12/31/2021
2021年の私的ベスト10
今年発表された楽曲での私的ベスト10を発表します。
The Peggies「ドア」
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私は、ぺぎっ子なので、The Peggiesの作品は全て素晴らしいと思ってしまうのですが、中でも出色なのは、この「ドア」です。基本的には、キラキラしたシングルカット曲よりも、くねたアルバム収録曲に名曲が多いバンドです。
「ドア」もまた、くねた感情を吐き出した歌詞が秀逸です。「君を最低な奴だと言い聞かせて 全部嫌いだと泣いている」という、感情を押し殺す苦悩の表現とか、ガールズバンドとしては群を抜いている感があります。
そこに、The Peggiesとしては珍しい、泣きのギターソロが効果的に入ってきます。
Gacharic Spin 「MindSet」
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YouTube動画で、PVを流して感想を述べる「reaction動画」というジャンルがあるのですが、外国人YouTuberのreaction動画で軒並み高い評価を得ていたのが、この「MindSet」です。
ドラムとベースの圧倒的な演奏力が印象的な楽曲です。歌詞自体は「人生をリセットしたい→リセットしなくていい」という趣旨のもので、近時よくありがちのものかなという気がしなくもありませんし、もう少し推敲した方がいいのではという部分もなくはないですが(特に、「無敵に見えた」云々のところは、陳腐かなと。)、そんなふうに歌詞に目くじらを立てるべき楽曲ではないのでしょうね。
HAKUBI「誰かの神様になりたかった」
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今年の初めにメジャーデビューしたHAKUBIですが、とりあえず何かをなくすことなく猛烈な数のツアーを行い、いくつものシングルを発表し、そして満を持して発表したアルバム「era」はかなりの名盤です。
先行してシングルカットされた「アカツキ」や「在る日々」も名曲ですが、アルバム収録曲である「誰かの神様になりたかった」が出色かなと思いました。特に後半のたたみ掛ける部分には圧倒されざるを得ません。
マハラージャン「セーラムン太郎」
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曲のタイトルと、PVのサムネイルを見ただけだと、コミックソングに見えますが、バックバンドの演奏を含めてとてもファンキーで格好いい楽曲に仕上がっています。この歌は、あまり歌詞のことを考えずに、演奏を楽しめばいいのかなと思います。
生活は忘れて「生活」
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「生活は忘れて」という名前のソロシンガーの「生活」という楽曲は、絶望感とやるせなさに満ちあふれた歌詞と、不思議感が漂うメロディとセルフハーモニーと、シンプルな伴奏からなる、印象的な作品です。
韻を踏みまくるという、HIPHOPの洗礼を受けた後のポップスの技法を守りながら、投げやりな感情をうまく表せていると思います。
ano「SWEETSIDE SUICIDE」
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ano「SWEETSIDE SUICIDE」は、重い歌詞と、シンプルなフレーズを繰り返すメロディと伴奏、anoさんの歌う姿と交互に映し出される不思議な家族の映像、そしてPVのエンディングを含め、今季一番ヤバい作品だと思います。
Scandal「蒼の鳴る夜の隙間で」
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この歌は、Scandalの結成15年記念の大阪城ホールでのライブでいきなり発表された楽曲です。
自粛期間中に起こったことに対するRinaさんなりの思いを表した作品とのことです。考えてみると、そういう作品今年はもっと出てくるかと思っていましたが、案外少なかったですね。この歌詞自体は、抽象的かつ幻想的で、聴く側でいろいろな解釈ができてしまいますが。
時速36km「アンラッキーハッピーエンドロール」
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このバンドは、メインボーカルの仲川さんの声をいかに生かすかに掛かっているバンドだと言っても過言ではありません。それ以外は、まさにロックの原点に最も近いと言っても過言ではないバンドです。今年フルアルバム出せて本当に良かったですね。
FAITH「Yellow Road〜Summer〜Stand Up and Scream It 」
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FAITHは、メジャーデビュー後初のアルバムを出し、全国ツアーを回れると思ったら、アルバム発売直前にドラムが脱退し、程なくして解散してしまいました。全編英語詞のバンドでブレイクする可能性のある数少ないバンドだったので、非常に残念です。
これは、メジャーデビュー後最初で最後の東京でのライブを写したビデオです。
FAITHのナンバーでは、この「YELLOW ROAD」が、一番希望に満ちあふれていて好きなので、特にピックアップしてみました。
Ice Paper「中间人」
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メランコリックなメロディに、哲学的な歌詞。シンプルな伴奏。
Ice Paperは、中国江蘇省出身のシンガーソングライターのようですが、中国本土の音楽シーンもこのレベルにまでとうとう行き着いたかという感じです。
Posted by 小倉秀夫 at 01:55 AM | Permalink | Commentaires (0)
12/20/2020
2020年の私的best10
今年(正確に言えば去年の12月から今年の11月)に私が認知した楽曲のうち、トップ10に入ると思ったものを紹介していきます。
私の一推しのバンドであるThe Peggiesは、今年も良い曲をガンガン作り、発表してくれたのですが、そのうちから1曲を選ぶとすれば、映画「アルプススタンドのはしの方」のエンディングテーマである「青すぎる空」ですね。
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サウンドのポップさと歌詞のもどかしさのギャップがまさにThe Peggiesらしいし、上記映画を見たあとにこの曲を聴くと、「ああ、この部分はあの場面のことを歌っているのか」という気分になれる部分がいくつも散見できて楽しいです。PVだけでいえば「Weekend」の方がかわいいのですが。
二番推しのScandalの楽曲の中から選ぶとすれば、「ランドリー・ランドリー」です。Rinaさん作詞・Mamiさん作曲・Harunaさんメインボーカルの作品の持つ切れ味とは全く異なり、Tomomiさん作詞・作曲・メインボーカルの作品の持つ「味わい」がよく出ています。
去年から注目しているHakubiについては、「22」を選びたいところです。「なりたかった自分ってこんな自分だっけ」という問いかけは22才より52才の方が響きます。このバンドは、ボーカルの声質も魅力的ですが、ドラムスがしっかりしているので、安心して聴けます。
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Hakubiのメインボーカルの片桐さんが緊急事態宣言中にソロで作るあげた「きみはうつくし」は、YouTube動画でしか見れませんが、あの時代を語る楽曲として、後世まで語り継ぎたいところです。
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今年新たに注目し始めたバンドとして、「FAITH」をあげることができます。5人のメンバーのうち3人がハーフで、歌詞が全部英語という構成で、メジャーデビューにこぎ着けるのは相当大変なことですが、楽曲を聴けば、このバンドがそれを成し遂げたのも当然だと納得できます。個人的には、昨年発表された「Yellow Road」が好きなのですが、今年発表の「Party All Night」も若さにあふれていて、聴いていて気持ちの良い楽曲です。
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若い才能と言えば、2001年生まれのシンガーソングライター「Karin.」の生産性がすごいです。今年の代表曲をあげるとすれば「君が生きる街」ですね。
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とはいえ、今年一番の楽曲は、緑黄色社会の「Shout Baby」だと思います。もともと歌唱力と演奏力の高いバンドでしたが、メインボーカルが美人過ぎて迷走していた感があったところ、去年くらいから迷走が終わり、今年この楽曲で花開いた感があります。さすがにこの歌詞がかけるようになるにはある程度の年月が必要だったのでしょう。
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あと、情熱系では、長靴をはいた猫の「涙の街」が印象に残りましたし(特に、最後の方のパフォーマンスは、強烈です。)、ロマン系だと、Atomic Skipperの「アルテミス」が印象に残りました。 Atomic Skipperは、ようやく全国流通版を出すところまでこぎ着けて、これから全国ツアーをしようとした矢先に、緊急事態宣言でライブを全部潰された悲運のバンドなので、頑張ってほしいところです。
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男性ボーカルのユニットだと、Creepy Nutsの「かつて天才だった俺たちへ」が群を抜いていた感があります。こんなにバラエティに出る人だとは思いませんでしたが。
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国外に目を向けると、周杰倫の「Mojito」が良かったですね。ラテンの乗りなんだけど中国語というギャップの面白さですね。今年は、コロナ関係の替え歌がやたら流行りましたね。
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もっとも、今年Spotifyで私が一番多く聴いた楽曲は、ヤバイTシャツ屋さんの「創英角ポップ体」だったのですが。
Posted by 小倉秀夫 at 12:34 AM dans musique | Permalink | Commentaires (0)
09/13/2020
2020年上半期
今年の上半期のベスト5を並べてみたいと思います。
歌詞の深さ、メロディラインの美しさ、ボーカルのうまさと力強さ、楽器隊の力量で他を圧倒していたのが緑黄色社会のShout Babyです。緑黄色社会は、閃光ライオネットで衝撃のデビューを果たした後、晴子さんの美貌を活かそうとしすぎて瞑想していた感がありますが、昨年くらいから迷走が収まり、今年この楽曲で大きな花を咲かせた感があります。
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次が、The Peggiesの「青すぎる空」です。
The Peggiesの「アネモネep」に収録されていた楽曲の中で、表題曲の「アネモネ」よりもこっちの方がピンときたのです(こっちの方がロック色強いですからね。)。
「青すぎる空」は、映画「アルプススタンドのはしの方」のために書き下ろされた楽曲です。この映画自体がすごくよい出来で、映画とコラボしたPVは、The Peggiesファンも「アルプススタンドのはしの方」も楽しめるものになっています。
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次に、hakubiのギターボーカルである片桐さんが、緊急事態宣言期間中にソロで製作した「きみはうつくし」です。この楽曲は、YouTube上でしか視聴できません。
こういう時期だからこそ「あまりやすやすと消えてくれるな」というフレーズが特に意味を持つのでしょう。
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周杰倫 の「Mojito」は、「古くて新しい」路線で却って新鮮でした。
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Atomic Skipperは、私が最後にライブを見たバンドです。
そのとき絶賛発売中だったアルバム「思春を超えて」のメイン楽曲が「アルテミス」です(「幸福論」や「星降る夜」は前からありましたし)。全国流通版を出し、これから全国ツアーをやろうとした矢先に緊急事態宣言でライブを全部潰された悲運のバンドです。
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Posted by 小倉秀夫 at 12:15 PM dans musique | Permalink | Commentaires (0)
12/29/2019
2019年のライブ実績
2019年も暮れようとしていますので、今年のライブ参加実績をまとめてみました。
日付 | 会場 | アーティスト | 対バン |
---|---|---|---|
1月5日 | 鴬谷 東京キネマ倶楽部 | リーガルリリー | |
1月13日 | 武蔵大学 | 時速36km | |
1月26日 | 渋谷CLUB QUATTRO | The Peggies | Amelie |
2月4日 | 新代田crossing | みきなつみ | |
2月6日 | 下北沢SHELTER | FINLANDS | ART SCHOOL |
3月5日 | SHINJUKU BLAZE | The Peggies | majiko , 嘘とカメレオン ,エドガー・サリヴァン |
3月30日 | ダイアモンドホール | SCANDAL | |
4月7日 | 渋谷CLUB QUATTRO | The Peggies | |
4月23日 | BAYSIS | The Peggies | |
5月24日 | DRUM Be-1 | The Peggies | |
5月28日 | Bunkamuraオーチャードホール | ZAZ | |
6月8日 | 下北沢DaisyBar | 時速36km | ROKI |
6月15日 | マイナビBLITZ赤坂 | The Peggies | |
6月29日 | Zepp Sapporo | SCANDAL | |
7月10日 | Zepp Tokyo | SCANDAL | |
7月11日 | Zepp Tokyo | SCANDAL | |
8月1日 | 下北沢HALF | 北澤ゆうほ | タグチハナ、たかはしほのか |
8月6日 | ROCKTOWN | 北澤ゆうほ | なきごと、PELICAN FANCLUB |
8月21日 | Zepp DiverCity TOKYO | SCANDAL | |
8月27日 | 下北沢SHELTER | The Peggies | ラブリーサマーちゃん |
9月24日 | 渋谷TSUTAYA O-EAST | Tricot | |
9月27日 | 下北沢GARDEN | The Peggies | MINT mate box |
10月18日 | ライブハウス北浦和KYARA | The Peggies | |
10月21日 | BAYSIS | The Peggies | |
10月27日 | 熊本B.9 V2 | The Peggies | |
11月24日 | 松本ALECX | The Peggies | |
12月1日 | TSUTAYA O-EAST | The Peggies | |
12月6日 | 代官山UNIT | みきなつみ | |
12月7日 | マイナビBLITZ赤坂 | The Peggies | Suspended 4th、ドミコ、chelmico、秋山黄色 |
12月14日 | SPiCE(ex.DUCE) | The Peggies | |
12月17日 | 横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール | The Peggies | あゆみくりかまき |
Posted by 小倉秀夫 at 11:10 AM dans musique | Permalink | Commentaires (0)
07/13/2019
2019年上半期のおすすめ
2019年も半分が過ぎたので、この上半期に私が知るに至った楽曲で特に気に入った曲を紹介していくことにします。
The Peggiesの「スタンドバイミー」
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テレビアニメ「さらざんまい」のエンディングテーマですが、10年代の最後を飾るにふさわしい名曲です。「きみ」と「ぼく」との微妙な関係(恋人同士とも取れるし友人同士ともとれますが)を歌い上げた歌詞も見事ですし、北澤さんのボーカルと石渡さんのベースとの関係も秀逸です。もちろん、ドラムの大貫さんはいつも通り最高の仕事をしています。
上半期のThe Peggiesのナンバーでは、「する」も超絶です。
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日本のガールズバンドでこの歌詞が書けるのは、The Peggiesだけ(というか、北澤さんだけ)だと思いますし、ここまでハードに演奏できるのもThe Peggiesだけだろうなと思います。
歌詞に関して言えば、ヨルシカの「だから僕は音楽を辞めた」に注目をすべきです。
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いたるところに引っかかるフレーズをちりばめつつ、最後まで聞くと全体のストーリーがきちんと見えてくる。若い子たちの歌は何いっているのかわからないとか、やっぱり日本人の心は演歌だよねとかいっているおじさんたちはこの歌詞を10回ぐらい熟読して欲しいところです。
ボーカルの凄さという点では、majikoの「狂おしいほど僕には美しい」がやばいです。
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The Peggiesの対バン相手だったので、偶然ライブで見たのですが、ボーカルのエネルギーが半端でなかったです。この感覚は、やはりThe Peggiesの対バンで大森靖子の「音楽を捨てよ、そして音楽へ」を聞いた時以来です。
PVの勝利だと思ったのは、黃明志の「Behind Me(在我背後)」です。
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黃明志ことNameweeはマレーシアのアーティストです。台湾の銘伝大学コミュニケーション学部卒なので、普通に中国語で歌いますが。彼は、< a href = "https://www.nst.com.my/news/crime-courts/2018/02/338071/namewee-arrested-over-controversial-cny-video">そのミュージックビデオが人種的な対立を煽るものとして逮捕された</a >ばかりなので、それを踏まえてみると、グッとくるものがあります。
熊仔 Presents BOWZ CHOOSE WISELYの 「禁愛令(Antilove)」も現代的なセンスを感じます。
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素材としての凄さを感じるのが、みきなつみの「ぼくにとってのヒーロー」です。2013年にZara Larssonを「発見」したときの感覚に似ています。
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タイトルの勝利だと思ったのは、スガシカオの「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」です。
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今年は、改元が行われたので、これに乗じた作品がいくつも出てきましたが、そのなかでは、sasukeの「平成終わるってよ」が秀逸です。
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Posted by 小倉秀夫 at 11:40 AM | Permalink | Commentaires (0)
01/04/2019
平成最後のパブコメ
A:リーチサイト等を通じた侵害コンテンツへの誘導行為への対応
権利侵害情報を含むWebページへのリンクの提供行為自体を違法な行為と規定するか否か、規定する場合どのような条件を課すか、リンク先のWebページに権利侵害情報が含まれている場合にリンクの削除義務を課す規定を置くか否か、置くとした場合どのような条件を課すか、その場合、検索エンジンについて特別の規定をおくか否かという問題については、そのWebページにおいて侵害されている権利が著作権や著作隣接権であるか否かによって対応を変える必要があるとは思えない。したがって、この問題は、著作権法の改正により著作権等が侵害された場合に限定した問題として立法的な解決を図るべき問題ではなく、プロバイダ責任制限法の改正等により、汎用的に立法的な解決が図られるべきものである。
なお、検索エンジンの大半は外国企業によって運営されているから、日本にいる被害者が外国企業たる検索エンジン提供事業者に対し安価かつ迅速に侵害情報へのリンク等の削除を求める仮処分等を申し立てることができる仕組みを構築しなければ、著作権法改正により上記削除義務を法定しても実効性を持たないことが予想される(例えば、Google Incは、日本在住者をもターゲットとして検索エンジンサービス等の提供を業として行なっているにも関わらず、外国法人としての登記を日本において行なっておらず、日本における代表者も定めていない。このため、Google Incに対し、違法サイトへのリンクの削除を求めて仮処分を申し立てまたは訴訟を提起しようとしても、Goole Incの代表者を証した公文書を取り寄せることが求められるとともに、主著書面および書証を英訳することが求められ、さらに仮処分であれば決定書が領事送達の方法によりGoole Incに送達されなければ効力が生じず、訴訟であれば訴状等が領事送達の方法で送達されなければ第一回口頭弁論期日さえ行えない。Google合同会社に対して仮処分を申し立てたり訴訟を提起したりしたところで、自分たちには権限がないと主張されて終わるだけである。)。したがって、外国の事業者に対する訴訟ないし民事保全に関する法整備を行うことなくただ漫然と検索エンジンサービス提供事業者に違法サイトへのリンクの削除義務を負わせる立法をしたところで、日本国発の新たな検索エンジンサービス事業の創設を阻害する以上の機能を持たないことは容易に予想される。
B:ダウンロード違法化の対象範囲の見直し
違法にアップロードされたコンテンツの私的使用目的のダウンロード行為を不法行為としまたは犯罪行為とした場合、特定の人物(以下、「被疑者等」という。)がそのようなダウンロードをしたことを権利者がその権利者が民事訴訟または保全手続において立証し、もしくは検察が刑事裁判の中で立証するためには、被疑者等が使用している端末を物理的に押さえ、専門家による調査を行わせることが必要である。そのためには、訴えや保全申立て前の証拠保全や、捜査段階での捜索差押が用いられることにならざるを得ない。このようにして被疑者が使用するコンピュータ等の端末が押さえられ調査された場合、証拠保全を申し立てた「権利者」や捜索差押を実施した捜査機関は、その「被疑者」がいつどこにアクセスしてどのようなコンテンツをダウンロードしたのかを包括的に知ることになる。それはプライバシー権や思想・良心の自由を大いに侵害することになる。
インターネットに接続しコンテンツをダウンロードする機能を有する端末機器を保有しているほとんどの市民には違法にアップロードされたコンテンツを私的にダウンロードしている可能性がある反面、そのようなダンロードにはそれ以上に特別な機器等を必要としない。このため、裁判所としては、被疑者等がそのような端末を保有している蓋然性が高いことだけチェックして令状の発布等を行うか、その他に違法ダウンロードをしている蓋然性が高いことを示す資料の提出を求めて事実上令状等の発布等を行わないこととするかの二者択一を迫られることとなる。前者の場合、別件の捜査のために、私的ダウンロード罪を被疑事実としてパソコン等の捜索差押がなされたり、マスメディア等が著名人に関する醜聞を追いかけるためにその著名人等のパソコン等について証拠保全の申立てをしたりする危険性がある。後者の場合、改正法はほぼ実効性を有しないこととなる。
また、違法アップロードコンテンツのダウンロードの違法化・犯罪化は、その捜査等の過程で広く市民のプライバシー権や思想・良心の自由を制約することとなるので、これによりコンテンツの売上が飛躍的に向上する見込みが立たないのであれば実施すべきではない。それゆえ、上記立法が先行的になされた音楽・映像コンテンツについて、法改正の結果正規の音楽コンテンツおよび映像コンテンツの売上額の向上に繋がったのかをまず検証すべきである。
なお、音楽コンテンツについては、違法にアップロードされたコンテンツの私的使用目的でのダウンロードを違法化しても音楽CDの売り上げの減少傾向に歯止めはかかっておらず、ダウンロード配信の伸びも、人気アーティストのデジタル配信への参加が広まっていったにも関わらず、ダウンロード行為を犯罪化した2012年以降、有料配信回数は着実に減少している(日本レコード協会が公開しているデータをもとにシングルトラックとアルバムの音楽配信売上額の推移を見てみると、ピークである2009年を1とした場合に、2010年が0.97、2011年が0.83、2012年が0.66、2013年が0.50、2014年が0.49、2015年が0.48。2016年が0.46である。)。反対に、違法にアップロードしたものであってもその視聴等が違法化されていないストリーム配信の売上額は2009年度のそれと比べて2016年度のそれは約20倍となっている。これをみる限り、ダウンロードの違法化、犯罪化は、コンテンツのうる上げを増大させるという目的との関係では、むしろ逆効果となっている可能性が高い。
著作権等の制限に関する規定やこれに関する判例は国ごとに大きく異なっており、有償で正規にコンテンツ配信を行う事業者において自国法に基づいて必要な権利処理を行ったとしても、日本法を前提とした場合には権利処理が不十分とされる場合がありうる(例えば、著名な有償著作物に関するパロディ作品など。)。この場合、日本在住者または日本国外にいる日本国民は、その事業者の本国において適切に権利処理されている作品をダウンロード購入したのになお、日本で処罰される危険を負うことになる(理論的には、ダウンロード購入をする前に、日本法を前提とした場合には配信者がしなければならない権利処理を購入者側で行うことでこのリスクを回避することが可能であるが、現実的ではない。)。
これは、日本在住者等のみが、特定の情報を知ること自体許されなくなるという事態を招来させるものであり、国民の知る権利をないがしろにするものである。したがって、配信事業者の本国法において必要な権利処理がなされたコンテンツについては、日本法のもとで必要とされる権利処理に不備があったとしても、そこからのダウンロードを不法行為ないし犯罪行為とするべきではない。
Posted by 小倉秀夫 at 12:55 PM dans D'autre problème de droite | Permalink | Commentaires (0) | TrackBack (0)
12/19/2018
ライブ鑑賞結果報告 IN 2018
今年私が行ったライブはおおむね下記の通りです。
日付 | 会場 | アーティスト |
---|---|---|
02/07 | 千葉LOOK | teto/Czecho No Republic |
03/04 | 下北沢SHELTER | Luca / Hump Back |
03/10 | 仙台enn | The Peggies |
03/25 | 赤坂BLITZ | The Peggies |
03/26 | 下北沢 BASEMENT BAR | Finlands |
04/23 | 下北沢CLUB251 | The Peggies |
05/11 | 中野サンプラザホール | SCANDAL |
05/18 | 静岡市清水文化会館 | SCANDAL |
05/19 | 岐阜市民会館 | SCANDAL |
07/01 | KYOTO MUSE | The Peggies |
07/05 | WWW X | The Peggies |
07/21 | 下北沢 BASEMENT BAR | Lucie, too / the wisely brothers |
08/27 | 下北沢SHELTER | The Peggies |
09/02 | 下北沢CLUB Que | それでも世界が続くなら |
09/16 | WWW X | Shiggy Jr./ The Peggies |
09/19 | EX THEATER ROPPONG | ポルカドットスティングレイ / Official髭男dism |
10/16 | 渋谷CLUB QUATTRO | Finlands |
10/18 | TSUTAYA O-nest | KOTORI/SUNNY CAR WASH |
10/20 | 東京ビッグサイト | The Peggies |
11/12 | DaikanyamaLOOP | ハルカトミユキ / リーガルリリー |
11/20 | Zepp Tokyo | Scandal |
11/26 | 福岡DRUM Be-1 | The Peggies |
12/02 | TSUTAYA O-EAST | The Peggies |
12/14 | WWW X | tricot |
12/16 | shibuya eggman | みきなつみ |
あとは12月24日のScandalのライブを観ておしまいです。
Posted by 小倉秀夫 at 10:26 AM dans musique | Permalink | Commentaires (0) | TrackBack (0)
12/09/2018
2018年私的ベスト10
今年も年末になりましたので、昨年末から今日までにかけて私が新たに認識した楽曲の中で私的におすすめのものを列挙していきたいと思います。
The Peggies 「ハートビート」
Apple Musicではこちら、spotifyではこちら。
今年は、The Peggiesが精力的に新曲を出し続けた年でした。「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」のオープニングテーマに「君のせい」が使用されたことで、アニメ愛好家の認知も得たようです。
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ただ、今年公開されたThe Peggiesの楽曲の中では、「ハートビート」が一番質が高かったかなと個人的には思います。大貫さんのドラムも、石渡さんのベースも創造性にあふれているし、北澤さんも紡ぎ出す歌詞も完璧です。
Scandal「プラットホームシンドローム」
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Scandalが今年発売したアルバム「HONEY」は傑作です。Scandalは四人全員容姿端麗だし、デビュー当初はギャルっぽさを売りにしていた部分があるので誤解されがちですが、現在は結構ハードなロックバンドです。ドラムもベースもギターも、全てが疾走感を醸し出しています。プラットホームシンドロームでは、イントロのリードギターのリフから全力で駆け抜ける感じが極めて気持ちが良いのです。そして、現在の彼女たちはこれをライブでも再現する能力を持っています。
泉まくら 『いのち feat. ラブリーサマーちゃん』
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The Peggiesの3人と中学・高校の同級生であるラブリーサマーちゃんが泉まくらさんと組んで発表したのがこの楽曲です。この楽曲の良さは、圧倒的な歌詞の強さですね。曲がおしゃれだから、歌詞の強さが余計引き立ちます。
みきなつみ「ボクらの叫び」
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歌詞の力強さという点では、みきなつみ「ボクらの叫び」も負けていません。こんな真っ直ぐの歌詞をかける若さと才能に、大人たちはもっと気付くべきだと思います。
SUNNY CAR WASH「ムーンスキップ」
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ボーイズバンドによるストレートなラブソングですが、冒頭で「賛否両論です」と歌い上げることでまず聞き手を惹き付けるあたりが、荒削りにみえてよく練られています。
時速36km「七月七日通り」
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ボーズバンドで今年新たな発見と言えば、この時速36kmですね。リードボーカルの声質が良く、滑舌も良いので、この難解な歌を普通にこなせています(ライブを観ていないので、生音でどうなるのかまでは分からないのですが。)。
FINLANDS「yellowboost」
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リードボーカルの声質という点では、Finlandsも未だ健在です。このバンドは、サポートメンバーの男性二人(ギターとドラム)が超絶的に上手いのもあり、塩入さんの特殊な歌い方が、疾走感に哀愁を付加します。
ZAZ「Qué vendrá」
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声質の良さという点で言えば、フランスのZAZも健在です。この歌も、この声質で歌われるからこそ、この伴奏で成立するんだといえそうです。
×ばつJulia Wu ×ばつRGRY「買榜」
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これとは大局的に、曲もPVもおしゃれに仕上がっているのが、「買榜」です。まあ、見ての通りメンバーが凄いので、できがいいのは当然なのですが。
ずっと真夜中でいいのに。「脳裏上のクラッカー
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最後に、なぞのユニット「ずっと真夜中でいいのに。」の作品。メンバーの芸名は公開されていますが、PVがオールアニメーションですから、どんな人が演奏しているのかが今のところ全く分からなかったりします。華やかな歌詞と派手なメロディが続く当たり、ボカロ楽曲の影響が強そうです。
Posted by 小倉秀夫 at 08:53 AM dans musique | Permalink | Commentaires (0)
10/04/2018
シラバス変更
明治で担当している法情報社会Bの授業、ちょっとシラバスを変更することにしました。まあ、ブロッキング問題に言及する回を設定するだけですが。
回 | テーマ |
---|---|
第1回 | IT社会の発展史 |
第2回 | フェアユース |
第3回 | 利用規約 |
第4回 | CLOUD |
第5回 | フリーソフトウェア |
第6回 | 大学と情報法 |
第7回 | ヴォーカロイド |
第8回 | ポイント・仮想通貨 |
第9回 | ブロッキング問題 |
第10回 | 政治と選挙と情報法 |
第11回 | AIと法律 |
第12回 | 風評被害 |
第13回 | IT犯罪 |
第14回 | 発信者情報開示をめぐる最前線 |
Posted by 小倉秀夫 at 12:21 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink | Commentaires (0)
07/11/2018
2018年上半期ベスト5
この次の関ジャムで「今年の上半期おすすめの5曲」コーナーをやるみたいなので、私的におすすめの5曲を披露していこうと思います。
まずは、あいみょん/尾崎世界観(クリープハイプ)/片岡健太(sumika)/GEN(04 Limited Sazabys)/斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)/スガ シカオがシンガーとして参加する「栞」ですね。[フレーム]
案外このクラスのアーティストがこのくらい集まって1つの曲をやるって珍しいし、楽曲自体もできがすこぶるよいです。
次に、大森靖子の「死神」。ライブではアコースティックギター一本の弾き語りで演じられることが多いですが、こちらのPVのアレンジの方がなお良いように思います。子どもを育てていく決意をこのように表現した、力強い楽曲って、類例が乏しい気がします。[フレーム]
次に、緑黄色社会の「真夜中ドライブ」
緑黄色社会は、なまじリードボーカルが美人なだけに、ここのところそれを活かそうとしすぎて失敗してきた感があったのですが、ようやく閃光ライオネットのころの輝きを取り戻した感があります。[フレーム]
そして、Hump Backの「拝啓、少年よ」。
従前、男性ボーカルユニットが扱ってきたようなストレートなメッセージソングをガールズバンドが扱う時代になったのだなあと。チャットモンチーが活動を終える年にこういうバンドが出てくるんだなあ(まあ、去年「星丘公園」で知る人は知る存在にはなっていましたが。)。[フレーム]
最後にThe Peggiesの「ハートビート」。
PVはないようですが、iTunesだとこちら。The Peggiesは、若手ガールズバンドの中ではドラムとベースがピカイチであることを証明してくれる楽曲です。もちろん、北澤さんのソングライティング能力と卓越した声質があっての話ですが。
昨年12月まで範囲を広げると、とけた電球の「心が忘れない」やLucie, Tooの「Lucky」なども入ってきますね。
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Posted by 小倉秀夫 at 02:24 AM dans musique | Permalink | Commentaires (0) | TrackBack (0)
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