デジタル台風では台風に関連するデータを独自の視点に基づき提供していますが、生死に関わる判断の基礎となるのは、信頼できる台風(熱帯低気圧)情報です。そこで以下の2つのサイトを信頼できる情報源とし、台風ニュース・ウェブログにリンクを設置しています。2つの異なる情報源が発表する進路予想や勢力予想を比較すれば、台風の今後の予測に関するセカンド・オピニオンとしての使い方ができるでしょう。
日本の気象庁が発表する台風情報です。通常は3時間おきに最新の台風情報が発表されますが、台風が日本に接近した(おおよそ300km以内)場合には1時間おきの発表に変更となります。民間気象会社や報道機関が発表する台風情報、そしてデジタル台風や台風画報(ブログパーツ)が提供する台風情報、そして台風進路予想図(Google Maps版)が提供する台風予報は、いずれも気象庁が発表する速報に基づいています。最新の台風状況や台風予想進路、各地の天気予報や注意報・警報、全国の天気図などについては、気象庁のウェブサイトで確認して下さい。なお予報期間については、2009年4月から5日(120時間)予報が始まっています。
アメリカ・ハワイの米軍合同台風警報センター(JTWC)が発表する台風情報です。この台風情報は、本来は米国の政府機関による利用を意図した情報ではありますが、一般の人々もアクセスすることができます。通常は6時間おきに情報を発表します。なお、このサイトの台風情報の見方ですが、時刻表記が協定世界時(文中表記はUTCではなくZ)となっている点に注意する必要があります。日本時間に直すには時差の9時間を加えて下さい。
なお台風ニュース・ウェブログの個別の台風記事からも経路図に対するリンクがあります。またデジタル台風:ご意見・お問い合わせにも関連する情報があります。
なお、JTWCサイトがアクセスできない場合には、Tropical Cyclone Page - Navy/NRL TC PAGESも試してみて下さい。
気象庁の台風情報と米軍の台風情報とでは、最大風速の値が異なります。ほとんどの場合は、米軍台風情報の方がより大きな値となります。その最大の原因は、平均風速の定義が日米で異なること(日本は10分平均、米国は1分平均)にあります。一般的には、10分平均風速は1分平均風速の0.88倍に相当すると言われています。また、観測データから最大風速を推定する方法の違いによって推定値が異なるという側面もあります。ちなみに日本が用いている10分平均風速の方がグローバルスタンダードです。
また米軍の台風情報では、台風の中心気圧は発表せずに最大風速のみを発表します。その理由は中心気圧は滅多に測ることがないからだそうです。なんだか、なげやりな記述にも思えますが、一概にそうとも言えません。最近はマイクロ波散乱計を使う衛星(例えばQuikSCAT)を用いて、台風の厚い雲の下に隠れた海面の波の状態から台風中心付近の風速を推定する技術が進展しつつあり、今後は気圧よりも風速の方が推定しやすい値として有望です。
ただし、地上で測定する場合には、風速計よりも気圧計の方が安定した値が得られますし、気圧はいつも中心付近で最低値を示す(風速は最大値の場所か台風ごとに異なる)という面でも、風速よりは気圧の方が使いやすい面もあります。また、中心気圧の値の方が過去の膨大なデータからの連続性がありますし、特に日本では台風の勢力を示す値として中心気圧の方が定着しています。
以上をまとめると、日本のように中心気圧を重視する立場に対し、米国のように最大風速を重視する立場は、より合理的であるという側面があります。ただしこれまでの経緯を考えれば、両者の併用が望ましいところです。
台風番号とは番号方式による台風の名前で、1月から始まる台風シーズンごとに数え始めます。日本の気象庁は新たに台風が発生するたびに、台風1号から台風番号を増やしていきます。また米軍合同台風警報センター(JTWC)も新たに台風が発生するたびに、01Wから台風番号を増やしていきます。ならば両者の番号はいつも一致するかというと、実はそうでもないのです。それはなぜでしょうか。
その原因は、気象庁とJTWCが独自に台風発生を認定していることにあります。気象庁が台風の発生を認めてもJTWCが認めない場合、あるいはJTWCが台風の発生を認めても気象庁が認めない場合に、両者の台風番号はずれ始めることになります。2000年以前にはこのずれが原因で、名無し台風も生じていました。台風の発生を認めるかどうかは専門家の総合的な判断に基づいているため、時には意見の違いが生じてしまうことも避けられません。
またこのような食い違いは、気象庁とJTWCの間だけに生じるものではなく、各国の気象機関の間でも生じることがあります。例えば日本の台風200413号は、中国では台風200414号となっていましたが、これも同じような原因で生じる食い違いです。各国の台風情報を比べるときには、台風の国際番号(台風のアジア名)や中心位置などを確認し、台風を取り違えないように注意して下さい。
台風情報へのアクセス方法として、デジタル台風ではウェブサイトの他にも以下のような方法を用意しています。ご利用下さい。
北西太平洋・南シナ海周辺各国の機関が提供している、世界の気象情報や台風情報のリストです。その他の情報につきましては、台風予報や台風情報リンク集をご参照ください。
日本、気象庁。
http://www.jma.go.jp/jp/typh/
米国、米軍合同台風警報センター (Joint Typhoon Warning Center)。
https://metoc.ndbc.noaa.gov/JTWC/
米国、アメリカ海軍研究所(海洋気象部門)。上記のJTWCが利用できない場合にはこちらから同様の情報を入手可能です。
http://www.nrlmry.navy.mil/tc_pages/tc_home.html
World Meteorological Organizationがまとめる、世界の熱帯低気圧情報へのリアルタイムのリンク集。
http://severe.worldweather.wmo.int/
中国、中国气象局国家气象中心。
http://www.nmc.gov.cn/nmc/treeNavigator.do?type=Typhoon&format=Image&site=A_chn
香港、香港天文台。
http://www.weather.gov.hk/informtc/tcMain.htm
韓国、Korea Meteorological Administration。
http://www.kma.go.kr/eng/wis/wis02.jsp
フィリピン、Philippine Atmospheric Geophysical and Astronomical Services Administration (PAGASA)。台風の名前がフィリピン独自の名前なので注意。
http://www.pagasa.dost.gov.ph/wb/tc_up.html
台湾、中央氣象局。
http://www.cwb.gov.tw/
アジア各国の気象機関(香港、米国、日本、中国、台湾、韓国)の進路予報を比較。
http://asiatcforecast.co.cc/
香港地下天文台。アジア各国の気象機関(香港、米国、日本、中国、台湾、韓国)の進路予報を比較。
http://www.weather.org.hk/tctrack/
アメリカ国立気象局。西経140度から西経180度の中部太平洋のハリケーン情報を提供。ハリケーンが西経180度(日付変更線)を越えると台風になります。
http://www.prh.noaa.gov/hnl/cphc/