「頭金2割」は必要な住宅資金の一部
住宅購入における頭金の目安としてよく言われるのが「物件価格の2割」です。2020年度の「フラット35」の利用者を見てみると、新築マンション購入者の場合、自己資金は平均758万円。これは購入価額の16.7%に相当します。また、新築の建売住宅では自己資金247万円で購入価額の7.1%、注文住宅では自己資金618万円で建設費の17.5%(※(注記))。いずれも「頭金2割」には届いていませんが、実態に近い数字とも言えるでしょう。
しかし、その数字をそのまま貯蓄の目標額とするのは、やや早計です。
その理由として、まず住宅購入には物件価格とは別に、諸経費が発生するからです。売買等の契約に必要な印紙代、登記時に発生する手数料や税金、ローンの保証料や保険料、中古物件であれば仲介手数料も発生します。その他、引っ越し代や家具、家電の購入など、新築で物件価格の3〜7%、中古で6〜10%は別途見ておくべきでしょう。
さらに、住宅購入後に手持ちの貯蓄がゼロでは、日々の生活が不安となります。不測の事態(家族の病気、事故、収入ダウンなど)に備えるためにも、生活費の半年分は残しておきたいところ。
たとえば、物件価格3,500万円の新築マンションを購入するとします。その場合、頭金として700万円、諸費用に200万円、そして手元に残す資金を100万円とすると、貯蓄がおおよそ1,000万円程度になった時点で、初めて「頭金2割」に達したことになるわけです。
(※(注記))住宅金融支援機構「2020年度フラット35利用者調査」より
無理のない資金計画は返済可能額から考える
とは言え、「頭金2割」は、それだけ用意できれば返済可能な住宅ローンを組めるだろうという、ひとつの目安に過ぎません。長期の住宅ローンが組めない、子どもが多く教育資金がかなり必要になりそうなど、家庭によって状況はさまざま。十分返済が可能な額から資金計画を考え、その上で、準備すべき頭金を割り出しましょう。
逆に、頭金が2割に満たなくても、十分ローンが返済できるのであれば、それにこだわる必要はないと言えます。ただし、大きな負債を背負うことに変わりはありません。家計リスクを抑えるためにも、少なくとも「1割」以上は用意したいところです。
住宅資金の貯め方ですが、基本は毎月の積立となります。積立定期預金か、勤務先に財形貯蓄制度があれば財形住宅貯蓄を利用してもいいでしょう。また、ボーナスからより多くを貯蓄に回すと、住宅資金づくりのペースがグンと早まります。一方、投資商品で住宅資金を増やすという方法は、不安があります。元本保証で確実に貯めていくことが結局は近道と考えてください。