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私の好きなミステリーベスト10(国内編)
「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」さんのこのエントリを見て、私もミステリーベスト10を考えてみました。海外のミステリはそれほど読んでいないので、まずは国内作品ということで10作品をあげてみます。一応見やすくするために順位はつけていますが、参考程度のものです。
1位 浅田次郎『蒼穹の昴』
いきなりミステリーとはいいにくい作品ですが、一応「このミステリーがすごい!」にもランクインしているということで、ご容赦を。
列強が進出する清王朝の末期に、貧しい少年春児は宦官となり、有力者の次男文秀は科挙の試験を突破して、それぞれ歴史の表舞台へと進んでいく・・・。まさに一大歴史スペクタクル、とにかく面白いので、文庫本4冊の長さも一気読みかもしれません。西太后も素敵です。
2位 連城三紀彦『戻り川心中』
文学性をいかしたトリッキーな作品を数多く発表している連城さんですが、1作となるとやはりこの短編集でしょう。どの作品も、人間の心理から生まれる意外な動機が読みどころです。特に天才歌人の心中事件を描いた表題作は、これまで読んだ中で最高の短編だと思っています。
3位 京極夏彦『魍魎の匣』
いわずと知れた超有名作品です。膨大な薀蓄、キャラ萌え、けっこう無茶なトリックとさまざまな要素が盛りだくさんで、長さが全く苦痛になりません。シリーズの他の作品では、榎木津が大活躍する番外編『百器徒然袋』も大笑いできておすすめです。
4位 服部まゆみ『この闇と光』
父である王とともに、幽閉されている盲目のレイア姫。彼女の世界は、父である王の読み聞かせてくれる物語と、敵国の監視人ダフネだけだった。という感じで始まる物語。内容的にあまり多くは語りにくいですが、後半の展開は凄いのひとこと。世界がひっくり返ります。
5位 山口雅也『生ける屍の死』
死者が甦る世界で、なぜ殺人がおきるのか。事件を探るのは、いったん死んで甦ったゾンビ探偵。この設定で面白くないわけないですね。そしてこの世界ならではの異形の論理を厳密に守って推理が展開され、美しい結末へ。いわゆるSF的設定のミステリーの最高峰でしょう。
6位 古川日出男『アラビアの夜の種族』
これも一般的にいうところのミステリーではないですが、あまり気にせずに。アラビア民間伝承の物語の英語版を、日本語に翻訳したという形をとっている物語。物語内物語など複雑な構成ですが、読み終わったときの充実感はすごいです。
7位 岡嶋二人『そして扉が閉ざされた』
核シェルターに閉じ込められた男女4人が、過去の事件の犯人探しをするクローズドサークルものですが、外部と連絡する手段はなく、完全に論理だけで犯人を捜さなければならないと言う設定にわくわくします。明かされる真相はシンプルながら切れ味抜群。これぞ本格ミステリーのお手本という作品です。
8位 麻耶雄嵩『木製の王子』
麻耶さんの作品は、著者の頭が良すぎるためかちょっと難解なものもありますが、この作品は頭良すぎる感をひしひしと感じさせつつも、比較的理解しやすくて面白いです。デビュー作の『翼ある闇』、『鴉』もおすすめ。
9位 島田荘司『奇想、天を動かす』
自らの『本格ミステリー宣言』で本格ミステリーを定義した、「幻想的で、魅力ある謎を冒頭付近に有し、さらにこれの解明のための、高度な論理性を有す小説」ということばをそのまま実践した作品。ただし、内容的には意外と社会派な感じです。
10位 竹本健治『ウロボロスの偽書』
「トリック芸者」のパートが最高です。爆笑トリックの連発に、決め台詞の「そこはそれ―」。このパートだけスピンオフシリーズにしてほしいです。
選んでみると、10作に絞るのは難しいですね。恩田陸、東野圭吾、法月綸太郎とまだまだあげたい作品はたくさんあるのですが、言い出すときりがなくなるのでやめておきます。できれば近いうちに海外編も考えてみたいと思っています。