動酸化, 増殖抑制
ジャーナル フリー

2002 年 63 巻 3 号 p. 201-207

詳細
  • 発行日: 2002年12月20日 受付日: 2002年02月14日 J-STAGE公開日: 2009年06月12日 受理日: 2002年06月27日 早期公開日: - 改訂日: -
PDFをダウンロード (522K)
メタデータをダウンロード RIS形式

(EndNote、Reference Manager、ProCite、RefWorksとの互換性あり)

BIB TEX形式

(BibDesk、LaTeXとの互換性あり)

メタデータのダウンロード方法
発行機関連絡先
抄録
植物が生産するフェノール類;カフェー酸(CFA),p-クマル酸(CA),フェルラ酸(FA),プロトカテキュ酸(PCA),シナピン酸(SIA),シリンガ酸(SYA),バニリン酸(VA),カテコール(CAT),ヒドロキノン(HQ),キナ酸(QA),シキミ酸(SA),この他,フェノール(PHE),レソルシノール(RES),ヒドロキシヒドロキノン(HHQ),フロログルシノール(PHL)の藍藻類Microcystis aeruginosaに対する増殖抑制効果を評価した。上記物質の中では,多価フェノールCFA,PCA,CAT,HQ,HHQ,PHL,メトキシ基を有するフェノールSIA,SYAがM.aeruginosaの増殖を抑制した。これらの物質の構造と増殖抑制効果とを比較した結果,多価フェノールの中でも水酸基が互いにo-位やp-位にあるものの抑制効果は,m-位にのみ水酸基を有するものよりも強かった。また,多価フェノールの自動酸化挙動を評価した結果,自動酸化する多価フェノールのみがM.aeruginosaに対して顕著な効果を示すことが明らかとなり,多価フェノールの自動酸化が増殖抑制効果を誘導していることが示唆された。さらに,自動酸化により生成するラジカルの存在時間や多価フェノールの自動酸化の進行と増殖抑制効果との関係を評価した結果,多価フェノールによるM.aeruginosaの増殖抑制機構として「ラジカルや他の自動酸化生成物がM.aeruginosaの細胞に直接的なダメージを与えたり,代謝活動を阻害する」が提案された。但し,増殖抑制効果の主な要因となる物質はラジカル以外の自動酸化生成物であることが示唆された。
引用文献 (16)
関連文献 (0)
図 (0)
著者関連情報
電子付録 (0)
成果一覧 ()
被引用文献 (7)
© 日本陸水学会
前の記事 次の記事
お気に入り & アラート

閲覧履歴
このページを共有する
Top

J-STAGEへの登録はこちら(無料)

登録

すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /