抄録
「都市構造・交通分野」で地域の特性に応じた低炭素まちづくりを推進するためには、乗用車利用に起因する二酸化炭素(CO2)排出量を地域別に推計し、過去の中長期的な動向や最近の変化の特徴を把握した上で、計画立案に役立てることが重要である。本研究は、2010年の道路交通センサスOD調査の個票データを用いて、最新の地域別乗用車CO2排出量を推計した。指定都市等の地域区分別に推計を行い、その推移をみたところ、中核市等においても一人当たり走行距離の減少が生じ、乗用車CO2削減に寄与していることが分かった。また、市区町村別には、走行距離に関する調査サンプル数が大幅に減ったため、信頼性の判定に応じて異なる手法を用いて、市区町村の値を推計した。しかし、市区町村数で約6割、保有車両数で約3割について、生活圏内での都市規模別のトリップ特性を反映できない限界が示唆された。市区町村別に走行距離を削減する等の対策を行うためには、詳細な地域別の走行距離等データが重要である。