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全項目表

ダム番号:394

玉川ダム [秋田県](たまがわ)



ダム写真

(撮影:灰エース)
043509 北国のNAGO
043536 北国のNAGO
041676 今井信政
043520 北国のNAGO
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どんなダム

RCD工法を採用
___ ダム本体についてRCD工法採用の先駆けとなったダムの一つ。大型汎用機械を使用し、工期の短縮とともに、経済性、施工の安全性向上を実現。
酸性水を中和処理
___
酸性河川として知られる玉川の水をを中和するため、上流に中和処理施設を整備。本格的酸性水対策を実施。
[写真]中和処理施設全景
ダム湖は「宝仙湖」
___
平成元年公募により決定。水没地域の一つの地域名である宝仙台からとった。
[写真](撮影:北国のNAGO)
シリーズ ダム百選 投票から
第 23 回 『 近くでキャンプができるダム 』
しかく 玉川ダムのすぐ下流にあるキャンプ場です。芝が刈り込まれており気持ちのいいところです。情報ではクマが出るとのことですのでそれなりに覚悟が必要です。ここを起点に田沢湖・八幡平・玉川温泉等を楽しむことができます。山に囲まれた穴場的なところです。 (成田敏春)
左岸所在 秋田県仙北市田沢湖田沢 [Yahoo地図] [DamMaps] [お好みダムサーチ]
位置
北緯39度49分52秒,東経140度38分28秒 (→位置データの変遷)
[近くのダム] 鎧畑(5km)
河川 雄物川水系玉川
目的/型式 FNAWIP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 100m/441.5m/1150千m3
流域面積/湛水面積 287km2 ( 全て直接流域 ) /830ha
総貯水容量/有効貯水容量 254000千m3/229000千m3
ダム事業者 東北地方建設局
本体施工者 鹿島建設・奥村組・地崎工業
着手/竣工 1973/1990
ダム湖名 宝仙湖 (ほうせんこ)
ランダム情報 【水特法関係】玉川、水没総面積:830ha、水没戸数:118戸、水没農地面積:123ha、ダム等の指定年月日:昭和52年3月23日、水源地域指定年月日:昭和54年1月29日、整備計画の決定年月日:昭和54年3月22日
【ダム湖百選】(財)ダム水源池環境整備センターのダム湖百選に選定される(平成17年3月16日公表)
【ダムにいる鳥】国土交通省「河川水辺の国勢調査」(2001)
アオサギ、オシドリ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、カワアイサ、ミサゴ、トビ、オジロワシ、ノスリ、サシバ、クマタカ、ヤマドリ、イソシギ、キジバト、アオバト、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、コノハズク、フクロウ、ハリオアマツバメ、ヤマセミ、アカショウビン、カワセミ、アオゲラ、アカゲラ、オオアカゲラ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ、カワガラス、ミソサザイ、トラツグミ、ヤブサメ、ウグイス、センダイムシクイ、キビタキ、オオルリ、エナガ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、カワラヒワ、マヒワ、ベニマシコ、ウソ、ムクドリ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス
【コンクリートダムの工法】RCD工法
【ダムカード配布情報】2024年8月2日現在 (国交省資料を基本とし作成、情報が古いなどの場合がありますので、事前に現地管理所などに問い合わせるのが確実です) Ver2.0
しろまる玉川ダム管理所 8:30〜17:00(土・日・祝日を含む)(注記)土日祝日は、管理所正面玄関の脇にあるインターホンを押してください。(注記)ダムカードの配布場所はダムに隣接しています。
ダムカード画像コレクション
玉川ダム Ver.1.0 (2007.07)
玉川ダム Ver.1.1 (2009.05)
玉川ダム [発電所カード] Ver.1.0 (2017.07)
TAMAGAWA DAM COLLECTION CARD Ver.0.0
玉川ダム☆コレクション☆カード Ver.1.0
TAMAGAWA DAM COLLECTION CARD Ver.0.0
玉川ダム☆コレクション☆カード Ver.1.0
玉川ダム☆コレクション☆カード Ver.1.0
玉川ダム☆コレクション☆カード Ver.1.0
玉川ダム☆コレクション☆カード Ver.2.0
玉川ダム☆コレクション☆カード Ver.2.0
玉川ダム☆コレクション☆カード Ver.2.0
玉川ダム☆コレクション☆カード Ver.2.0
参考資料
しかく玉川ダム(水特法指定)における水没補償 東北地方建設局玉川ダム工事事務所副所長 西館栄蔵
【第23回水源地問題実務講習会(昭和54年02月27日)】
しかく玉川ダム建設計画の概要と用地等取得についての経過:下村周
【ダム日本 No.455(S57.9)】
しかく玉川ダム建設の概要について 東北地方建設局玉川ダム工事事務所 所長 原 田 譲 二
【第13回ダム施工技術講習会(昭和58年07月08日)】
しかく玉川ダム建設の概要について<RCD工法による施工>:原田譲二
【ダム日本 No.469(S58.11)】
しかく玉川ダムの水源地域整備と今後の課題:小笠原道夫
【ダム日本 No.470(S58.12)】
しかく玉川ダムのRCD施工と課題 東北地方建設局玉川ダム工事事務所 所長 鳥 居 欽 吾
【第19回ダム施工技術講習会(昭和61年07月15日)】
しかく玉川ダムにおける転流工の設計と施工:鳥居欽吾・鎌田俊治
【ダム日本 No.503(S61.9)】
しかく玉川ダムのRCD施工 東北地方建設局玉川ダム工事事務所 所長 加 藤 敏 治
【第23回ダム施工技術講習会(昭和63年07月07日)】
しかくダム建設事業と地域開発計画−田沢湖町と玉川ダム−:佐藤峯夫
【ダム日本 No.549(H2.7)】
しかく玉川ダムの施工:樋口淳美
【ダム日本 No.551(H2.9)】
諸元等データの変遷 【05最終→06当初】左岸所在地[仙北郡田沢湖町田沢→仙北市田沢湖田沢]
【06最終→07当初】河川名[玉川→浅瀬石川]
【07当初→07最終】河川名[浅瀬石川→玉川]
【12最終→13当初】本体施工者[鹿島・奥村・地崎→鹿島建設・奥村組・地崎工業]

しかく このごろこのごろ目次
もうひとつの試験放流


今年で2回目となる玉川ダムの試験放流を見学に行ってまいりました。
朝9時からのクレストゲート放流を見た後、あちこちで撮影していたのですが、「10時半からコンジットゲートからの放流をする」とのお話を聞き、これは楽しみだとばかりに撮影いたしましたのでご報告いたします。なお、この試験は5月8日のみ行われました。



玉川ダムのコンジットゲートは四方ゴム水密ラジアルゲートで2門あり
洪水期の水位維持・調節を行うものです。
ですからクレスト+コンジット、オリフィス+コンジットという放流の組み合わせは
通常は見ることが出来ないと思います。

まず、ゲートの位置関係ですが、以下写真をご参照ください。




では、順にに写真と説明を。

--10:34--
クレストゲート1〜4番から放流中、まず1・4番ゲートが閉じます。
このときの各ゲートの放流量はそれぞれ7.54t/sです。


そしてコンジットゲートが開きます。放流量は、各7.47t/s。



このアングルでは良く見えないのですが、拡大すると
減勢工に水飛沫が上がっているのが判ります。
比較写真↓


--10:39--
続けてオリフィスゲートからの放流開始です。放流量は、1.76t/s。
クレストゲートの方は、やや絞って各5.65t/s。



--10:48--
コンジットからの放流が止まります。
クレストゲートからの放流量はちょっと増えて各5.66t/s。

--10:51--
ふたたびクレストゲート1・4番から放流開始。
同時にオリフィスゲートからの放流量が7.27t/sと増えます。
クレスト各ゲートの放流量は、5.66t/sのまま。


ここまで撮影して11:00からの堤体見学の時間が迫ってきたので移動しました。
後のデータを見ると放流試験もここで終了したようです。

見学会ではゲートハウスにも行きますのでちょうど中央の位置から撮影してみました。



クレスト放流試験の後、こんな試験も行っていたんですね。
しかもわずか20分程度の間に。とても貴重な体験が出来ました。

最後に国道脇にある展望台から撮影した写真です。
堤体部分にのみ陽が当たっていてスポットライトを浴びているような
とても良い雰囲気の玉川ダムを見ることが出来ました。



なお、本稿のタイムチャート及び放流量に関しましては、
【国土交通省 東北地方整備局 玉川ダム管理所】様からご提供いただきました。
いろいろとお世話になりありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
(2010年5月25日、萃香)


しかく テーマページ(抄)テーマページ目次

ダムインタビュー(55)
廣瀬利雄さんに聞く
「なんとしても突破しようと強く想うことが出発点になる」

RCD工法の開発に取り組む

中野: その後、本省に戻られてから、どうしてRCD工法の開発をしようと思われたのですか。

廣瀬: 本省に行ってから、将来ダムの予算がだんだん減るのではないかと思ったのです。もし減らされた時も対応出来るような合理化策を準備しておく必要があると思い、新しい施工法の研究を開始しました。ダム建設の工程で、掘削、骨材製造、打込み、締固め、養生など全工程別に原価計算を分析してみたら、一番大きいのがコンクリート運搬でした。当時は、コンクリート運搬は、ほとんどがケーブルクレーンでした。だから逆発想でケーブルクレーンを使わないでコンクリートを運搬しようと考えて出来たのが、ダンプトラックで直送する方式でした。

中野: ケーブルクレーンにするとケーブルクレーンの設置費用のコストがかかりますが、ダンプトラックだと費用にも柔軟性がある訳ですね。コンクリートについて以前、長瀧先生、石田先生にお話しを伺ったことがありますが、フレッシュコンクリートはデリケートだからと、その上をダンプトラックが乗っても大丈夫なのという議論があったとか?

廣瀬: そうですね。ダンプトラックが上を走行しても大丈夫なコンクリートを作らなくてはと思って、いろいろ実験しました。そんな中、コンクリートに混ぜる水と圧縮強度の関係に大きな疑問でした。RCDは水を入れれば入れるほど圧縮強度が大きくなるコンクリートですが、我々が大学で習ったのは、水を入れれば入れるほど、コンクリートの圧縮強度が小さくなるということで、全く違っていました。おかしいと思って1年ぐらいいろいろ試験をやりました。それで解ったのが、普通のコンクリートは、水を入れれば入れるほど強度が小さくなる。ところが、RCDは普通コンクリートとは反対に、水を入れれば入れるほど圧縮強度が大きくなる。今使っているRCDは、水セメントの比を大きくして圧縮強度が大きくなったもの。ダンプトラックが上を走行しても品質上問題のない硬練りコンクリートとして開発されました。


新技術を試す現場がなかった

中野: RCD施工を考えられて、新しい技術を現場で実際にやることがすごく大事なことかと思うのですが、現場が在来工法で設計か進んでいたら、なかなか現場では試すことができないのではないですか。

廣瀬: 現場では実際にダムを造るまで、いろいろな試験を積み重ねるのですから、すんなりとはいきません。引き受けてくれるダムの所長がいなくて困りました。試験はあれこれと、やらなくてはならないし、新技術導入は大変だという訳です。結局、現場の所長に本省に来てもらってお願いしましたが、涙をこぼして「勘弁してくれ」というのです。理由を聞くと、部下に普通のコンクリートで設計書を1週間ぐらい徹夜させてつくらせたので、今さら新しいものを作れとは言えない、というのです。さらに、新しい工法に向けていろいろ試験するので、今までの人員で新技術をやることを部下に言えないという訳で職員を補充してくれますかということでした。

条件の悪い島地川ダムでいいコンクリートが出来た


島地川ダム (撮影:安部塁)

中野: そのとき廣瀬さんは、建設省で人員補強を指示できるお立場でしたか?

廣瀬: それは出来ないので、「ダム技術のため、建設省技術のためだから、頼む」といって、頭下げどおしで、中国地方建設局島地川ダムの現場でやってもらいました。

中野: 島地川ダムでの結果はどうだったのですか。

廣瀬: 島地川ダムは、一番RCDには適さない狭窄部でした。RCDは、広い場所で施工する工法ですから、そういう悪いところでやってもいいのかという意見もあったのですが、一番悪い条件のところで成功することが、工法を証明できるのではないかということで強行しました。
中野: RCD施工は逆転の発想から始まっていますが、現場では他に問題がなったのでしょうか。

廣瀬: 島地川でRCDコンクリートボーリングしてみたらコアに空洞あいていて、現場でも何とかしたいと考えていました。國分先生に委員長をお願いし、現場を見てもらった時、二瀬ダムで僕の部下だった者が、島地川ダムの現場主任をやっていて、ブルドーザで敷きならしてみましょうと提案されたので、やってみたら、非常にいいコンクリートになったのです。コンクリートを、かき混ぜるとか、その上を歩くというのは考えてもいなかったことでしたがよいコアがとれ、それで國分先生も安心されたのです。

RCD工法で施工した玉川ダム

中野: RCDコンクリートができて先生に認められたわけですね。その後は順調にいったのですか。

廣瀬: RCDを本格的に採用したのは玉川ダムでした。玉川ダムは堤体が長くケーブルクレーンを適用した場合には、ケーブル長が長くなり、バケットで重いコンクリートを運ぶからコンクリートを荷下げする時バウンドする。長ければ長いほど、反動が大きい。このダムサイトはケーブルクレーン以外の施工法を考えなくてはならかった。ところが、玉川ダムでは、所長と課長連中など全員がRCDの導入に反対でした。僕が開発課から離れている時にケーブルクレーン工法になってしまい、鹿島建設でケーブルクレーン走行路として 2,000m3掘削していました。そこで会社の上層部を呼んで「2,000m3の掘削費用は一銭も払わん」といったら、「会社に帰って相談する」というから、「ダメだ、RCDになれば損はさせないから、ここで、イエスといいなさい」と。それで、玉川ダムの役職者を転勤させて、開発課から所長、課長を送り込みました。今だったらちょっとできないことでしょうね。


玉川ダム (撮影:灰エース)
・・・→ 全文はこちら
(2015年7月作成)

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