抄録
本研究では,中長期的な都市内の人口・世帯分布のあり方を交通面から議論する際に参考になると考えられる,小地域の特性を考慮した全国的な自動車保有・利用推計の手法を構築した.方法としては,地図APIを用いた居住地と自動車保有・利用に関するWebアンケートを行い,居住地の緯度経度を3次メッシュに対応させ,メッシュ分類別の自動車保有・利用に関する値を取得した.さらに,取得した値を2010年および2030年に想定される全国3次メッシュ人口・世帯数で拡大し,2010年については都市交通特性(パーソントリップ)調査と比較した.その結果,小地域特性を反映した自動車保有・利用の推計ができ,2010年ベースでは他の統計データと概ね整合することが確認できた.また,将来の異なる人口・世帯分布パターンに対し,自動車保有・利用が異なりうることを定量的に示すことができた.