宝ヶ池の宝の水
〜ICOLD京都大会にダム協会が出展〜

サブロー
しかく国際大ダム会議(ICOLD)京都大会

今年6月に、国際大ダム会議(ICOLD アイコールド)の3年に一度の大会が初めて日本で開催される。その会場になるのが、実家から近い宝ヶ池の畔に建つ国立京都国際会館である。
昭和41年完成というから私が関西文理学院生(通称カンブリッジ大学)の頃であるが、とんと縁も無かったので行くこともなかった。
宝ヶ池といえば、子供の頃に探検と称して近所の元気な連中と遠征しては、きつね坂あたりに秘密基地を作り、日がな一日遊んでいたことを思い出す。


国立京都国際会館HPより
しかく古里のなぞ

最近、半世紀ぶりに開催会場周辺を訪れる機会があって、古里の謎がいくつか解けた。

その一、宝ヶ池の由来

宝ヶ池は自然の池と思いこんでいたのだが、実は江戸時代に作られたため池であった。1855年、松ヶ崎の北にある深田をため池にするための修理・拡張工事がなされた。「宝ヶ池」という名前は、水不足から開放されたお百姓にとって、宝物のような価値のある池という意味からつけられたとも言われている。


くろまる洛北松ヶ崎(絵 眞野香氏 松ヶ崎学区HPより)
その二、用水路の取水とその流末

宝の水を松ヶ崎へ引くために、南側の山を避けて東へ迂回させた。国際会館の敷地を東流している岩倉川へ放流して高野川に合流させ、少し下流にある井手ヶ鼻井堰で取水して、下鴨に流れる泉川に繋げる用水路を完成させた。北東から南西にかけての自然の傾斜を巧みに利用して、最後に泉川にまとめ直して下鴨に流すというかんがい排水工事だった。さらに、泉川は世界遺産下鴨神社の糺の森を潤して鴨川に注いでいる。


くろまる松ヶ崎を流れる用水路 (絵 岩?ア晧氏 松ヶ崎学区HPより)
詳しくは、「松ヶ崎学区ホームページ」の「水に関する歴史」をご覧下さい。

しかく古里再発見

用水路流域の米や野菜を頂きホタルを獲ったこともあったが、はるか昔の江戸時代に作られたかんがい配水インフラだったとは知らなかった、古里再発見である。
私は左京区下鴨で育ち、妻の実家も同区松ヶ崎(五山送り火「法」のあたり)にある。甥ッ子達も松ヶ崎小学校に通っていた。みんな、お世話になっていたのである。


くろまる五山送り火「妙法」(松ヶ崎学区HPより)
しかく(財)日本ダム協会が出展

京都国際会館では、1997年に地球温暖化防止京都会議で京都議定書が採択された。2003年には、世界水フォーラムが開催された。この由緒ある地で、6月にICOLD京都大会が開催される。そして、会期中、展示会が併せて開催されることになっている。

(参考) 国際大ダム会議第80回年次例会及び第24回大会
国際大ダム会議第80回年次例会及び第24回大会は、「水の世紀の諸課題及び地球温暖化問題への対応」を中心課題とし、「簡素で実り多きICOLD 2012年京都大会をあたたかい心で」を基本方針として、平成24年6月2日(土)〜8日(金)に、京都において開催されます。詳細はこちらをご覧下さい。

(財)日本ダム協会は、世界へ向けて情報発信するまたとない機会であるので、展示会に出展することにした。世界からICOLD会員1200名の参加がある。千客万来のお客様に喜んでいただけるブースづくりをめざしている。

ダム協会の展示ブースは3つのセクションに分かれる。

?T:ダム協会セクション
ダム協会から三つの称号を紹介。
1.「ダム建設功績者」:永年ダム事業でご苦労されてきた方々を表彰
2.「ダム工事総括管理技術者」:ダム工事の適正な施工に必要不可欠な認定資格
3.「ダムマイスター」:ダムの達人で、ダムに関する情報発信で活躍

?U:ダム工事総括管理技術者会セクション
ダム工事総括管理技術者が会員となっているダム工事総括管理技術者会。ダム造りに携わる技術者集団だ。日本のダム技術を世界にアピール。

?V:ダム好きセクション
ダム好きたちが、日本のダムの魅力や役割をアピール。こんなにも活動的なダム好きがいるのは、日本だけかもしれない。ダム好きとしてよく知られている夜雀さん、萩原雅紀さん、宮島咲さん、takaneさんが中心になって、展示内容を着々と準備中。

6月5日〜8日の展示期間には、素敵なダムグッズをプレゼント。展示は会議の参加者向けで、一般の方の入場ができないのは残念だが、来場者には精一杯日本のダムをアピールしていきたい。

治水・利水・エネルギー・環境などの対策には「水を宝」にする知恵が求められている。ICOLD京都大会が「宝ヶ池」となるように。

(2012年3月作成)
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