日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
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原著
ホウレンソウ栽培ハウス土壌におけるホウレンソウケナガコナダニTyrophagus similis Volgin(Acari: Acaridae)の藻への定着性
本田 善之, 清水 佐知子, 半田 信司, 笠井 敦, 天野 洋
著者情報
  • 本田 善之

    山口県農林総合技術センター

  • 清水 佐知子

    広島県立総合技術研究所農業技術センター

  • 半田 信司

    一般財団法人広島県環境保健協会

  • 笠井 敦

    京都大学大学院農学研究科

  • 天野 洋

    京都大学大学院農学研究科

責任著者(Corresponding author)

ORCID
キーワード: Acarid mite, Tyrophagus similis, soil algae, greenhouse spinach, humidity
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2013 年 57 巻 4 号 p. 235-242

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  • 発行日: 2013年11月25日 受付日: 2012年08月09日 J-STAGE公開日: 2014年05月01日 受理日: 2013年06月21日 早期公開日: - 改訂日: -
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抄録
ホウレンソウ産地では,施設栽培下におけるホウレンソウケナガコナダニ(Tyrophagus similis Volgin;以下コナダニと略)の被害が近年拡大し,安定的な生産に支障をきたしている.本種はなたね油かすや乾燥酵母を餌として好むが,実際の土壌中での発生要因には不明な点が多い.本稿ではハウス土壌表面に発生する藻類に注目し,コナダニの定着性や定着条件についての観察から,本種の発生生態に関して若干の知見が得られたのでここに報告する.土壌を構成する主要な有機物に分けてコナダニ定着数を調べた結果,藻類に有意に多く定着が認められた.この現象が単に藻類が含む水分だけによるものではないことは,水分を保持した濾紙と藻類との比較試験で確認された.また,藻が繁茂した土壌では,藻を除去した土壌に比べ,コナダニの密度が大幅に増加することが確認された.コナダニは藻類の種類によって定着性が異なり,ボトリディオプシスやプロトシフォンなど粒状の藻類を好み,糸状のクレブソルミジウムではやや嗜好性が劣ると考えられた.また,湿度条件を変えた環境では,高湿度条件でのみコナダニの藻への定着が多かった.ハウスにおける藻類へのコナダニの定着は,湿度95% RH以上の高湿度になる降雨や灌水後の夜間から早朝にかけてと考えられた.ハウス土壌で発生する藻類はコナダニの餌として作用し増殖源となるため,土壌に発生する藻類を制御することで,コナダニによる被害を抑制できる可能性が示唆された.
引用文献 (13)
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