あいちトリエンナーレ2019での電凸対策
2025年9月26日のポリタスTV(報道ヨミトキFRIDAY #216)にて、津田大介さんがあいちトリエンナーレ2019での電凸対策について話していたのでメモ。当該の話は以下の動画の1:26:30あたりから。
[フレーム]www.youtube.com
大村愛知県知事が以下のAERAの記事を読み、電凸対策をマニュアル化し、業務命令として実施するように命じたとのこと。
[フレーム]dot.asahi.com
津田さんの話の中にも登場するJアートコールセンターの話。
[フレーム]bijutsutecho.com
Google Geminiに「動画中のあいちトリエンナーレでの電話対応の話を整理して教えてください」と指示した回答
(next49注:以下の文中の [01:30:00] などは上のYouTube動画のタイムスタンプをしめす。)
登壇者の一人である津田大介氏(あいちトリエンナーレ2019芸術監督)が、抗議電話(電凸)への対応について、当時の具体的な状況と、その後の対応策を詳細に説明しました。
抗議電話の状況
- 規模: 当時殺到した抗議電話・メールは、後のJICAホームタウン認定事業撤回などと比較しても、「数十倍の規模」であったと述べています [01:26:41]。
- 被害: 問い合わせ件数は電話やメール、脅迫など含めて6,000件にも上り、抗議が協賛企業にも拡大しました [01:30:00]。現場の職員の中には、メンタルヘルスを崩して休職する人も出るほどの尋常ではない状況でした [01:28:39]。
- 卑劣な行為: 抗議者側は公務員は自分から電話を切れないという都市伝説的な認識を利用し、長時間対応を強要しました。また、担当者の個人名をネットに晒す行為も横行しました [01:31:36]。さらに、トリエンナーレ事務局以外の県庁の部署にも電話をかけ、業務を妨害しました [01:33:09]。
再開に向けた対応策
抗議電話への対応策は、大村知事が**『AERA.dot』**の記事を読んで着想を得たことがきっかけで講じられました [01:29:02]。
AERA記事による専門家のアドバイス
知事が参考にした記事では、専門家が公務員対応の誤解を指摘し、論理的な対処法を具体的に示していました。
- 電話を切る:「公務員は自分から電話を切ってはいけない」という法的根拠のない慣習を否定し、切るロジックを決めて現場に周知徹底すべきとされました [01:30:29]。
- 長時間対応の否定:長時間の抗議を聞き続けるのは「それこそ税金の無駄遣い」であり、公務に戻るために電話を切るのが我々の公務だとはっきり言うべきと指摘されました [01:33:48]。
- 証拠化と周知:電話の回数や時間を記録し、業務妨害に当たるケースは警察に被害届を出し、その事実を公表することで抑止力になるとアドバイスされました [01:34:00]。
大村知事の業務命令による対応(再開時)
上記の助言を元に、知事は以下のルールを業務命令として現場に徹底させました [01:36:34]。
- 時間制限の徹底:抗議電話は最大10分で切るというルールを策定し、それを業務命令として運用しました [01:36:18]。
- 窓口の一本化:担当窓口ではない電話は「すぐに切れ」という指示を徹底しました [01:36:12]。
- 回線数の削減:抗議電話の殺到を見越して増やしていた回線数を、逆に数回線に絞り込みました。これにより、現場の負担が増えるのを防ぎました [01:36:53]。
- 負荷分散:職員に負担が集中しないよう、ローテーションを組んで対応させました [01:36:47]。
- アーティストによる協力:「J-Artコールセンター」という、アーティストが電話を受けるサポートも利用し、一部の抗議電話をそちらに誘導しました [01:38:43]。
これらの対策によって、再開後の抗議電話には対応しきることができ、業務が麻痺する事態を乗り越えることができたと説明されています。