保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
原著
国立公園における造礁サンゴ・大型海藻・海草の管理と利用:気候変動への適応策検討に向けた課題の抽出
阿部 博哉, 三ツ井 聡美, 山野 博哉
著者情報
  • 阿部 博哉

    国立環境研究所

  • 三ツ井 聡美

    国立環境研究所
    北海道大学大学院農学院

  • 山野 博哉

    国立環境研究所

責任著者(Corresponding author)

ORCID
キーワード: 大型海藻, 海草, 管理, 国立公園, 造礁サンゴ
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電子付録

2022 年 27 巻 1 号 論文ID: 2120

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  • 発行日: 2022年04月28日 受付日: 2021年07月20日 J-STAGE公開日: 2022年06月28日 受理日: 2021年11月29日 早期公開日: 2022年04月28日 改訂日: -
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抄録

生物多様性は人間生活にとって重要な役割を果たすが、その管理の必要性についても広く認識されている。日本各地に存在する国立公園では、気温や水温といった環境の違いを反映し生物相が大きく異なるとともに、観光資源として活用される生物群集や保全・管理の対象種にも違いがあると考えられる。本研究では、水中景観を構成する造礁サンゴや大型海藻、海草に着目し、国立公園における資源としての認識を整理するとともに、公園内でどのような動植物の採捕規制、保全活動、モニタリングが実施されているかを明らかにした上で、気候変動への脆弱性に対して講ずるべき適応策について議論することを目的とした。各国立公園の海域公園地区における採捕規制種の内訳をみると、大型海藻や海草と比較して造礁サンゴの指定数が圧倒的に多く、特に低緯度に位置する国立公園ほどその傾向が顕著であった。また、環境省の事業により食害生物駆除といった保全活動が公園内で実施されていることが多かった。一方、大型海藻や海草が採捕規制種として記載されている国立公園は複数あるものの、それらを対象とした保全活動やモニタリングの規模は小さく、サンゴとは対照的であった。これらの観点から各国立公園の特徴をまとめ、今後の課題を示した。サンゴは水温上昇に対して非常に脆弱であると同時に、分布域を北方に拡大しつつあることが特徴であるが、今後規制種の見直しや保全活動の強化が多くの公園で必要になると考えられる。また、現在のサンゴの分布や利用・保全管理の間にギャップが存在する公園もあり、そのギャップを解消するような事業の実施も重要である。一方、大型海藻や海草に関しては、その価値を適切に把握し利用を促進するとともに、継続的にモニタリングや保全活動を実施できるような体制を構築することが課題である。

引用文献 (64)
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© 2022 著者

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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