今年のNHK大河ドラマは、舞台が平安時代で、タイトルが「光る君へ」だと聞いたとき、「ほほう、今年は源氏物語の世界か」と早合点した。「あの物語の世界」が毎週、絢爛(けんらん)豪華に展開されるのだろうなと、勝手に想像してしまっていた。
加えて、脚本は、世間の誰もが認めるラブストーリーの名手、大石静さんである。
となれば、あの「源氏物語」の、あの「いくつもある男女関係」の中から、大石さんは誰と誰の組み合わせの、どういう話の展開をするだろうかと、それはそれは心弾む思いで、あれこれ思いをめぐらせていた。
だが、始まってみると、この「光る君へ」はラブストーリーではあるけれど、何と源氏物語の作者本人が、そのラブストーリーの当事者だった。しかも、そのお相手が、誰あろう、あの「藤原道長」だったという衝撃のストーリー展開に、まず、私は度肝を抜かれたのだった。
でも、冷静になってよく考えれば、これはなるほど、あり得ない話ではなかったのだ。事実、2人はともに好意を抱き、恋絡みの歌を送ったり、返したりしていた。