Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-2-大分県のコウモリ,特に大分市野津原地区の
コウモリ類の生息状況について
船越 公威1)*・渡邊 啓文2)1)鹿児島国際大学生物学研究室,2)
西日本技術開発株式会社環境部
Bat fauna of Oita Prefecture, with special reference to their ecology
in Notsuharu-chiku, Oita City, Japan
Kimitake FUNAKOSHI1)**・Hirofumi WATANABE2)
1) Biological Laboratory, The International University of Kagoshima, Kagoshima
2) Environment Department, West Japan Engineering Consultants, INC, Fukuoka
要旨
これまで大分県において本格的なコウモリ類の調査が行われていなかった。
そこで,主に大分市野津原地区の大分川ダム周辺域における活動期のコウモリ
相を調査した。その結果,約 60 km2内にキクガシラコウモリ,コキクガシラコウ
モリ,ノレンコウモリ,モモジロコウモリ,ユビナガコウモリ,アブラコウモ
リ,ヒナコウモリおよびテングコウモリの 8 種を記録し,すでに報告したウサ
ギコウモリを加えて 9 種の生息を確認した。これまで記録されている大分県の
ほぼ全種を包含している。また,
この地域がコウモリの多様な採餌空間を提供し
ている。大分県南東部の洞窟性コウモリ類の調査で,特に廻栖野の地下壕では
約 400 頭のノレンコウモリの哺育集団,野津町の白山権現洞ではユビナガコウ
モリ最大 2 万頭におよぶ越冬集団,
キクガシラコウモリ約 90 頭の哺育集団,上津小野のコウモリ穴では約 500 頭のコキクガシラコウモリの哺育集団が確認さ
れた。今後,近隣他県で生息が確認されているコテングコウモリ,ヤマコウモ
リ,オヒキコウモリおよびクロホオヒゲコウモリの生息の有無や生息状況につ
いて本格的な調査が望まれる。
【キーワード】大分県,コウモリ相,生息状況,哺育集団,越冬集団*〒891-0103 鹿児島市坂之上 8 丁目 34-1**8-34-1, Sakanoue, Kagoshima, 891-0197, Japan 2016 年 8 月 31 日受付
e-mail: funakoshi@int.iuk.ac.jp 2016 年 11 月 7 日受理
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-3-はじめに
大分県のコウモリ類については,澤田
(1994)によって,洞窟性コウモリ類のキク
ガシラコウモリ Rhinolophus ferrumequinum,
コ キ ク ガ シ ラ コ ウ モ リ Rhinolophus
cornutus, ユ ビ ナ ガ コ ウ モ リ Miniopterus
fuliginosus が記載された。その後,共著者の
渡 邊 に よ っ て テ ン グ コ ウ モ リ Murina
hilgendorfi が日田市大山町で発見された(渡
邊, 未発表;[船越,1997]に記載)。近年,
新たな調査地で,
上記以外の洞窟性コ
ウ モ リ で あ る モ モ ジ ロ コ ウ モ リ Myotis
macrodactylus , ノ レ ン コ ウ モ リ Myotis
bombinus が 加 わ っ た ( Yamauchi and
Funakoshi, 2000; 足立・森田,2009; 森田ほ
か,2010,森田,2016)
。最近では,ウサギコ
ウモリ Plecotus sacrimontis の生息が確認さ
れた(船越ほか,2015)。しかし,大分県のコウモリ類に関して,こ
れまで特定地域の本格的な調査がなされなか
った。
大分川ダム建設に当たって,
このダム域
を含む大分市野津原地区のコウモリ相調査を
行ったので報告する。
また,
これまで大分県の
南東部と野津原周辺域でコウモリ類を調査し
たのでそれらの結果についても報告する。
以上
の結果に基づいて,
大分県のコウモリ類につい
て考察する。
調査地および方法
調査地は,
大分県中央部に位置する大分市野
津原地区の大分川ダムの周辺域(図 1)で,大
分川の支流域である七瀬川流域にあって,
それ
に平行して 500m前後の山が南西から北東方
向に走っている(図 2)
。山地の植生としてシ
イ類,
イチイガシ,
ウラジロガシおよびサカキ
などが見られる。
低地には,
耕作地や民家が点
在している。
調査は 2003 年 7 月 24〜29 日,8月 8〜13 日,8 月 22〜26 日および 9 月 14〜
17 日の計 4 回に分けて行った。
また,2006 年 7 月 29 日に野津原地区近隣
の北西部に位置する大分市廻栖野の地下壕で
調査を行った(図 1)
。それ以前に行った洞窟
性コウモリ類の調査として,
佐伯市本匠の風戸
コウモリ穴では 1977 年 5 月 4 日に,
臼杵市野
津町の白山権現洞では 1976 年 11 月 9 日,1977年 5 月 5 日,1984 年 11 月 22 日,1985 年 5
月 5 日,
1986 年 7 月 8 日,
2013 年 1 月 25 日,
同年 7 月 8 日および同年 8 月 22 日に,佐伯市
宇目の上津小野のコウモリ穴では 1977 年 5 月
4 日,1984 年 3 月 18 日,11 月 23 日,1985
年 5 月 6 日および 1986 年 7 月 19 日に行った
(図 1)。大分川ダム周辺の調査地には,
ダム建設に関
連した横坑
(11 ヵ所
: 図 2 の No. 1〜10, 13),鉱山廃坑(2 ヵ所: No. 11, 14)および試掘洞窟
(1 ヵ所: No. 12)が点在していて,洞窟性コ
ウモリ類のねぐらを提供している。
横坑は,岩盤調査用の坑道でほぼ水平に掘られており,断面の高さ約 ×ばつ幅約 1m,長さ 30〜120m
図 1.調査地点 (しろいしかく: 大分川ダムとその周辺域,
A: 廻栖野の地下壕,B: 風戸コウモリ穴,
C: 白山権現洞,D: 上津小野のコウモリ穴)
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-4-前後である。
調査の際に,
坑内の気温や湿度を
デジタル温湿度計(TRH-CA, 神栄株式会社,
東京,最小目盛 0.1°C,0.1%)で測定した。洞
窟性コウモリ類の調査では,
昼間に洞内で捕虫
網あるいは手捕りでコウモリを捕獲した。
野津
原地区以外の他地域のコウモリ調査では,
洞内
の各種個体数を直接目視によるか写真撮影に
よってカウントした。
また,
出洞時における飛
翔数を目視かバットディテクターを併用して
カウントした。
野津原地区において夜間に飛翔するコウモ
リ類については,カスミ網(×ばつ4
mと ×ばつ4m)
を各地点に数ヵ所設置して捕
獲した。
捕獲地点は,
林内,
耕作地付近,
路上,
道上,橋上,溜池付近,河原および沢上の多様
な場所を選んで合計29地点に設定した
(図3)。各調査期間
(4 回)
に各地点 1~3 日間の夜間に
カスミ網による捕獲を行った。
その際,
バット
ディテクター(Mini-3; Ultra Sound Advice,
London)を活用した。
捕獲されたコウモリについては,
性別・齢や
繁殖状態をチェックした後,
電子体重計
(ハン
ディミニ 1476,タニタ,
東京,
最小目盛 0.1g)
で体重を測定し,ノギス(KSM-15, 中村製作
所,東京,最小目盛 0.05mm)で前腕長を測定
した。
齢査定については,
前肢関節の化骨の程
度や腹部の体毛(幼獣は灰白色)
,雄ではペニ
スや精巣のサイズ,
雌では乳頭や乳腺の発達程
度をチェックして,
幼獣,
亜成獣および成獣の
区分を行った.
計測終了後,
前腕部に標識用リ
ングを着けて捕獲場所で放した。
なお,
本研究は環境省九州地方環境事務所か
ら鳥獣捕獲許可証
(昭和 51 年度第 10-0001 号,
昭和 52 年度第 10-0001 号,昭和 59 年度第
10-0002 号,昭和 60 年度第 10-0001 号,昭和
61 年度 10-0001 号,平成 15 年度第 10-0001
号および平成 18 年度第 10-0001 号)
を得て行
われた。
結 果1.野津原地区の洞内で捕獲されたコウモリ類
横坑や鉱山跡・試掘跡に生息するコウモリ類
について,表 1, 2 にまとめて示した。キクガ
シラコウモリは点在する洞窟を広く利用し,各洞窟の個体数は少なかったが,
鉱山跡では利用
個体数が比較的多かった。
コキクガシラコウモ
図 3.カスミ網設置場所
(1: 路上, 2: 道上, 3: 道上, 4: 林内路上, 5:
河原, 6: 耕地脇, 7: 路上, 8: 林内, 9: 林
縁,10: 沢上, 11: 山斜面河岸, 12: 河原, 13:
橋上, 14: 橋上, 15: 沢上, 16: 川上, 17: 橋
上,18: 川上, 19: 沢上, 20: 路上・沢上, 21: 沢
上, 22: 川岸, 23: 橋上, 24: 溜池付近・路上,
25: 道上, 26: 路上, 27: 沢上, 28: 沢上, 29:
沢上)
図 2.調査対象の人工洞窟
(1: 横坑 TL-2, 2: 横坑 TL-4, 3: 横坑 TL-1, 4:
横坑 TL-3, 5: 横坑 TR-2, 6: 横坑 TR-6,7: 横
坑 TR-1, 8: 横坑 TR-3, 9: 横坑 TR-7, 10: 横坑
TR-5, 11: 荷尾杵鉱山跡, 12: 試掘洞窟,13: 横
坑 QT-1, 14: No.15-9 左上廃鉱)
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-5-リは延べ捕獲総個体数が 58 頭で,大半は雌が
占めていた。
ノレンコウモリは点在する洞窟を広く利用
していたが,
利用個体は雄ばかりであった。モモジロコウモリは,利用個体数が 2 頭(雌)で
同属のノレンコウモリに比べて少なかった。いずれの人工洞窟もねぐら付近の気温は 17〜
19°Cであった。
2.野津原地区のカスミ網で捕獲された
コウモリ類
カスミ網で捕獲されたコウモリ類について,
表 3, 4 にまとめて示した。キクガシラコウモ
リは広範囲で捕獲された。
コキクガシラコウモ
リやノレンコウモリはカスミ網設置 No.4 の林
内路上のみで各種 3 頭,1 頭が捕獲された。ユ
ビナガコウモリはカスミ網設置 No.2 のトンネ
ル洞口で多数捕獲されたが,
路上や沢上などで
も各地点で 1~4 頭捕獲された。モモジロコウ
モリは,
路上に加えて河原,
橋上及び沢上の各
地点で 1~2 頭捕獲され,雌の方か多かった。
アブラコウモリ Pipistrellus abramus は河
原,橋上で各地点 1~2 頭捕獲されたが,雄の
人工 名称 種
各種の性(齢・個体数)、洞内の気温(°C)および湿度(%)
洞窟No. 7月下旬 気温 湿度 8月上旬 気温 湿度 8月下旬 気温 湿度 9月中旬 気温 湿度
1 横坑TL-2 キクガシラコウモリ ♂(S2) 17.4 88.0 ー 25.0 98.0 ー 18.5 92.5 ー 19.3 91.5
2 横坑TL-4 キクガシラコウモリ ー 17.5 88.5 ♂(A1) 19.0 97.5 ♂(A1) 18.7 91.0 ♂(A1), ♀(A1) 18.5 92.0
3 横坑TL-1 キクガシラコウモリ ♂(A1) 17.5 89.5 ♂(A1) 19.0 98.5 ♂(S1) 20.0 96.5 ♂(A1), ♀(S1) 18.8 90.0
ノレンコウモリ ♂(A1) ♂(A1) ♂(A1) ー
4 横坑TL-3 ー ー 17.5 85.0 ー 17.5 89.5 ー 17.5 94.5 ー 18.0 90.5
5 横坑TR-2 キクガシラコウモリ ♂(A1) 17.3 91.5 ♂(S1) 18.0 95.5 ♂(A1) 17.8 95.5 ♂(A1), ♀(A1) 17.7 92.5
ノレンコウモリ ♂(A1) ー ー ー
モモジロコウモリ ー ー ♀(A1) ー
6 横坑TR-6 ノレンコウモリ ♂(A1) 17.3 95.5 ー 17.5 95.3 ー 18.0 97.5 ー 18.0 91.5
7 横坑TR-1 キクガシラコウモリ ー 18.5 90.8 ー 18.9 95.5 ー 20.5 92.5 ♂(A2) 19.0 90.5
ノレンコウモリ ー ♂(A1) ー ♂(A1)
8 横坑TR-3 キクガシラコウモリ ー 17.5 90.4 ♂(A1) 18.2 98.5 ー 18.0 91.5 ♂(A1) 18.3 94.5
コキクガシラコウモリ ー ー ♀(S2) ♂(A1), ♀(S2)
モモジロコウモリ ー ー ー ♀(S1)
9 横坑TR-7 キクガシラコウモリ ー 18.5 89.6 ー 18.1 93.5 ♂(S1) 18.5 96.5 ♂(A1) 18.2 92.6
コキクガシラコウモリ ー ー ー ♀(S1)
ノレンコウモリ ー ♂(A1) ー ー
10 横坑TR-5 ー ー 17.2 86.5 ー 17.3 88.0 ー 17.5 95.5 ー 17.8 93.5
11 荷尾杵
鉱山跡
キクガシラコウモリ ー 18.4 91.5 ♀(A2,
S1, Y1)
17.5 98.5 ♂(A1),
♀(A2,
S6,Y5)
18.5 94.3 ♂(A3, S3),
♀(A1,S3)
18.6 92.5
コキクガシラコウモリ ー ♂(S1),
♀(A3)
♂(A1, S1),
♀(A9, S8)
♂(A1, S4),
♀(A10, S14)
ノレンコウモリ ー ー ♂(A1) ー
12 試掘洞窟 キクガシラコウモリ ー 18.5 93.0 ー 18.8 96.5 ー 20.5 92.5 ♀(A1) 18.2 95.3
13 横坑QT-1 キクガシラコウモリ ー 18.8 85.5 ♂(A1) 18.0 96.0 ♂(A2, S1) 18.4 90.5 ♂(A1, S2),
♀(A2)
17.5 98.5
ノレンコウモリ ー ー ♂(A1) ー
14 No.15-9
左上廃鉱
キクガシラコウモリ ー 16.8 78.5 ー 17.0 83.0 ♂(A2) 17.3 84.6 ー 16.5 88.5
表 1.人工洞窟をねぐらにするコウモリ類の捕獲調査結果
A,成獣; S,亜成獣; Y,幼獣; ―,捕獲個体なし
種 総個体数
♀ ♂
キクガシラコウモリ 26 32 58
コキクガシラコウモリ 49 9 58
ノレンコウモリ 0 9 9
モモジロコウモリ 2 0 2
性別個体数
表 2.7 月〜9 月における人工洞窟の各種コウモリ
の捕獲延べ個体数
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-6-方が多かった。
テングコウモリは道上,
林内路上,橋上及び沢上で捕獲され,
特に林内路上で
頻繁に捕獲された。ヒナコウモリ Vespertilio
sinensisはカスミ網設置No.14, 17の谷筋の橋
上で各1頭捕獲された。
コウモリ類が捕獲され
た地点では,
被食昆虫への接近時に出すバズ音
が時々聞かれた。
3.他地域の洞窟で調査されたコウモリ類
野津原地区近隣の北西部に位置する廻栖野
の地下壕で 7 月下旬にノレンコウモリ約 400
カスミ網 設置場所 種 調査日と各種の性(齢・個体数)
設置点No. 7月下旬 8月上旬 8月下旬 9月中旬
1 路上 モモジロコウモリ ー ー ー ♀(S1)
2 トンネル洞口 ユビナガコウモリ ー ♂(A1, S4), ♀(A8) ♂(A7) ♂(A2, S6), ♀(A1, S7)
3 道上 キクガシラコウモリ ♂(A1) ー ♂(Y1) ー
ユビナガコウモリ ー ♂(S1) ♂(A1) ー
テングコウモリ ー ー ♀(Y1) ♂(A1)
4 林内路上 キクガシラコウモリ ー ー ー ♂(A1)
コキクガシラコウモリ ♂(Y2), ♀(A1) ー ー ー
ノレンコウモリ ♀(A1) ー ー ー
モモジロコウモリ ー ♀(A1) ー ー
テングコウモリ ー ♀(A2) ー ♂(A3)
5 河原 キクガシラコウモリ ー ー ♀(S1) ー
モモジロコウモリ ー ー ♀(Y2) ー
アブラコウモリ ー ー ♂(A1), ♀(A1) ♂(A1)
6 耕地脇 ユビナガコウモリ ー ー ー ♀(S1)
アブラコウモリ ー ー ー ♀(A1)
14 橋上 キクガシラコウモリ ー ー ー ♀(A1)
モモジロコウモリ ー ♀(A1) ー ー
アブラコウモリ ー ♂(A1) ♂(A2) ー
ヒナコウモリ ー ー ー ♂(A1) 17 橋上 テングコウモリ ♂(A1) ♀(Y1) ー ー
ヒナコウモリ ー ー ー ♀(S1)
20 路上・沢上 キクガシラコウモリ ー ♂(A1) ♂(S1) ー
モモジロコウモリ ー ー ♂(A1) ー
ユビナガコウモリ ー ー ー (性・年齢不明)4
テングコウモリ ー ♀(A1) ー ー
21 沢上 キクガシラコウモリ ー ー ー ♂(A1)
24 溜池付近・路上 モモジロコウモリ ー ♀(S1) ♀(A1) ー
ユビナガコウモリ ー ♀(A1) ー ー
25 道上 キクガシラコウモリ ー ー ー ♂(A1, S1)
テングコウモリ ー ー ー ♀(S1)
26 路上 キクガシラコウモリ ー ♂(Y1), ♀(Y1) ♂(A1) ー
27 沢上 キクガシラコウモリ ー ー ー ♂(A1)
ユビナガコウモリ ー ー ♂(A2) ♂(S1)
テングコウモリ ー ー ー ♂(A1)
29 沢上 モモジロコウモリ ー ー ♀(A1) ー
表 3.カスミ網によって捕獲されたコウモリ類の調査結果
A, 成獣; S, 亜成獣; Y, 幼獣; ―, 捕獲個体なし。 設置点の欠番ではコウモリが捕獲されなかった。
種 総個体数
♀ ♂
キクガシラコウモリ 3 11 14
コキクガシラコウモリ 1 2 3
ノレンコウモリ 1 0 1
モモジロコウモリ 7 1 8
ユビナガコウモリ 18 25 43
アブラコウモリ 1 5 6
ヒナコウモリ 1 1 2
テングコウモリ 5 6 11
性別個体数
表 4. 7 月〜9 月にカスミ網によって捕獲された
各種コウモリの延べ個体数
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-7-頭の哺育集団が発見された。
ねぐら付近の気温
は 21°Cであった(図 4A)
。一部を捕獲して調
べた結果,
主に成獣雌と幼獣で構成されていた
(表 5)
。風戸コウモリ穴では 5 月にキクガシ
ラコウモリ 2 頭,ユビナガコウモリ 5 頭の生
息が確認された。
表 5.他地域の洞窟性コウモリの種類と性・年齢別構成、洞内の気温(°C)および湿度(%)
A, 成獣; S, 亜成獣; Y, 幼獣; ―, 個体数ゼロ。数字のイタリック体は哺育集団を示す。
*, 出洞時の飛翔数カウント(目視またはバットディテクターの併用)
,それ以外は目視によるか写真撮影によっ
てカウントした。
捕獲場所 捕獲日
バンドNo.性 齢 前腕長 体重
野津原地区 2003年7月26日 K000 ♂ A 42.3 14.2
野津原地区 2003年8月10日 K010 ♀ A 44.0 16.0
野津原地区 2003年8月11日 K012 ♀ Y 45.0 10.8
野津原地区 2003年8月12日 K013 ♀ A 45.6 17.6
野津原地区 2003年8月12日 K014 ♀ A 43.5 16.6
野津原地区 2003年8月22日 K028 ♀ Y 43.6 13.4
野津原地区 2003年9月13日 K039 ♂ A 44.6 14.8
野津原地区 2003年9月15日 K048 ♂ A 44.2 13.6
野津原地区 2003年9月15日 K049 ♀ S 45.3 14.0
野津原地区 2003年9月16日 K058 ♂ A 42.2 13.6
野津原地区 2003年9月16日 K059 ♂ A 44.8 15.8
野津原地区 2003年9月16日 K060 ♂ A 44.8 15.0
白山権現洞 2013年1月25日 T028 ♂ A 44.8 15.0
白山権現洞 2013年1月25日 T029 ♂ S 43.5 12.0
表 6.捕獲された希少種テングコウモリの
性・齢,前腕長(mm)および体重(g)
A, 成獣; S, 亜成獣; Y, 幼獣
捕獲場所 捕獲日
バンドNo.性 齢 前腕長 体重
野津原地区 2003年9月13日 K043 ♂ A 48.2 17.8
野津原地区 2003年8月14日 K044 ♀ S 47.5 15.8
表 7.捕獲された希少種ヒナコウモリの
性・齢,前腕長(mm)および体重(g)
A, 成獣; S, 亜成獣
洞窟名 調査年月日 気温 湿度 種 個体数 捕獲個体数 性別(齢・個体数)
廻栖野の地下壕 2006年7月29日 21.0 95.5 ノレンコウモリ 約400 35 ♂(Y6), ♀(A18, S3, Y8)
風戸コウモリ穴 1977年5月4日 11.5 94.0 キクガシラコウモリ 2 2 ♂(S2)
ユビナガコウモリ 5 5 ♂(A3), ♀(S2)
白山権現洞 1976年11月9日 12.8 90.0 キクガシラコウモリ 約40 5 ♂(A2), ♀(A2, S1)
ユビナガコウモリ 約4,000* ー
1977年5月5日 14.3 88.6 キクガシラコウモリ 1 ー
ユビナガコウモリ 約2,500* ー
1984年11月22日 12.2 92.0 キクガシラコウモリ 約50 13 ♂(A5, S3), ♀(S5)
ユビナガコウモリ 約20,000* 13 ♂(A1, S3), ♀(A3, S6)
1985年5月5日 15.5 90.5 キクガシラコウモリ ー ー
ユビナガコウモリ 約3,000* 43 ♂(A34, S8), ♀(S1)
1986年7月8日 15.5 87.5 キクガシラコウモリ 3
ユビナガコウモリ 約500* 13 ♂(A9, S4)
2013年1月25日 6.5 95.3 キクガシラコウモリ 105 1 ♀(S1)
ユビナガコウモリ ー 1 ♂(A1)
モモジロコウモリ 5
ノレンコウモリ 1 1 ♂(S1)
テングコウモリ 4 2 ♂(A1, S1)
2013年7月9日 15.2 75.7 キクガシラコウモリ 86 ー 集団内に幼獣が混在(図5B)
ユビナガコウモリ 132 ー
テングコウモリ 1 ー
2013年8月22日 18.5 75.0 ユビナガコウモリ 150 ー
モモジロコウモリ 2 ー
1977年5月4日 14.3 89.6 キクガシラコウモリ 33 31 ♂(A10, S9), ♀(S12)
コキクガシラコウモリ 7 ー
ユビナガコウモリ 113 77 ♂(A30, S21), ♀(A13, S13)
1984年3月18日 10.5 87.5 キクガシラコウモリ ー 3 ♀(A1, S2)
ユビナガコウモリ ー 118 ♂(A57, S9), ♀(A23, S29)
1984年11月23日 12.8 93.6 キクガシラコウモリ ー 38 ♂(A4, S14), ♀(A3, S17)
1985年5月6日 13.0 90.8 キクガシラコウモリ ー 2 ♂(S2)
1986年7月19日 19.5 95.5 コキクガシラコウモリ 約500 222 ♂(Y47), ♀(A106, S15, Y47)
ノレンコウモリ ー 21 ♂(Y4), ♀(A12, Y5)
モモジロコウモリ ー 42 ♂(A1, Y10), ♀(A14, Y17)
上津小野の
コウモリ穴
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-8-白山権現洞ではキクガシラコウモリ,
ユビナ
ガコウモリ,
モモジロコウモリ,
ノレンコウモ
リおよびテングコウモリの 5 種が確認された。
特に,キクガシラコウモリが 11 月に飛来して
50 頭前後の粗群を形成していたが,5 月には
ほとんどの個体が移動消失していた。
近年,夏季に 86 頭の哺育集団が形成されていた(図4B)。ユビナガコウモリも 11 月に飛来して集
合しピーク時には約 2 万頭の群塊を形成して
雌雄が混在していたが,5 月に約 3,000 頭,7
月には約 500 頭に減少してほとんど雄だけの
集団になっていた(表 5)
。テングコウモリは
2013 年から白山権現洞をねぐら場所として利
用されていた。
上津小野のコウモリ穴ではキクガシラコウ
モリ,
コキクガシラコウモリ,
ユビナガコウモリ,ノレンコウモリおよびモモジロコウモリの
5 種の生息が確認され,
季節によって構成種に
変化がみられた(表 5)
。春先には雌雄が混在
するユビナガコウモリがみられた。
夏季 7 月の
調査でコキクガシラコウモリ,
ノレンコウモリ
およびモモジロコウモリの哺育集団が観察さ
れた。特に,コキクガシラコウモリでは約 500
頭の哺育集団が形成され,
その集団の中にモモ
ジロコウモリの哺育群が混入していた
(表 5)。野津原地区と他地域の洞窟調査で捕獲され
た希少種テングコウモリの成獣雌における前
腕長と体重の平均値は 44.4 mm (n=3)と 16.7
g(n=3)
,成獣雄のそれらは 43.9±1.11 mm
(n=7) (mean±SD) と 14.6±0.81 g(n=7)で
あった(表 6)
。また,野津原地区で捕獲され
た希少種ヒナコウモリの亜成獣雌における前
腕長と体重は 47.5 mm と 15.8 g,成獣雄のそ
れらは 48.2 mm と 17.8 g であった(表 7)。考 察
1.野津原地区のコウモリ類の生息状況
について
野津原地区の調査地域(約 60km2)でコウ
モリ類 8 種
(キクガシラコウモリ,
コキクガシ
ラコウモリ,
ノレンコウモリ,
モモジロコウモ
リ,ユビナガコウモリ,アブラコウモリ,ヒナ
コウモリおよびテングコウモリ)
の生息が確認
され,ウサギコウモリ(船越ほか,2015)を
加えれば 9 種になる。
今後もこの地区から新た
な種が発見される可能性もあり,
大分県のコウ
モリ相がこの地域に反映されているとみるこ
とができよう。
本調査によって,
ヒナコウモリが大分県にお
ける生息確認の初記録となる。
今後,
この地区
周辺域や島嶼の調査で,
例えば樹洞や島嶼岩場
の割れ目等で,
本種の繁殖集団が発見されるこ
図 4.廻栖野の地下壕におけるノレンコウモリの哺育集団(A:2006 年 7 月 29 日)と白山権現洞におけるキク
ガシラコウモリの哺育集団(B:2013 年 7 月 8 日)
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-9-とが期待される。
ウサギコウモリは北海道から四国地方まで
分布している北方系の日本固有種で,
中国地方
には生息せず四国地方の徳島県や愛媛県に生
息している
(Fukui, 2015)。遺伝的な側面から,
大分産の個体は本州産の個体と非常に高い相
同性を示していて(船越ほか,2015)
,地理的
隔離が進んでいないようにみえる。
本種が九州
の北東部で生息が確認されたことから,
かつて
または比較的近年に四国地方から近隣の大分
県へ流入した可能性が示唆される。
今後,
四国
産の個体の遺伝的解析が進められ,
大分県産と
比較できれば興味深い結果が得られよう。
野津原地区の人工洞内の湿度をみると,
いず
れも高湿度で洞窟性コウモリ類にとって好条
件であるが,夏季の気温は低い(表 1)
。キク
ガシラコウモリは比較的大きな洞窟で、
洞内気
温は比較的高い場所(鹿児島県: 20〜22°C[船
越・福江,2001], 石川県: 18.9〜23.1°C[Sano,
2000])を出産哺育場所として選択している。
白山権現洞で 2013 年 7 月に出産哺育集団が発
見された(表 5)
。洞内は下りの急こう配にな
っていてその下層の気温 15.2°Cであったが,
上層にあるねぐら場所は洞口付近の高さに位
置していることから,洞外気温(21.5°C)に近い
値であったと予想される。
野津原地区の人工洞
窟群でキクガシラコウモリの出産哺育集団の
形成がみられなかった要因として,
洞窟の規模
が小さく洞窟の天井が低いこと,
7 月の洞内気
温が 16.8〜18.8°C(表 1)で低かったことが挙
げられる。
コキクガシラコウモリについて,数 10 頭前
後が荷尾杵鉱山跡で夏季の昼間のねぐらとし
て利用しているが,他の横坑と同様に,出産・
哺育場所として利用されなかった。
この場合も
本種の出産・哺育場所の気温が 20〜21°Cであ
るため(Funakoshi et al., 2010)
,人工洞窟の
ねぐら付近の気温の低さ(17〜19°C)が出産・
哺育場所として適さなかったと考えられる。
ノレンコウモリは点在する人工洞窟を広く
利用しているが,
調査度の個体数は成獣雄 1~2
頭で少なかった。
本種の成獣雌も夏季に出産・
哺育集団を形成していて,
コキクガシラコウモ
リと同様の洞内気温の高い場所を選択(船越,
1988)しているため,野津原地区の調査地域
外の例えば廻栖野の地下壕(洞内気温 21°C:表
1)に集合していると考えられる。また,野津
原地区およびその周辺域に本種の繁殖洞がな
ければ,
この地下壕で生まれた雄が野津原地区
の調査地域に移動分散していると思われる。今後,
標識個体の追跡で実証されることが期待さ
れる。
一方,
冬季のこれら人工洞窟のねぐら付近の
気温は比較的に高く(11〜15°C)利用個体数
は少なかった(船越,未発表)
。特に,キクガ
シラコウモリは冬眠場所として低温域(7°C前
後)を選択している(Funakoshi and Uchida,
1978a)
。したがって,野津原地区の各洞は最
適な越冬場所ではないが,
覚醒した本種の数個
体が一時的に利用していると考えられる。
モモジロコウモリについて,
2 地点の横坑で
昼間のねぐらとして各 1 頭が利用しているに
すぎなかった。
一方,
夜間のカスミ網による捕
獲でノレンコウモリよりも多く捕獲されたこ
とから,
野津原地区の調査地域外に生息する個
体の一部が参入していると考えられる。
夜間のカスミ網による捕獲や音声収集で,野津原地区の調査地域がコウモリの採餌空間と
しても利用されていることが判明した。
採餌場
所は,
各種で異なっていて,
例えばキクガシラ
コウモリは開けた林縁部など
(Funakoshi and
Maeda, 2003)
,コキクガシラコウモリやノレ
ンコウモリは林内中・低層部(庫本,1972;
Funakoshi and Takeda, 1998)である。モモ
ジロコウモリは林内上層部や河原や沢上
(庫本,
1972; Funakoshi and Takeda, 1998)
,ユビナ
ガコウモリ,
アブラコウモリおよびヒナコウモ
リは樹冠上などの開けた空間(庫本,1972;
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-10-Funakoshi and Uchida, 1978b; Funakoshi
and Uchida, 1981; Funakoshi and Takeda,
1998)を利用している。一方,テングコウモ
リは林内中・低層部や地表近くで採餌している
と考えられている(石田・河合,2011)。
アブラコウモリのねぐら場所は人工的な家
屋などのため,
例えば調査域外の民家などの建
造物(Funakoshi et al., 2009)から飛来して
きたと考えられる。
テングコウモリのねぐら場
所は,洞窟,廃坑,家屋,樹洞および枯葉など
が利用(石田・河合,2011)されることから,
野津原地区の調査地内にもそれらが点在して
いると考えられる。
したがって,
これらの種がカスミ網で捕獲さ
れたことは野津原地区の調査地域が多様な採
餌環境やねぐら場所を提供していることを意
味している。
大分川ダム完成後も,
引き続きモ
ニタリング調査をすることで野津原地区のコ
ウモリ相の変遷を知ることや保全に寄与する
ことを願っている。
2. 他地域の洞窟性コウモリについて
洞窟性コウモリは,季節的な移動がみられ,
一般に春〜夏季に成獣雌は出産哺育場所
(亜成
獣雌混入)へ,一方成獣・亜成獣雄は活動期の
ねぐら場所へ移動する。
秋季に成獣雌雄は交尾
場所へ移動し,
その後越冬場所へ移動して,多くは性・齢別個体が混在する集団を形成して冬
眠に入る。したがって,調査対象の洞窟では,
できれば 1 年
(各季)
を通じてコウモリ類の利
用状況を調べる必要がある。
しかし,
比較的大
きな洞窟では,
洞内で多様な環境を提供してい
るため,
種によっては移動することなく利用す
る場合がある。
廻栖野の地下壕ではノレンコウモリの哺育
集団が発見された。
本種の母子を中心とした繁
殖集団のサイズは一般に 20〜200 頭(船越,
1988)であるが,今回の約 400 頭におよぶ事
例は初めての記録である。
貴重な集団として保
全していく必要がある。
風戸コウモリ穴ではキクガシラコウモリが
2 頭確認されたが,沢田(1994)によればコキ
クガシラコウモリも生息していて両種とも 10
〜100 頭が記録されている。
観察時季が不明で
あるが,
季節によって個体数が大きく変動する
ことが考えられる。
今回の調査でユビナガコウ
モリがこの穴で新たに記録された。
白山権現洞では,
すでにキクガシラコウモリ
数十頭とユビナガコウモリ数千頭の生息が記
載されている(沢田,1994)
。ユビナガコウモ
リは 10 月から 11 月にかけて越冬集団を形成
する(船越・内田,1975)
。この洞においても
11 月頃に集合してピーク時には約 2 万頭に達
し,越冬集団を形成すると考えられる。また,
キクガシラコウモリも数十頭が 11 月に飛来し,
粗群の越冬集団を形成していると考えられる。
最近では夏季にキクガシラコウモリ約 90 頭の
哺育集団が形成されている。
その他,
少数では
あるがテングコウモリ,
ノレンコウモリおよび
モモジロコウモリが時々利用していて,計 5
種のねぐら場所を提供している。
野津原地区と白山権現洞で捕獲された希少
種テングコウモリ計 14 頭で,特に出産後の 8
〜9 月に得られた成獣雌の体重平均は 16.7 g
であった。
大分県で捕獲された出産直前の体重
平均が 20.0 g(n=12)
(渡邊・船越,未発表)
であったことから,出産直前には約 20%の体
重増加になることが明らかになった。
上津小野のコウモリ穴では,
特にコキクガシ
ラコウモリ約 500 頭からなる繁殖集団が発見
された。
これは大分県で最大規模の集団と思わ
れる。
参考までに,
鹿児島県においては本種の
哺育集団が約 3 千頭に達する事例がある
(Funakoshi et al., 2010)
。モモジロコウモリ
の哺育集団は,
このコキクガシラコウモリの繁
殖集団に混入している。
こうした異種間の混群
の事例は洞窟性コウモリ類の数種間でみられ
る(庫本ほか,1969)
。また,3 月や 5 月の雌
Bungoensis,2:2-12,2017 原著論文-11-雄が混在するユビナガコウモリの集団は移動
前の越冬集団であったと考えられる。
上津小野
のコウモリ穴でもコウモリ類 5 種
(キクガシラ
コウモリ,
コキクガシラコウモリ,
ユビナガコ
ウモリ,
ノレンコウモリおよびモモジロコウモ
リ)が生息しており,白山権現洞とともに,貴
重な洞窟性コウモリ類のねぐら場所として保
全する必要がある。
最近では,中津市(森田ほか,2010)や佐
伯市(森田,2016)の県境域において調査が
進められている。
今後,
近隣他県で生息が確認
さ れ て い る コ テ ン グ コ ウ モ リ Murina
ussuriensis,
ヤマコウモリNyctalus aviator,
オヒキコウモリ Tadarida insignis およびクロ
ホオヒゲコウモリ Myotis pruinosus の生息の
有無や生息状況の本格的な調査が望まれる。
謝 辞
本コウモリ調査は,
大分県野津原地区と南東
部に点在する洞窟で実施された。
野津原地区で
は国土交通省九州地方整備局の大分川ダム工
事事務所が施行している環境調査の一貫とし
て 2003 年に実施された対象事業実施区域およ
びその周辺のコウモリ類調査結果に基づいて
おり,
同事務所諸氏,
調査の推進と便宜を図っ
ていただい九州歯科大学名誉教授の荒井秋晴
博士,
調査を実施された西日本技術開発株式会
社の諸氏に感謝申し上げる。
大分県のコウモリ類に関する文献について
ご教示いただいた大分生物談話会の森田祐介
氏に厚くお礼申し上げる。
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