農業・農村は、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成等の多面的機能を有しており、その利益は広く国民が享受しています。
しかしながら、近年の農村地域の過疎化、高齢化、混住化等の進行に伴う集落機能の低下により、地域の共同活動によって支えられている多面的機能の発揮に支障が生じつつあります。また、共同活動の困難化に伴い、農用地、水路、農道等の地域資源の保全管理に対する担い手農家の負担の増加も懸念されています。
このため、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図るための地域の共同活動に係る支援を行い、地域資源の適切な保全管理を推進します。また、これにより、農業・農村の有する多面的機能が今後とも適切に維持・発揮されるとともに、担い手農家への農地集積という構造改革を後押しします。
平成19年度から始まった農地・水・環境保全向上対策は、地域資源の保全管理における地域の共同活動等へ支援を行ってきました。また、平成26年度からは、多面的機能支払へと名称を変え、事業内容が拡充されて実施されています。
多面的機能支払交付金とは
多面的機能支払交付金は、以下に示す農地維持支払交付金と資源向上支払交付金から構成されており、いずれについても活用するためには、活動組織又は広域活動組織(※(注記))を設立する必要があります。
※(注記)広域活動組織・・・旧市区町村単位等の広域エリアにおいて構成される、構成員間の協定に基づく組織
農地維持支払交付金
主な内容
多面的機能を支える共同活動を支援するためのもの。具体的に対象となる活動は、以下のようなものです。
○しろまる農地法面の草刈り
○しろまる水路の泥上げ
○しろまる農道の路面維持等の基礎的保全活動
交付対象団体等
○しろまる農業者のみで構成される活動組織
○しろまる農業者及びその他の者(地域住民、団体等)で構成される活動組織
対象となる施設
活動組織等で計画した、農用地、農道、水路等の農業用施設
資源向上支払交付金
主な内容
地域資源(農地、水路、農道等)の質的向上を図る共同活動と、施設の長寿命化のための活動に区分されています。具体的に対象となる活動は、以下のようなものです。
○しろまる地域資源の質的向上を図る共同活動・・・施設の軽微な補修(ひび割れの補修、農道の部分補修)、農村環境保全活動(植栽活動、生きもの調査)
○しろまる施設の長寿命化のための活動・・・未舗装農道の舗装、素掘り水路からの更新
交付対象団体等
(1)地域資源の質的向上を図る共同活動
○しろまる農業者及びその他の者(地域住民、団体等)で構成される活動組織
(2)施設の長寿命化のための活動
○しろまる農業者のみで構成される活動組織
○しろまる農業者及びその他の者(地域住民、団体等)で構成される活動組織
対象となる施設
活動組織等で計画した、農用地、農道、水路等の農業用施設
多面的機能支払交付金の交付単価
交付金の単価は、取り組む活動内容及び農用地等の地目の種類によって異なります。
交付金の単価表
(1)農地維持支払
(2)資源向上支払
(共同活動)
(1)と(2)に取り組む
場合
(3)資源向上支払
(長寿命化)
(1)、(2)及び(3)に取り組む場合
田
3,000円/10a
2,400円/10a
5,400円/10a
4,400円/10a
9,200円/10a
畑
2,000円/10a
1,440円/10a
3,440円/10a
2,000円/10a
5,080円/10a
草地
250円/10a
240円/10a
490円/10a
400円/10a
830円/10a
※(注記)上記の表の交付単価については、(1)、(2)及び(3)のうち一種類のみ取り組む場合と、二種類以上の活動に取り組む場合とで金額が異なる場合があります。
多面的機能支払交付金の使途
使途については、設立された活動組織がそれぞれに計画した活動計画に位置づけたものに対して使うことができます。
活動をはじめる場合の手順
(1)組織の設立・・・・活動を実施する活動組織等を設立します。
↓
(2)事業計画の作成・・・取り組む活動の内容を明記した活動計画(原則5年間)を作成します。
↓
(3)申請書類の提出・・・事業計画の認定を受けるため、町へ申請を行います。(例年6月末まで)
↓
(4)活動の実施・交付金の交付・・・町へ交付金の申請書類等を提出し、交付金の交付を受けます。
↓
(5)活動の記録・報告・・・活動内容や活動にかかる経費等の金銭の収支等を記録し、町へ提出します。
※(注記)基本的な手順については上記のようになりますが、活動を開始する場合にはまず、担当へご相談ください。