INTERVIEW ×ばつ児玉裕一 特別対談
東日本大震災から50年後の 福島をテーマに選んだ理由は。 箭内 どんな未来に自分たちが進んでいるのか。そろそろ具体的にイメージして、方向確認することも必要だと思ったんです。ファンタジーやフィクションではなく、リアルな未来を表現したくて、おばあちゃんとお母さんと孫娘の3世代を描くことを考えました。
東日本大震災から50年後の 福島をテーマに選んだ理由は。 箭内 どんな未来に自分たちが進んでいるのか。そろそろ具体的にイメージして、方向確認することも必要だと思ったんです。ファンタジーやフィクションではなく、リアルな未来を表現したくて、おばあちゃんとお母さんと孫娘の3世代を描くことを考えました。
制作にあたってのイメージづくりはどのようにされましたか。 箭内 「福島を発信する動画を制作したい」との県の要望から「2061年のラブソング」という歌を原案に、ミュージカル作品を撮ろうと考えて、児玉くんに演出をお願いしました。「福島のラ・ラ・ランド」を撮りたいんだけど、と。 児玉 そうでしたね。 箭内 「ラ・ラ・ランド」という映画を観た時、すごく児玉作品的な世界観だと感じたんですよ。児玉くんが撮ったんじゃないかと思うぐらい。 児玉 いやいや。お話しを頂いた時は「わかりました」と即答しましたけれど実は内心、怯んでいましたからね。「ブレードランナー」でさえ2049年の設定なのに、さらにその12年後の世界を描くのかと。 箭内 だからこそ、児玉くんのイマジネーションに期待したわけです。
制作にあたってのイメージづくりはどのようにされましたか。 箭内 「福島を発信する動画を制作したい」との県の要望から「2061年のラブソング」という歌を原案に、ミュージカル作品を撮ろうと考えて、児玉くんに演出をお願いしました。「福島のラ・ラ・ランド」を撮りたいんだけど、と。 児玉 そうでしたね。 箭内 「ラ・ラ・ランド」という映画を観た時、すごく児玉作品的な世界観だと感じたんですよ。児玉くんが撮ったんじゃないかと思うぐらい。 児玉 いやいや。お話しを頂いた時は「わかりました」と即答しましたけれど実は内心、怯んでいましたからね。「ブレードランナー」でさえ2049年の設定なのに、さらにその12年後の世界を描くのかと。 箭内 だからこそ、児玉くんのイマジネーションに期待したわけです。 児玉 正直、50年後の風景なんて考えたこともないですもん。でも、作っていくうちに、ディティールを突き詰めるより、「変わらないもの」を考えていけばいいんだとわかってきました。 箭内 現地もロケハンしてくれたんだよね? 児玉 はい。震災の慰霊碑が立つ浪江町の高台がすごく印象に残っています。荒涼とした風景もどこか、ここから新たに始まっていくという力強さを感じて。海沿いに植えられたばかりの苗木の防風林も、50年後には大きくなっているだろうと、想像が膨らみました。 箭内 福島の美味しい日本酒と寿司も味わって。 児玉 そうですね。クリームボックスを食べながら、歌詞にあった、福島のソウルフードのパンってこれか、とか。もし自分が福島に生まれ育ったら、やっぱり子供や孫に、クリームボックスを食べさせたいだろうな、と感じました。
児玉 正直、50年後の風景なんて考えたこともないですもん。でも、作っていくうちに、ディティールを突き詰めるより、「変わらないもの」を考えていけばいいんだとわかってきました。 箭内 現地もロケハンしてくれたんだよね? 児玉 はい。震災の慰霊碑が立つ浪江町の高台がすごく印象に残っています。荒涼とした風景もどこか、ここから新たに始まっていくという力強さを感じて。海沿いに植えられたばかりの苗木の防風林も、50年後には大きくなっているだろうと、想像が膨らみました。 箭内 福島の美味しい日本酒と寿司も味わって。 児玉 そうですね。クリームボックスを食べながら、歌詞にあった、福島のソウルフードのパンってこれか、とか。もし自分が福島に生まれ育ったら、やっぱり子供や孫に、クリームボックスを食べさせたいだろうな、と感じました。
作品に込めたメッセージとは。 児玉 一番意識したのは、その土地に人が生き続けていくということ。福島の伝統文化である、相馬野馬追のようなものも、人と共に受け継がれている。そこを描ければと考えました。 箭内 同じような思いから、僕は3世代のことを描きたいと考えたんです。震災直後には、もう子供は産めないんじゃないかという不安を口にする人もいました。でも、命が健やかにリレーされていく様子を映像化することで、僕の中では事実として呈示したかったというのが大きいです。
作品に込めたメッセージとは。 児玉 一番意識したのは、その土地に人が生き続けていくということ。福島の伝統文化である、相馬野馬追のようなものも、人と共に受け継がれている。そこを描ければと考えました。 箭内 同じような思いから、僕は3世代のことを描きたいと考えたんです。震災直後には、もう子供は産めないんじゃないかという不安を口にする人もいました。でも、命が健やかにリレーされていく様子を映像化することで、僕の中では事実として呈示したかったというのが大きいです。
撮影現場の雰囲気は いかがでしたか。 児玉 主演の清野菜名さんと豊嶋花ちゃん、ふたりの生命感が素晴らしくて。この作品は大丈夫だなと確信しました。花ちゃんは「トットちゃん」でも清野さんの子供時代を演じたので、すごく息があっていましたね。主人公のお父さん役の林遣都くんもすごくチャーミングに演じてくれて。 箭内 そうだね。あとは西田敏行さんの存在感はやはり、すごかったなと。 児玉 まさにスペシャルでした。 箭内 これは個人的な話になりますが、今回撮影したスタジオは、僕が2011年の3月11日、東日本大震災を経験した場所で。その同じ場所で、50年後の福島をテーマにした作品を撮っているということが、とても感慨深かったです。
撮影現場の雰囲気は いかがでしたか。 児玉 主演の清野菜名さんと豊嶋花ちゃん、ふたりの生命感が素晴らしくて。この作品は大丈夫だなと確信しました。花ちゃんは「トットちゃん」でも清野さんの子供時代を演じたので、すごく息があっていましたね。主人公のお父さん役の林遣都くんもすごくチャーミングに演じてくれて。 箭内 そうだね。あとは西田敏行さんの存在感はやはり、すごかったなと。 児玉 まさにスペシャルでした。 箭内 これは個人的な話になりますが、今回撮影したスタジオは、僕が2011年の3月11日、東日本大震災を経験した場所で。その同じ場所で、50年後の福島をテーマにした作品を撮っているということが、とても感慨深かったです。
映像の見どころを教えて下さい。 箭内 今回は未来の物語なのでCGでないと表現できない景色が多くて。後から合成するためにグリーンバックで撮影したんですが、風景もセットもないその映像を見ても、泣けちゃったんです。そこにCGで加えられた未来の風景に、さらに気持ちが昂ぶりました。福島県民になじみ深いものや場所がどう描かれているのか、見てほしいです。同時に、限られた予算をどう配分するかも大事でした。中途半端な薄いものではなく、厚みのある凄いものが完成すれば、作品自体が拡散力を持ちます。すでに多数の協力を得て、上映の場が大きく増えています。 児玉 僕自身、この作品を通じて新たな視点を得た気がします。以前は、1年後の自分すら想像できていなかったんですが、50年後も日本という国は存在するし、福島も東京も故郷もあるんだと考えると、変わって欲しくないことや、変わったらいいなと思うことが見えてきました。こういう感情を、希望というのかなと。この「MIRAI2061」もまた、人々に希望を投げかける作品になっていればいいなと思いますし、福島の方々はもちろん、たくさんの人に見て未来へ思いを馳せてもらえたらと願っています。
映像の見どころを教えて下さい。 箭内 今回は未来の物語なのでCGでないと表現できない景色が多くて。後から合成するためにグリーンバックで撮影したんですが、風景もセットもないその映像を見ても、泣けちゃったんです。そこにCGで加えられた未来の風景に、さらに気持ちが昂ぶりました。福島県民になじみ深いものや場所がどう描かれているのか、見てほしいです。同時に、限られた予算をどう配分するかも大事でした。中途半端な薄いものではなく、厚みのある凄いものが完成すれば、作品自体が拡散力を持ちます。すでに多数の協力を得て、上映の場が大きく増えています。 児玉 僕自身、この作品を通じて新たな視点を得た気がします。以前は、1年後の自分すら想像できていなかったんですが、50年後も日本という国は存在するし、福島も東京も故郷もあるんだと考えると、変わって欲しくないことや、変わったらいいなと思うことが見えてきました。こういう感情を、希望というのかなと。この「MIRAI2061」もまた、人々に希望を投げかける作品になっていればいいなと思いますし、福島の方々はもちろん、たくさんの人に見て未来へ思いを馳せてもらえたらと願っています。