学芸員のちょこっと一言 ながの文化財ブログ

集合住宅の建設に先立ち、中越遺跡(長野市大字中越)で行われていた発掘調査が終了しました。(調査期間:2016年5月30日〜6月27日)

おもな遺構は弥生時代中期(約2000年前)の土坑(地面を掘りくぼめた穴)1基、弥生時代後期(約1800年前)の竪穴住居2軒、奈良時代末(約1200年前)の溝1条で、このほかにも土坑や溝・小穴がたくさん見つかっています。


2軒の竪穴住居はいわゆる焼失住居で、火を受けて炭化した建築部材が床面からたくさん見つかりました。また、このうちの1軒では、緑色に輝くヒスイ製の小さな勾玉が出土しました。

湧き水があり大変な調査でしたが、長期間にわたりこの地に人々が生活していたことを明らかにすることができました。

調査区の全景 弥生時代中期の土坑(SK1)から出土した土器

さんかく調査区の全景

さんかく弥生時代中期の土坑(SK1)から出土した土器
弥生時代後期の焼失住居(SB1) SB1から出土した土器

さんかく弥生時代後期の焼失住居(SB1)

さんかくSB1から出土した土器

弥生時代後期の焼失住居(SB2) SB2出土のヒスイ製勾玉

さんかく弥生時代後期の焼失住居(SB2)

さんかくSB2出土のヒスイ製勾玉

発掘調査の様子 水が溜まった竪穴住居

さんかく発掘調査の様子

さんかく水が溜まった竪穴住居

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平成28年1月12日から2月19日までと、4月25日から5月17日までの期間に、長野市大字南長野の県町で発掘調査を行いました。県町周辺はホテルやビルが立ち並ぶ中心市街地ですが、以前から遺跡が確認されており、今回は新たなマンション建設に先立って調査を行いました。

今回の調査では弥生時代中期、奈良・平安時代の住居跡がみつかりました。

調査面積は全体で約600m2と比較的狭い範囲の調査でしたが、発見された住居は18軒と多く、密集した集落であったことがわかりました。

特に奈良時代の住居跡は、その多くからカマドが検出されました。カマド内からその前面にかけて、焼土や土器が出土し、床面からは形の残る土器が出土しました。

また、弥生時代中期の住居跡では、住居跡の隅から壺が10個体がまとまって出土しました。この住居は柱痕の残りもよく、床面からは土器や炭が多く検出されました。出土状況から、遺構の廃棄に関わる行為ではないかと考えられます。

寒さ厳しい真冬からの調査でしたが、無事発掘調査を終え、良い成果を得ることができました。



奈良時代のカマド 弥生時代の住居跡

奈良時代のカマド(A2次面 SB5) 弥生時代の住居跡(A2次面 SB4)


住居隅出土の土器 調査風景

住居跡隅でかたまって出土した土器 調査風景

(A2次面 SB4)

調査区全景 A区2次面 調査区全景 B区2次面

調査区全景(A区2次面) 調査区全景(B2次面)

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7月から行っていた三才田子遺跡の発掘調査が終わりました。

今回の調査では、弥生時代中期・後期、古墳時代後期、平安時代の住居跡を中心とした遺構が見つかりました。弥生時代から平安時代までの住居が重なって見つかったことから、多くの住居が造られていたことがわかりました。また古墳時代後期の住居では、カマドの中と周りに土器が多く置かれた様子を確認することができました。

このほか、南北方向に流れていた自然流路の跡がみられ、ここからは縄文時代から平安時代にかけての土器が見つかっています。

一番多かったのは弥生時代後期のもので、土器のほかに石鏃が見つかりました。隣接する籠沢遺跡では見られない時期であることから、三才ではどのように集落が作られていたのか考える材料となるでしょう。

今年の夏も猛暑といわれ、暑い中での発掘調査となりましたが、調査区周辺の皆様のご理解、ご協力をいただき、無事に発掘調査を終えることができました。

発掘調査の様子

さんかく古墳時代の住居跡

さんかく古墳時代住居のカマドと土器

さんかく弥生時代から平安時代の住居跡
さんかく調査区全景
さんかく暑い中での発掘調査
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長野市埋蔵文化財センターでは、市立長野高校で開講されている地歴選択授業「考古学入門」のお手伝いをしています。

専門的な研究分野で、実際に発掘調査に参加することによって、歴史に対する生徒の興味を高め、進路選択のきっかけ作りとするもので、今年は8月18・19日の2日間、2名の受講生徒さんが、徳間中南・番場遺跡で発掘調査に参加されました。

徳間中南・番場遺跡は、大規模な宅地造成工事に伴い今年の5月27日から発掘調査が実施されており、現在までの調査で、弥生時代の住居跡・溝跡・土坑、奈良時代の土坑、室町〜戦国時代の井戸跡が発見されています。

実は当初、17日からの3日間の予定でしたが、初日は降雨で作業が中止となってしまいました。翌日は調査区に溜まった雨水の排水作業から始まりましたので、泥水まみれになりながらも受講生徒さんたちは一生懸命に取り組みました。

その後、遺構の検出作業や土質の見分け方、土坑の掘り下げ等を行い、土器などの遺物が出土した瞬間の感動を味わっていただきました。最終日には出土した土器片の洗浄作業も行い、文様が消えないように丁寧にブラシで洗いました。

考古学の基本は発掘調査です。暑い日の炎天下や雨の日の作業など苦労が多くて大変ですが、地道な作業の積み重ねが歴史的な大発見につながることもあります。

今回参加された2名の受講生徒さんたちにとって、良い経験になってくれたらうれしいです。

▼遺構の検出作業

発掘体験 遺構の検出作業

▼土坑の掘り下げ

発掘体験 土坑の掘り下げ

▼土器片の洗浄

発掘体験 土器洗い

▼弥生時代の溝跡

弥生時代の溝跡

▼奈良時代の土坑

奈良時代の土坑

▼室町〜戦国時代の井戸跡

室町〜戦国時代の井戸跡

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櫻ヶ岡中学校2年生2名の生徒さん達が、8月26・27日の2日間職場体験に訪れました。
職場体験では埋蔵文化財センターが行っている業務内容のうち「発掘作業」を
体験していただきました。

発掘作業は実際に発掘調査をしている三才田子遺跡で、発掘作業を体験していただきました。
初めての発掘作業を2人とも楽しんでくれていたようでした。


2日間の日程で行った職場体験ですが、少しでも将来の仕事について考えるきっかけになれば幸いです。


今回発掘作業を体験していただいた三才田子遺跡は北部スポーツレクリエーションパークのすぐ近くにあり、道路改良事業に伴い7月14日から発掘調査を実施しています。
今までの調査で弥生時代中期から平安時代にかけての住居跡を中心とした遺構が見つかっています。住居跡は時期の異なるものが重なっており、長い間多くの住居が造られていたようです。遺物は、土器のほかに黒曜石の破片と石鏃が出土しています。

発掘調査は、もう少しのあいだ続きます。

▼職場体験(発掘作業)の様子

発掘作業の様子

発掘作業の様子

▼発掘調査中

発掘調査 作業風景

▼弥生時代中期の住居と土器

弥生時代中期の住居と土器

▼弥生時代から平安時代の住居

弥生時代から平安時代の住居

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宅地造成工事に伴い5月11日から始まりました、中越遺跡(長野市中越2丁目)の発掘調査が大詰めを迎えています。

▼ 中越遺跡発掘調査のようす

弥生時代後期から平安時代にかけての集落遺跡で、竪穴住居跡3軒(弥生後期1、古墳後期2)のほか、土坑2基、溝跡や畝状遺構、自然地形の落ち込み等を確認しました。

特に自然地形の落ち込みに堆積した弥生時代後期の遺物包含層からは大量の箱清水式土器、いわゆる「赤い土器」が出土しました。

また、古墳時代後期の竪穴住居跡からは、甕と甑(こしき)と高杯、そして石皿がまとまって出土しました。

▼ 甕と甑と高杯と石皿

6月17日には、ラジコンヘリコプターを使用して上空から写真撮影を行いました。ラジコンヘリにはカメラの他にビデオカメラも搭載されており、上空からの映像をその場で確認しながら無線でシャッターを押しました。

発掘現場は閑静な住宅地であり、近くには今春開業したばかりの北陸新幹線も通っていることから、ラジコンヘリの運行には細心の注意が必要になります。測量業者を通じてベテランの専門家に操縦をお願いし、安全に撮影を行うことができました。

▼ラジコンヘリの準備

▼ テイクオフ!

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4月3日から発掘調査を行っていた桐原要害(高野氏館跡)の調査が6月2日に終わりました。中世の井戸や柱穴が見つかり、カワラケ(土器の小皿)や山茶碗・輸入された青磁碗などが出土しました。このほか古墳時代前半にお墓に供えられたと考えられる土器やガラス小玉なども出土しています。また古墳時代後半と平安時代の竪穴住居跡も見つかりました。近隣の発掘調査でも同時期の住居が多く見られるため、桐原一帯に集落が広がっていたと思われます。

発掘調査の様子

さんかく土器をクリーニング中
いい写真が撮れるといいですね!
さんかく青いガラス小玉が出土した土坑
さんかく平安時代の竪穴住居のカマド
土器がたくさんあって掘るのは大変です。
さんかく平安時代の竪穴住居跡

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現在、桐原要害(高野氏館跡)での発掘調査を行っています。この遺跡は応永10年(1403)に幕府代官細川慈忠に攻め落された「桐原要害」の推定地とされています。発掘開始からまだ間もないですが、中世の館を囲むと想定される溝の一部が見つかりました。これは平成23年度に長野県埋蔵文化財センターの調査で発見された溝の続きと思われます。また下層では古代の竪穴住居跡や溝跡が見つかり、古墳時代(約1700〜1400年前)の土器も出土しています。これから館の内部を発掘する予定です。



▼古墳時代の土器が発見されました。 ▼古代の溝には岸に杭列が見つかりました。



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交差点改良工事にともない8月4日から行われていた松代町東寺尾の松原遺跡の発掘調査が、10月10日に終わりました。

上信越自動車道長野ICのほど近くにある松原遺跡は、千曲川の右岸自然堤防上に広がる遺跡で、縄文時代から中世までの長きにわたる人々の生活の跡が残されています。特に、弥生時代中期後半(約2000年前)の集落は南北約700m、東西約400mという広さで、東日本では最大規模と考えられています。

今回の発掘調査面積は約300m2で、見つかった遺構は平安時代後半の住居跡2軒・溝1条など、弥生時代中期後半の土坑3基・溝1条などと少数でした。また、出土遺物の量もそれほど多くありませんでした。このことから調査地は集落の端部と考えられ、松原遺跡の範囲を考える上で貴重な成果を得ることができました。


[画像:調査前の様子] 調査前のようすです。中央に旧屋代線の線路敷、奥には上信越自動車道が見えます。
[画像:発掘調査の様子] 平安時代の住居跡を調査しているようすです。
[画像:土器が出土した様子] 弥生時代中期後半の土坑(大きな穴)からは完形に近い小型の甕が出土しました。

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観光客でにぎわっている善光寺さんの参道脇で、門前町跡の発掘調査が4月17日から始まっています。

さんかく調査が始まった門前町跡

開発事業の店舗増築工事に先立って、予定地の約130m2を調査しています。

まだ掘り始めたばかりですので、現在の地表面からは約30〜40cmという浅い場所ですが、これまでに礎石列や石室、石組み井戸などの遺構や、陶磁器や瓦の破片、銭貨などの遺物が出土しています。

さんかく礎石列などの遺構精査

4月30日には長野ケーブルテレビさんの取材もありました。

さんかくテレビ取材のようす

これからも調査が続きます。徐々に深くなり、時代も古くなっていくと思います。貴重な成果やおもしろい発見がありましたら、このブログでご紹介します。

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