0920.jpg2025年1月29日(水)《第44回読響アンサンブル・シリーズ/上岡敏之と読響メンバーによる室内楽》と3月24日(月)《第45回読響アンサンブル・シリーズ/阪田知樹と読響メンバーによる室内楽》の2公演のチケット(1回券)を、9月27日(金)から一般発売/9月24日(火)から読響会員優先発売します。
1月はドイツを拠点に指揮者として活躍している上岡敏之がピアノを弾き、読響メンバーとジョリヴェ「リノスの歌」サン=サーンスの七重奏曲、フランクのピアノ五重奏曲の3曲を演奏します。独自の解釈で作品の新たな魅力に迫るでしょう。
3月は充実した活動を続けている阪田知樹が登場し、「フォーレを讃えて/フォーレとその弟子達による室内楽作品の夕べ」と題し、フォーレのピアノ五重奏曲第1番をメインに、リリ・ブーランジェ、エネスコ、フローラン・シュミット作品を並べた意欲的なプログラムを披露します。
チケット(1回券)は、全席指定5,000円です。会場のトッパンホール(408席)は、国内有数の響きの良いホールで、いずれのお席からも舞台が見やすい贅沢な空間です。読響メンバーによる白熱のアンサンブルを、どうぞお楽しみください。
チケットのお申込みは、読響チケットセンター 0570-00-4390(10時〜18時) 及び 読響チケットWEB まで。
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1-3月まとめ.png《定期演奏会》《名曲》《土曜マチネー》《日曜マチネー》《横浜マチネー》各シリーズの2025年1月〜3月に開催する全14公演のチケット(1回券)を、10月5日(土)から一般発売/10月2日(水)から読響会員優先発売します。
今年度の目玉企画である3月12日と15日公演では、常任指揮者ヴァイグレがベルクの歌劇「ヴォツェック」(演奏会形式)を指揮し、ゲルネ、ブルンス、シュトルックマン、オークスら世界的な豪華歌手たちが共演します。
また尾高忠明や鈴木優人ら読響指揮者陣は、ショスタコーヴィチやベートーヴェンの名曲を披露。これまでも読響と数々の名演を繰り広げてきたツァグロゼク、上岡敏之、小林資典らが客演し、ブルックナー、ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキーなどの作品を指揮します。
ソリストとして、“孤高の芸術家”ポゴレリッチ、絶大な人気を誇る反田恭平、国民的ピアニスト辻井伸行、歌心あふれる表現力で魅了する気鋭ヴァイオリニストのラドゥロヴィチ、イタリアが生んだチェロの世界的“カリスマ”ソッリマらが登場します。詳しくは、各公演ページをご覧ください。
チケットのお申し込みは、読響チケットセンター 0570-00-4390(10時〜18時・年中無休)へお電話いただくか、読響チケットWEB でもお買い求めいただけます。
第273回土曜マチネーシリーズ
2025年1月11日〈土〉 東京オペラシティコンサートホール
指揮=小林資典
ヴァイオリン=ヴァレリー・ソコロフ
シャブリエ:気まぐれなブーレ
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
第644回定期演奏会
2025年1月21日〈火〉 サントリーホール
指揮=上岡敏之
ピアノ=イーヴォ・ポゴレリッチ
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調 作品103 「1905年」
第139回横浜マチネーシリーズ
2025年1月26日〈日〉 横浜みなとみらいホール
指揮=アラン・ブリバエフ
ピアノ=反田恭平
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から"だったん人の踊り"
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 作品16
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロミオとジュリエット」から
第274回日曜マチネーシリーズ
2025年2月 2日〈日〉 東京オペラシティコンサートホール
指揮=ローター・ツァグロゼク
シューマン:「マンフレッド」序曲
シューマン:交響曲第4番 ニ短調 作品120
モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K. 551「ジュピター」
第679回名曲シリーズ
2025年2月27日〈木〉 サントリーホール
指揮=尾高忠明
ピアノ=辻井伸行
芥川也寸志:交響管弦楽のための音楽
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 作品47
第275回土曜マチネーシリーズ
2025年3月22日〈土〉 東京オペラシティコンサートホール
指揮=鈴木優人
チェロ=ジョヴァンニ・ソッリマ、遠藤真理(読響ソロ・チェロ)
一柳慧:オーケストラのための「共存」
ソッリマ:「多様なる大地」(日本初演)
ソッリマ:「チェロよ、歌え!」
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92
11月17日(日)「第137回横浜マチネーシリーズ」のチケットは、好評につき完売しました。
9月13日現在の残券は、以下の通りです。
ソリストとして、ピアノのポゴレリッチ、反田恭平、辻井伸行、ヴァイオリンのテツラフ、ラドゥロヴィチ、ソコロフ、チェロのソッリマら個性豊かな面々が登場します。
お申し込み・お問い合わせは、読響チケットセンター 0570-00-4390(10時〜18時・年中無休)へ。
11月19日(火)「第43回読響アンサンブル・シリーズ/鈴木優人プロデュース」のチケットは、好評につき完売しました。
9月13日(金)「第675回名曲シリーズ」のチケットは、好評につき完売しました。
なお、同プログラムの9月11日(水)「第39回大阪定期演奏会」のチケットは、好評発売中です。
[画像:【読響みなとみらい】ゼロチケバナー800×800.jpg]11月27日(水)19時から横浜みなとみらいホールにて「読響みなとみらいスペシャル《藤岡幸夫×清塚信也》」(主催:日本テレビ)を開催します。
ジャンルの垣根を超えて活躍している人気ピアニストの清塚信也がラフマニノフの傑作、ピアノ協奏曲第2番で共演します。美しくロマンティックな旋律を繊細かつ力強いタッチで弾き、会場を熱くさせるでしょう。ご期待ください。
熱くエネルギッシュな音楽作りで活躍する藤岡幸夫は、チャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」などを指揮します。「花のワルツ」「トレパック」「あし笛の踊り」などの名曲から躍動するリズムを引き出し、華麗なサウンドを響かせるでしょう。
演奏会の冒頭には、藤岡と清塚によるトーク・コーナーもあります。ユーモアあふれる二人による音楽談義も、どうぞお楽しみください。
チケットは、9月28日(土)12時から一般発売します。現在、日テレゼロチケ最速先行(抽選)を受付中(9月8日まで)です。なお、読響チケットセンターでの同公演のチケットの取り扱いはございません。
【詳細】https://l-tike.com/ntvzero/event/20241127_yomikyo.html
×ばつ清塚信也》
2024年11月27日〈水〉 横浜みなとみらいホール
指揮=藤岡幸夫
ピアノ=清塚信也
藤岡&清塚のトーク
チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
コンサートマスターの長原幸太が、9月30日付で退団します。2014年10月にコンサートマスターとして入団し、10年にわたって活躍しました。
9月28日、29日の《土曜・日曜マチネーシリーズ》が、最終ステージになります。
■しかく長原氏からの退団のご挨拶
2014年10月に読響のコンサートマスターに就任してあっという間に10年が過ぎました。カンブルランとヴァイグレの二人の常任指揮者をはじめ、スクロヴァチェフスキ、テミルカーノフ、ロジェストヴェンスキー、マイスター、ヴァルチュハ、小林研一郎、尾高忠明、山田和樹、鈴木優人の各氏ら数々の素晴らしい指揮者と共演することができ、私の音楽人生を豊かなものにしていただきました。
私にとって最大の財産は、何よりも読響メンバーとの出会いです。定期演奏会などの主催公演だけでなく、全てのコンサートにおいて全力で能動的に音楽を表現するオーケストラは、とても稀有な存在だと思います。読響は世界に誇る「音楽バカ」の集まりです! そんな読響を熱心に応援してくださるお客様は大変心強い存在です。温かなお客様に囲まれて読響の一員として10年間演奏できたことを誇りに思います。またサポートしてくださった事務局の方たちの努力にも本当に感謝しています。
私は退団した後も、心の中で読響を愛し、一人の音楽家として歩んでいきます。そして読響が、今後も唯一無二の優れたオーケストラとして、更に発展していくことと信じています。10年間、数々の素晴らしい体験と思い出をありがとうございました。これまで出会った全ての方々に感謝申し上げます。
2024年9月 長原幸太
音楽評論家の澤谷夏樹さんに、9月5日(木)《第641回定期演奏会》で日本初演するスルンカのチェンバロ協奏曲「スタンドスティル」について、特徴や聴きどころなどをご寄稿いただきました。
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チェンバロ協奏曲の「終着駅」– スルンカの作品世界 澤谷夏樹
ゆで卵カッター? プラ下敷き? 張り手に肘打ちに図形楽譜!?
奇想天外な音楽の先にある、大真面目な「スタンドスティル(最終地点)」とは
◆だいやまーくチェンバロ協奏曲は1717年生まれ
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750)は、フランスの音楽家ルイ・マルシャン(1669〜1732)との“鍵盤試合”に備え、とっておきの「切り札」を用意していた。マルシャンが逃げ出したことにより、1717年の試合そのものは立ち消えになるも、その「切り札」はかろうじて生き残る。バッハがこの作品を改訂し、1721年、第5番として《ブランデンブルク協奏曲》に組み入れたからだ。
チェンバロ協奏曲、もっと言うと鍵盤楽器のための協奏曲は、“鍵盤試合”をきっかけにバッハが生み出した、新しいジャンルだった。その後、ヘンデルやバッハの息子たち、ハイドンらが同ジャンルに作品を残す。モーツァルトのころになるとピアノ協奏曲が優勢になることは、ご案内の通り。
チェンバロ協奏曲が息を吹き返すのは20世紀の初め、いわゆるモダン・チェンバロ(金属フレームに撥弦機構を搭載したキメラ楽器)の発明によるところが大きい。その音色を聴き、同時代の作曲家、たとえばファリャやミヨー、プーランクらが競って作品を残した。
楽器としてのチェンバロは、20世紀後半の古楽運動と軌を一つにして、18世紀以前の姿を取り戻す。博物館などに残るオリジナル楽器に範をとり、製作を試みるチェンバロ・ビルダーが登場した。この復元楽器は、必ずしもモダン・オーケストラと相性が良いわけではないので、両者を協奏させる作品は今日、20世紀の初めほどは世に出ていない。
◆だいやまーくスルンカとオペラ〈南極〉
そんな状況の中、ミロスラフ・スルンカ(1975〜)が2022年、チェンバロ協奏曲を書き上げた。その次第を見る前に、この作曲家について少し“探り”を入れておこう。2004年ごろから創作活動を本格化させたスルンカは、2016年に書いた歌劇〈南極〉で、世界にその名を轟かせる。
〈南極〉は仕掛けの利いたオペラだ。歌劇はアムンゼンとスコットの南極先着競争を描き出す。ステージではノルウェー隊とイギリス隊の言行が同時進行する。小説であれば、順次、両者に触れることはできるが、場面を同時に描くことはできない。絵画であれば、ある一瞬を同時に描き出すことはできるが、場面を進行させられない。音楽であれば、両者を同時進行させた上で、反目させたり調和させたりすることができる。
[画像:BW_KIK03454_mid-res-c-Kaupo-Kikkas-452x678.jpg]◆だいやまーくチェンバロの秘める「時間性」
スルンカは、こうした音楽の特殊な「時間性」につねに着目してきた。その目をチェンバロにも向ける。チェンバロにおいては「音の高さと長さが前面に出る」。「その響きは音色と音量の点で、いかなる変化も実現できない」。「チェンバロの発音機構は0か1かでデジタル的である」。作曲家はこう考えた。
ギターのように弦をはじいて発音するチェンバロは、音の減衰が速い(音を保続する時間が短い)。鍵盤を強く押そうが優しく撫でようが、音量や音色は変化しない(音量・音色の漸次変化は可能だが、ピアノとは実現方法が違う)。だから作曲家の言う通り、「音の高さと長さ」が剥き出しで表に出る。
スルンカは協奏曲の独奏楽器として、二段の手鍵盤を備えたチェンバロを指定している。この手の楽器はふつう、独立した3セットの弦列、つまり記譜通りの音高のセットを2列と、記譜よりもオクターヴ高いセットを1列持つ。
それらを二段の鍵盤と連動させたりさせなかったりすることで、使用する弦列の組み合わせを変え、さまざまな音色を出すことができる(さらに言うと、弦列と鍵盤の連動をすべて解けば、鍵盤をいくら操作しても弦の音はしない。鍵盤の上下する動作音がするのみ)。鍵盤も弦列も独立しているので、仮に両手で同じ音域を弾いたとしても、左右の手を上下の鍵盤に分けて置いていれば、指をぶつけることもないし、旋律を歯抜けにすることもない。つまり、〈南極〉で作曲家が試みた「同時進行」を、チェンバロならば突き詰めることができる。
◆だいやまーく作曲家のアイデアと意図
そこでスルンカは、チェンバロとオーケストラの各楽器を、音の保続時間の長短で整理しなおすことにした。チェンバロやパーカッションは短い音を出す。管楽器やピアノはそれよりは長い音(と短い音)を出せるだろう。弦楽器やアコーディオンは、管楽器と違って肺活量の制限がないから、音を延々と引き伸ばすことができる(し、短い音とそれよりは長い音も出せる)。
このように楽器編成を「音の保続時間の長短で整理」し、音楽制作の柱とするアイデアは、必ずしも珍しいものではない。シュトックハウゼンは1977年の雅楽曲〈リヒト – 歴年〉で、「1977年」の一十百千の各位と、雅楽器各パートの音の保続時間とを結びつけた。一の位には楽箏や琵琶(いずれも撥弦楽器)、十の位には篳篥(息が短い)、百の位には龍笛(篳篥よりは息が長い)、千の位には笙(吹いても吸っても音が出る)といった具合に。
雅楽には雅楽の楽器の扱いがある。シュトックハウゼンはその歴史や慣習を、なにくわぬ顔で打ち破ってしまった(だから当時、反発が大きかった)。スルンカもまた、チェンバロの歴史的・慣習的な扱いを超え出ることを、ひとつの目標にしているようにも見える。「スタンドスティル」(「停止」「行き詰まり」の意)なる副題には、そんなチェンバロの「行き詰まり=最終地点」を示そうとする、作曲家の並々ならぬ意欲が感じられる。
事実、協奏曲の最終局面でチェンバロは、機構上の“極北”に到達してしまう。その様子については、演奏会場で実際に“聴いて”いただきたい。それは、チェンバロ奏者にとっても、私たち聴き手にとっても、ひとつの“おかしな体験”となるはずだ。
◆だいやまーくさまざまな工夫
アイデア自体は興味深いが、それだけで作品全体ができるほど、音楽制作は甘くない(と愚考する)。そこで作曲家はさまざまな工夫を凝らす。上行音型と下行音型との相剋で音楽を前に進めるのもそうだ。不確定の楽譜(五線を基礎に置いた図形楽譜)を導入するのもひとつの手。張り手や肘打ちのようなチェンバロ奏法もある。特殊な(いや、むしろ日常的な)楽器を使うこともサウンドに弾力を与える。「ゆで卵カッター」や「プラスチック下敷き」が舞台上に見え隠れするのだ。どんな音かは聴いてのお楽しみとしよう。
【お申し込み】日本アルバン・ベルク協会のメールアドレス abergアットkch.biglobe.ne.jp(担当:荒地)までお申し込みください。受付は、8月27日(火)午前10時から9月末日まで(定員に達し次第締切)。メールにはご氏名(ご所属)、メールアドレス、当日連絡できる電話番号、をご記入の上、お申し込みください。読響会員の方は当日会員証のご提示をお願いします。詳しくは、日本アルバン・ベルク協会のホームページをご覧ください。
◆だいやまーく3月のベルク/歌劇「ヴォツェック」(演奏会形式)公演の情報は以下をご覧ください。
2025年3月12日(水)《第646回定期演奏会》