大川ダム
国土交通省所有の多目的ダム。
重力式コンクリートと、ロックフィルを組み合わせたコンバインダムという、珍しい型式。
右岸側の一部がロックフィル、他が重力式コンクリートとなっている。
洪水調節や、上水道用水確保の役割などの他に、発電という大きな役割を持っている。
このダムには発電所が2つあり、一つは東北電力の大川発電所、もう一つは電源開発の下郷発電所となる。
下郷発電所は揚水式の発電所で、この大川ダムを下部ダム、山一つ隔てた所にある大内ダムを上部ダムとしている。
大川発電所は、最大45m3/sの水を使い21,000kWの発電を、下郷発電所は最大314m3/sの水を使い、100万kWの発電をおこなっている。
阿賀野川本流にかかるダムらしく、放流設備も充実しており、クレスト部にはラジアルゲートが4門、常用洪水吐として、 コンジット部に高圧ラジアルゲートを5門装備している。
選択取水設備も装備し、ここから取水された水は大川発電所に導かれる。
他、低水放流設備として、ジェットフローゲートを1条装備している。
コンジットゲートの予備ゲートが、スペースの都合からか古風な造りになっている。
最近のダムでは、予備ゲートが呑口の上部に設置されていて、そのまま降ろす構造になっているが、このダムは、 ゲートが別の場所に収納されており、使用時はクレーンを使って定位置に運ぶ仕組みになっている。
ダムの資料館や発電所の資料館などもあるので、ゆっくりとダム巡りを楽しむ事ができるおすすめのダムだ。
下流より堤体を眺める。
写真では切れてしまっているが、左の部分がロックフィル部。
コンクリート部も特徴的で、多少「く」の字に折れ曲がっている。
上流側より堤体を眺める。
一番奥が選択取水設備。その隣に、非常用洪水吐のラジアルゲートが4門。 その手前に、コンジットゲートの予備ゲートが2門見える。
予備ゲート使用時は、一番手前に見えるクレーンを使い、 非常用洪水吐の下にある定位置に運ばれる。
堤体右岸のロックフィル部。
芝生が植えられ、公園の一部になっていた。
下流直下より堤体を眺める。
直下は広場になっており、堤体に触れる事ができる。
コンジットゲートの吐口。
中央3つには丸形のスポイラーがついている。
左右の吐口の位置は、クレストからの導流壁の中央にある。
なんか変だ。
天端を眺める。
徒歩でのみ通行可能。
実はこの天端、左右だけでなく、上下にうねっている。
選択取水設備。
とても巨大だった。
コンジット予備ゲートを動かすためのクレーン。
国交省のダムでは珍しい施設だと思う。
下郷発電所の放流部。
揚水時は、ここから水を汲み上げる。
白い建物は下郷発電所。
ダム湖の様子。
国道沿いだが、落ち着いた雰囲気。
天端より減勢工を見下ろす。
直角に曲がっているのが特徴的。
この先、また直角に曲がるのだ。
手前右側に見える赤い建物は、大川発電所。
減勢工の直角部分。
近くで見ると、その大きさに驚くだろう。
上写真のすぐ下流部分。
またもや直角に曲がっている。
手前からの水路は、大川発電所からの水路。
奥からの水路は、上の写真(洪水吐)からの水路。
スペック
水位
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | ラジアルゲート | ×ばつ4門 | 1,800m3/s |
常用洪水吐 | 高圧式ラジアルゲート | ×ばつ5門 | 2,600m3/s |
低水放流設備 | ジェットフローゲート | ×ばつ1条 | 56m3/s |
選択取水設備 | シリンダー4段ゲート | Φ3.850m〜Φ4.600m | 45m3/s |
発電所使用水量 | 下郷発電所(電源開発) | 314m3/s | |
発電所使用水量 | 大川発電所(東北電力) | 45.000m3/s |
アクセス
磐越自動車会津若松ICより、国道121号線を会津若松市街方面に向かう。
するとすぐに、国道49号線にさしかかるので、ここを左折。
線路を潜るとすぐに、国道118号線が右手に別れるので、ここは国道118号線を選ぶ。
会津若松駅前を通り越し、そのまま国道118号線沿いに進む。
先ほどの交差点から、19kmほど走ると、芦ノ牧温泉に下る交差点にさしかかる。
ここからが要注意だ。
トンネルを抜け、300mほどの場所に、右手に下る旧国道があらわれる。
ここを右に。
意味不明な信号を通り越し、しばらく走ると、目の前に大川ダムが現れる。
堤体直下や、天端横など、色々駐車場があるので、こちらに車を停めて見学するとよいだろう。
また、旧国道に入らずに、そのまま直進しても、ダムを見逃す事はない。
電源開発の資料館があるので、ここを目安にすると良いだろう。
資料館に車を停めて見学する方法もある。
コメント