2.4 特定原子力施設の今後のリスク低減対策


I-2-4-1
2.4 特定原子力施設の今後のリスク低減対策
現状,特定原子力施設の追加的放出等に起因する,敷地外の実効線量は低く抑えられて
いる(2.2 参照)
。また,多くの放射性物質を含有する燃料デブリや使用済燃料等において
異常時に発生する事象を想定したリスク評価においても,敷地外への影響は十分低いもの
であると評価している(2.3 参照)。今後,福島第一原子力発電所内に存在している様々なリスクに対し,最新の「東京電力
福島第一原子力発電所 中期的リスクの低減目標マップ(以下「リスクマップ」という。)」
に沿って,リスク低減対策に取り組んでいく。プラントの安定状態に向けた更なる取組,
発電所全体の放射線量低減・汚染拡大防止に向けた取組,ならびに使用済燃料プールから
の燃料取り出し等の各項目に対し,代表される様々なリスクが存在している。
各項目に対するリスク低減のために実施を計画している対策については,リスク低減対
策の適切性確認の視点を基本とした確認を行い,期待されるリスクの低減ならびに安全性,
被ばく及び環境影響等の観点から,その有効性や実施の要否,時期等を十分に検討し,最
適化を図るとともに,必要に応じて本実施計画に反映する。
また,
「I 2.3.7 放射性廃棄物」にて実施する,ALPS 処理水の海洋放出により,廃炉作
業に係る敷地などのリソースを有効に活用していくことで,中長期ロードマップに沿った
全体工程の達成及びリスクマップに沿ったリスク低減対策を実現していく。
2.4.1 添付資料
添付資料-1 実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性
添付資料-1
適切性確認の視点 1対策を実施しないリスク 2放射性物質の追加放出リスク 3外部事象に対するリスク 4時間的なリスクの増減 5実施時期の妥当性 6対策を実施するリスク 7対策を実施できないリスクI-2-4-添1-1
実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性(1/8)
ロードマップ関連項目 想定されるリスク リスク低減対策 目的 対応状況 個々の対策に対する適切性プラントの安定状態維持・継続に向けた計画
原子炉の冷却計画
・中長期的な温度計故障による原
子炉冷温停止状態の監視不能リスク原子炉圧力容器代替温度計の新設
原子炉圧力容器の既設温度計について,既設温
度計の故障に備えて,追加温度計を設置できる
ように,温度監視が可能な箇所を選定し,各号
機の温度監視のバックアップが保たれるように
する。
2 号機:平成 24 年 10 月設置完了
1,3 号機:平成 31 年 4 月に作業
の成立性,温度計設置の成立性
の観点から設置が困難である旨
報告(毎月,温度計信頼性評価
を実施)
1温度計がメンテナンスできないことにより故障し,使用可能な温度計がなくなった場合は冷却
状態の監視ができなくなる。
2温度が監視できなくなるが,直接的に放射性物質の追加放出リスクに影響はない。
3新旧の温度計はともに建屋内に設置されているため外部事象に対するリスクは小さい。
4既設温度計は劣化により故障する可能性が増加する。
52 号機の温度計の故障が多いことから 2 号機を優先的に設置することが妥当である。1,2 号機
についても順次設置を検討していく予定である。
6対策を実施することにより直接的に増加するリスクはないが,設置環境の線量が高いため被ば
く量が増加する。
7既設の圧力容器温度計等の計器の劣化に備え,設置時期,箇所,方法について検討を実施す
る。
格納容器内監視計器設置
原子炉格納容器内の既設温度計については,故
障した場合,メンテナンスや交換ができないこ
とから,原子炉格納容器内部の冷温停止状態の
直接監視のために,代替温度計を格納容器貫通
部から挿入する。
1 号機:平成 24 年 10 月設置完了2 号機:平成 24 年 9 月設置完了
平成 25 年 8 月追加設置完了
3 号機:平成 27 年 12 月設置完了1温度計がメンテナンスできないことにより故障し,使用可能な温度計がなくなった場合は格納
容器内の冷却状態の監視ができなくなる。
2温度が監視できなくなるが,直接的に放射性物質の追加放出リスクに影響はない。
3新旧の温度計はともに建屋内に設置されているため外部事象に対するリスクは小さい。
4既設温度計は劣化により故障する可能性が増加する。
53号機の原子炉建屋内は線量が高いため,1,2 号機の設置を優先させることは妥当である。3
号機については,設置作業ができるよう環境改善後,速やかに設置する計画を立案する。
6対策を実施することにより直接的に増加するリスクはないが,設置環境の線量が高いため被ば
く量が増加する。
7既設の格納容器温度計等の計器の劣化に備え,設置時期,箇所,方法について検討を実施す
る。プラントの安定状態維持・継続に向けた計画
原子炉の冷却計画
・注水機能停止リスク
・放射性物質の系外放出リスク
循環注水冷却水源
の信頼性向上対策
復水貯蔵タンクへ
の運用変更と復水
貯蔵タンク炉注水
ポンプ配管のポリ
エチレン管化
原子炉注水設備について,水源を仮設バッファ
タンクから,既設の復水貯蔵タンクに変更する
ことにより,水源保有水量の増加,水源の耐震
性向上を図る。さらに配管距離の短縮,ポリエ
チレン管の新設配管設置により,注水機能喪失
及び漏えいリスクの低減を図る。
平成 25 年 7 月復水貯蔵タンクの
運用開始
平成 26 年 2 月復水貯蔵タンク炉
注水ポンプ配管のポリエチレン
管化対策完了
1炉注設備は既に多様性,
多重性を備えており,
一定の信頼性は確保されているが,
期待される更
なる信頼性向上が図れない。
2炉注機能が停止した場合の放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3水源を復水貯蔵タンクに変更することにより水源の耐震性が高くなるためリスクは低減する。
4現行設備でも適切な保全により長期間使用可能と考えており,時間的なリスクの変化は小さい。
5炉注設備の信頼性を向上させることはリスク低減に寄与するため可能な限り早期に実施するこ
とが望ましく,既に実施している。
6対策を実施することにより直接的に増加するリスクはないが,設置環境の線量が高いため被ば
く量が増加する。
7対策を実施できないリスクはない。
漏えい時の敷地外
放出防止対策(堰
や漏えい検出設備
等の設置検討)
原子炉注水設備の配管等に漏えいが発生した場
合の敷地外放出防止・早期検知のために堰や漏
えい検知設備を設置する。
平成 25 年 12 月設置完了
1漏えい時における放射性物質の追加放出リスクが低減しない。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3漏えい拡大防止を目的としており,外部事象に対する設備破損リスクは変化しない。
4漏えい拡大防止を目的としており,時間的にリスクは変化しない。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7対策を実施できないリスクはない。
仮設ハウスの恒久
化対策
原子炉注水設備のポンプ等を恒久化したハウス
内等に配置することにより,台風,塩害,凍結
等の外部事象による設備の故障防止を図る。
平成 25 年 2 月設置完了
1凍結等の外部事象リスクが低減しない。
2炉注機能が停止した場合の放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3仮設ハウスを恒久化することで外部事象に対するリスクは低減する。
4仮設ハウスを恒久化するものであり,時間的なリスクは変化しない。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7対策を実施できないリスクはない。
建屋内循環ループ構築
水処理設備など建屋外に設置された設備を経由
しない循環ループを形成し,系外への放出リス
クを低減する。また,建屋内滞留水をそのまま
冷却水として使用することにより,水処理設備
等の処理量,あるいは原子炉格納容器からの漏
えい水量に依存せずに,原子炉注水量を増加さ
せるシステムが構築出来る。
平成 28 年 10 月運用開始
(建屋滞留水循環冷却は,燃料
デブリ取り出しに合わせ検討中)1大循環ループからの漏えいリスクが低減しない。
2屋外に敷設されているループ長が縮小する分,漏えいリスクを低減する。
3建屋内に設置することで,気象等に関わる外部事象に対するリスクが低減する。
4現行設備でも適切な保全により長期間使用可能と考えており,時間的なリスクの変化は小さい。
5建屋内循環ループを構築する前段階として,滞留水水質,作業環境や格納容器止水作業等との
干渉も含めて取水場所等を検討する必要があるため,目標時期までに対策できるよう,実施に
向けての調査・検討を行っている。
6作業員の被ばくリスクに加え,建屋内が高線量となるリスクがある。
7滞留水水質の傾向監視,ライン構成の最適化,除染等の環境改善等を考慮し,効果的な対策と
なるよう検討していく必要がある。
添付資料-1
適切性確認の視点 1対策を実施しないリスク 2放射性物質の追加放出リスク 3外部事象に対するリスク 4時間的なリスクの増減 5実施時期の妥当性 6対策を実施するリスク 7対策を実施できないリスクI-2-4-添1-2
実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性(2/8)
ロードマップ関連項目 想定されるリスク リスク低減対策 目的 対応状況 個々の対策に対する適切性プラントの安定状態維持・継続に向けた計画
原子炉の冷却計画
・原子炉圧力容器・格納容器内不
活性雰囲気維持機能喪失リスク
原子炉圧力容器・格納容器への窒素供給装
置の増設
窒素供給装置は常用している2台の内1台の運
転で,原子炉格納容器内の水素濃度を可燃濃度
(4%)以下に維持するのに十分な性能を保持
している。また運転号機が停止しても予備の装
置を起動するまでの余裕時間も十分確保(100 時
間以上)されていることから,常用1台の運転
で問題はないが,更なる信頼性向上のため,常
用の窒素ガス分離装置を1台増設する。
平成 25 年 3 月設置完了
1原子炉格納容器内窒素封入設備は,非常用電源を装備した窒素供給装置の設置により多重性を確
保しているものの,
常用機器の長期間停止を伴う点検等を行う場合には,
常用機器が単一状態とな
る。
2現状の設備設置状況でも機器の多重性を確保していること,運転号機が停止した場合の停止余裕
時間も十分に確保
(100 時間以上)
されていることから,
今回の更なる信頼性向上対策が無くとも,
水素爆発の可能性は十分に低く抑えられていると考えている。
3高台に設置することにより,外部事象に対するリスクは低減する。
4設備の経年的な劣化により窒素供給設備が故障するリスクが増加するが,
装置の増設により,
より
適切な保守管理が可能となる。
5窒素供給装置の信頼性を向上させることはリスク低減に寄与するため,早期に実施することが望
ましく既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7実施できないリスクはない。
水素の滞留が確認された機器への窒素ガス
封入
サプレッションチェンバ(S/C)気相部等の高濃度
の水素滞留が確認された機器について,窒素ガ
スの封入等により不活性状態にする。
1 号機:平成 24 年 10 月より
対応中
2 号機:平成 25 年 5 月より対
応中
3 号機:S/C 内閉空間気相部
の水素残留状況の調査を検討中1今回確認されたサプレッションチェンバ内の高濃度の水素は,事故初期に発生したものの残留物
であると考えられ,酸素濃度が低いことや現在まで閉空間内に安定して存在してきてきたことを
鑑みると,水素爆発が発生する緊急性は低いと考えられる。しかしながら,水素パージを行わなけ
れば,この状況が継続する。
2サプレッションチェンバは格納容器の一部であること,閉空間の容積によっては水素の残留量が
大きい可能性があることから,万一水素爆発が発生した際に放射性物質が放出されるリスクがあ
るが,本対策により低減ができる。
3水素パージにより外部事象に対する水素爆発のリスクは低減する。
4事故後現在まで安定した状態を維持していることや水の放射線分解の寄与は小さいと考えられる
こと,
格納容器内については窒素封入により不活性状態は維持され,
格納容器ガス管理設備により
水素濃度を監視していることから,時間的リスクが急激に増加することはないと考えられる。
5サプレッションチェンバ補修工事等の関連工事や現場線量環境を考慮した上で,現場調査等を慎
重に行い,高濃度の水素が確認された場合には,早期に対策を実施する必要がある。
6建屋内の高線量作業であるため,
作業員の被ばくリスクに加え,
水素濃度の挙動を確認しつつ作業
を行う必要がある。
7現場の状況を踏まえて安全に水素パージができるように窒素封入方法を検討する必要がある。
添付資料-1
適切性確認の視点 1対策を実施しないリスク 2放射性物質の追加放出リスク 3外部事象に対するリスク 4時間的なリスクの増減 5実施時期の妥当性 6対策を実施するリスク 7対策を実施できないリスクI-2-4-添1-3
実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性(3/8)
ロードマップ関連項目 想定されるリスク リスク低減対策 目的 対応状況 個々の対策に対する適切性プラントの安定状態維持・継続に向けた計画滞留水処理計画・放射性物質の
系外放出リスク
汚染水処理設
備等の
信頼性向上
滞留水移送・淡水化装置
周りの耐圧ホースのポリ
エチレン管化
滞留水移送・処理設備において耐圧ホースを使
用している箇所をより信頼性の高いポリエチレ
ン管等に交換することにより,滞留水,処理水
の漏えいリスク,漏えい水による他の設備損傷
リスク,漏えい時の作業環境悪化リスクの低減
を図る。
平成 24 年 8 月対策完了
1滞留水移送ラインからの放射性物質の追加放出リスクが低減しない。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3ポリエチレン管等へ取替を行うことにより,地震等の外部事象に対するリスクは低減する。
4ポリエチレン管等へ取替を行うことにより,時間的な設備劣化損傷リスクは低減する。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7ポリエチレン管等の敷設が出来ない場合は,堰等により漏えいの拡大防止を図る。
中低濃度タンク増設,及
びRO濃縮水一時貯槽の
リプレース
ALPS 処理水の貯留場所確保のために中低濃度タ
ンクを増設する。
令和 2 年 12 月目標容量の中低濃
度タンク設置を完了(合計 137
万 m3)1日々増加し続ける ALPS 処理水の保管場所が無くなり,貯留できなくなるリスクがある。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3貯蔵量を確保することが目的であり,外部事象に対するリスクは変化しない。
4中低濃度タンクの経年劣化により漏えいリスクは増加する。
5貯留場所確保のため,計画的に増設していく必要があり,既に実施している。
6滞留水・処理水貯蔵量の増加により,漏えいリスクは増加する。
7中低濃度タンク設置場所には限界があるため,緩和措置として,地下水流入量低減対策を確実
に実施する必要がある。
中低濃度タンクエリアへ
の堰等の設置
中低濃度タンクエリアに堰等を設置することに
より,貯蔵タンクからの漏えいの早期発見と大
規模漏えい時の系外への拡大防止
中低濃度タンク設置に合わせ順
次実施。目標容量(137 万 m3)の中低濃度タンク設置分は,漏
えい拡大防止策を実施済
1漏えい時における放射性物質の追加放出リスクが低減しない。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3漏えい拡大防止を目的としており,外部事象に対するリスクは変化しない。
4漏えい拡大防止を目的としており,時間的にリスクは変化しない。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7対策を実施できないリスクはない。
多核種除去設備の設置
本設備により,汚染水処理設備の処理済水に含
まれる放射性核種(トリチウムを除く)を十分
低い濃度まで除去することにより,汚染水貯蔵
量の低減ならびに中低濃度タンク貯留水の放射
能濃度低減による漏えい時の環境影響の低減を
図る。
既設 ALPS:令和 4 年 3 月より本
格運転開始
増設 ALPS:平成 29 年 10 月より
本格運転開始
高性能 ALPS:令和 5 年 2 月より
本格運転開始
1大量の放射性物質を含んだ汚染水を保有し,漏えいするリスクが低減しない。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3汚染水の処理により外部事象に対する中低濃度タンク等からの大量の放射性物質を含んだ汚染
水が漏えいするリスクは低減できる。
4多核種除去設備の稼動が遅れることにより,汚染水貯留量が増加し中低濃度タンク等からの大
量の放射性物質を含んだ汚染水が漏えいするリスクは増加する。
5可能な限り早期に実施することが必要であり,本格運転を開始した。
6二次廃棄物の長期保管ならびに漏えいリスクが発生する。
7対策を実施できないリスクはないが,実施できない場合中低濃度タンクを増設し汚染水を貯留
する。
可能なトレンチから順次,止水・回収の実施トレンチ内の滞留水を回収し,系外への漏えい
防止を図る。
可能なトレンチ等から順次,
止水・回収を実施中
海水配管トレンチ内汚染水除去
完了
2 号機:
平成 27 年 6 月(トレンチ内滞留
水移送完了)
平成 29 年 3 月(立坑充填完了)
3 号機:
平成 27 年 7 月(トレンチ内滞留
水移送完了)
平成 27 年 8 月(立坑充填完了)
4 号機:
平成 27 年 12 月(トレンチ内滞
留水移送完了,立坑充填完了)
1 号機:対応中
1津波の浸入等により滞留水が敷地外へ流出するリスクが低減しない。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3対策を実施することにより津波の浸入等による滞留水が敷地外へ流出するリスクは低減する。
4現在でも適切な管理を行っているが,高濃度滞留水のコンクリート健全部中の拡散を評価した
ところ,トレンチ部は 10〜13 年で外表面に達するリスクがある。
5止水方法の成立性等を検討し,可能なトレンチから順次実施していくことが望ましく,また,
並行して津波対策を実施予定。
6対策を実施するリスクは小さいが,トレンチ内滞留水の処理が必要となる。
7現場の状況を踏まえた止水方法等を検討する必要がある。
添付資料-1
適切性確認の視点 1対策を実施しないリスク 2放射性物質の追加放出リスク 3外部事象に対するリスク 4時間的なリスクの増減 5実施時期の妥当性 6対策を実施するリスク 7対策を実施できないリスクI-2-4-添1-4
実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性(4/8)
ロードマップ関連項目 想定されるリスク リスク低減対策 目的 対応状況 個々の対策に対する適切性プラントの安定状態維持・継続に向けた計画
滞留水処理計画
・放射性物質の
系外放出リスク
建屋の津波対策(建屋開口部の閉鎖・水
密化)
仮設防潮堤を超える津波が建屋開口部から浸入
し,建屋地下に滞留している高濃度滞留水が系外
へ漏えいしないよう建屋開口部の閉鎖・水密化等
を行う。
令和 4 年 1 月建屋開口部閉止
(合計 127 箇所)完了
1津波の浸入等により滞留水が敷地外へ流出するリスクが低減しない。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3対策を実施することにより津波の浸入等による滞留水が敷地外へ流出するリスクは低減する。
4現在でも適切な管理を行っている上,水処理の継続により,滞留水中のインベントリは低減し
ていく方向であるが,時間的なリスクの変化は小さい。
5現場状況を勘案し,対策の必要な箇所については,可能な限り早期に実施することが望まし
い。
6対策を実施するリスクは小さい。
7現場の状況を踏まえた止水方法等を検討する必要がある。
・滞留水の発生量の増加リスク
サブドレンの復旧
建屋周辺の地下水を汲み上げる設備(サブドレ
ン)を復旧し,地下水位を下げることにより,建
屋内への地下水流入量の低減を図る。
平成 27 年 9 月サブドレン稼働開始1建屋への地下水流入量が減少しないため,汚染水の増加リスクは低減しない。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3地下水流入量低減を目的としており,外部事象に対するリスクは変化しない。
4水処理の継続により,滞留水中のインベントリは低減していく方向であるものの,建屋への地
下水の流入量を低減できないため,建屋内滞留水の漏えいリスクが増加する。
5可能な限り早期に実施していく必要があり,復旧計画を検討中。
6対策を実施するリスクは小さいが,サブドレン水の浄化が必要となる。
7他の地下水流入量低減対策として,地下水バイパスを早期に稼働することで地下水流入量抑制
を図る。
地下水バイパスの設置
建屋周辺の地下水は山側から海側に向かって流れ
ていることから,建屋山側の高台で地下水を揚水
し,その流路を変更して海にバイパスすることに
より,建屋周辺の地下水位を段階的に低下させ,
建屋への地下水流入量の低減を図る。
平成 26 年 5 月地下水バイパス稼
働開始
1建屋への地下水流入量が減少しないため,汚染水の増加リスクは低減しない。
2漏えい時における放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3地下水流入量低減を目的としており,外部事象に対するリスクは変化しない。
4水処理の継続により,滞留水中のインベントリは低減していく方向であるものの,建屋への地
下水の流入量を低減できないため,建屋内滞留水の漏えいリスクが増加する。
5干渉する作業などはないことから,可能な限り早期に実施することが望ましい。
6揚水井稼働により建屋の周辺地下水位が下がりすぎ,建屋の汚染水が流出するリスクやバイパ
スの揚水井に汚染した地下水を引き込み,海域へ放出されるリスクへの対応が必要である。
7揚水井を稼働しても建屋への地下水流入が想定どおり減少しない場合も考慮し,水処理・貯留
場所の確保を行う必要がある。
添付資料-1
適切性確認の視点 1対策を実施しないリスク 2放射性物質の追加放出リスク 3外部事象に対するリスク 4時間的なリスクの増減 5実施時期の妥当性 6対策を実施するリスク 7対策を実施できないリスクI-2-4-添1-5
実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性(5/8)
ロードマップ関連項目 想定されるリスク リスク低減対策 目的 対応状況 個々の対策に対する適切性プラントの安定状態維持・継続に向けた計画
電気系統設備の
信頼性向上
・単一故障による
電源停止リスク
タービン建屋内所内高圧母線設置及び重要
負荷の供給元変更
1 系統で供給していた重要負荷に対し,タービン建屋 2 階
に設置する 2 系統の所内高圧母線から供給できるようにす
ることで信頼性を向上させる。
平成 25 年 3 月タービン建屋内所
内高圧母線設置完了
平成 25 年 7 月重要負荷の供給元
変更完了
11 系統で電源供給している重要負荷については,電源喪失時は一部小型発電機にて機
能維持ができるが,機能喪失に繋がるリスクは低減しない。
2重要度の高い原子炉注水設備の更なる信頼性向上に寄与するとともに,使用済燃料
プール設備の一部の動的機器について,電源を2系統から供給できるようになるた
め,燃料の損傷による放射性物質の追加放出リスクを低減できる。
3タービン建屋2階に設置されている所内高圧母線から供給できることにより,津波
に対する電源喪失リスクは低減する。
4長期的には,電気設備の経年的な劣化故障による重要負荷の電源喪失のリスクは増
加する。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7対策を実施できないリスクはない
・津波浸水による
電源喪失リスク
共用プール建屋の防水性向上
所内共通ディーゼル発電機 A.B が設置されている共用プ
ール建屋に対して津波対策として防水性を向上させる。
平成 25 年 9 月対策完了
1共用プール建屋内への津波の浸入による所内共通ディーゼル発電機の電源供給機能
喪失のリスクは低減しない。
2共用プール建屋内への津波の浸入を防止することで,所内共通ディーゼル発電機の
電源供給機能が維持できるため燃料の損傷による放射性物質の追加放出リスクは低
減する。
3津波による所内共通ディーゼル発電機の電源供給機能喪失のリスクを低減できる。
4時間的なリスクの変化はない。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,実施に向け検討を進めている。
6対策を実施するリスクは小さい。
7現場の状況を踏まえた方法を検討する必要がある。
・電源喪失時の
復旧遅延リスク
小型発電機・電源盤・ケーブル等の資材の
確保
津波・地震による全交流電源喪失を伴う異常時に備えて,
重要設備の復旧作業に必要な屋外照明等の資材を確保す
る。
平成 25 年 3 月対策完了
1津波や地震により全交流電源喪失を伴う異常が発生した場合に,屋外照明等が無い
ことにより重要な設備の緊急復旧作業が遅延するリスクがある。
2放射性物質の追加放出リスクはないが,全交流電源喪失等の異常が発生した場合
に,照明が無いことにより重要な設備の緊急復旧作業が遅延するリスクがある。
3復旧資材の確保に対して外部事象に対するリスクはない。
4時間的なリスクの変化はない。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7対策を実施できないリスクはない
所内高圧母線 M/C(非常用 D/G M/C を含
む)の免震重要棟
からの遠方監視・操作装置の新設
免震重要棟からの遠方監視・操作を可能とし,異常の早期
検知を図る。
平成 25 年 1 月対策完了
1電源喪失時に異常の検知等が遅れることで復旧作業が遅延するリスクがある。
2対策を実施することで原子炉注水設備等の重要負荷の電源供給機能の長期機能喪失
を防止することができるため,燃料の損傷等による放射性物質の追加放出リスクは低
減する。
3対策を実施することで外部事象に対する電源供給機能の長期喪失リスクは低減する。
4時間的なリスクの変化はない。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に完了している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7対策を実施できないリスクはない。
添付資料-1
適切性確認の視点 1対策を実施しないリスク 2放射性物質の追加放出リスク 3外部事象に対するリスク 4時間的なリスクの増減 5実施時期の妥当性 6対策を実施するリスク 7対策を実施できないリスクI-2-4-添1-6
実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性(6/8)
ロードマップ関連項目 想定されるリスク リスク低減対策 目的 対応状況 個々の対策に対する適切性発電所全体の放射線量低減・汚染拡大防止に向けた計画海洋汚染拡大
防止計画
・放射性物質が地下水に流出し
た際の海洋への放出リスク
遮水壁の設置
建屋内の汚染水が地下水に流出した場合,汚染された地下
水が地下の透水層を経由して海洋に流出することを防止する平成 27 年 10 月設置完了
1汚染水が地下水に流出した場合の汚染水が海洋等へ流出するリスクが低減しない。
2汚染水が地下水に流出した場合,放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3敷地内の汚染水保管設備が破損した場合,
遮水壁が汚染水流出の歯止めとなるため,外部事象に対するリスクは低減できる。
4汚染水流出の歯止めが目的であり,リスクの時間的な変化はない。
5干渉する作業などはないことから,
早期に設置することが望ましく,
既に実施している。
6地下水ドレンでくみ上げた水により構内の保管水量が増加する。
7対策を実施できないリスクはない。
・港湾内の放射性物質の海洋へ
の拡散リスク
港湾内海底土の浚渫・被覆等
港湾内の環境改善のために海底の汚染土の除去と大型船舶
の航路・泊地を確保することを目的に,港湾内海底土の浚
渫・被覆等を実施する。
浚渫した土は航路・泊地エリア外に一時的に集積させるこ
ととし,集積した土については再拡散防止のため,被覆等
を実施する。
平成 28 年 12 月対策完了
1港湾内の海底土が波浪等により再拡散し,港湾外に放出するリスクが低減しない。
2波浪等により海底土が再拡散した場合,放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3対策を実施することで外部事象により海底土が再拡散するリスクは低減する。
4海底土の拡散防止が目的であり,リスクの時間的な変化はない。
5港湾内の船舶航行及び海上作業の輻輳状況を把握した上で,実施時期を検討する。
6海底土が再拡散しない施工方法を選択することによりリスクは小さくなる。
7対策を実施できないリスクはない。放射性廃棄物管理及び敷地境界の放射線量低減に向けた計画ガレキ等 ・敷地内被ばくリスク
瓦礫類の覆土式一時保管施設の増設
または一時保管エリアAの追加遮へい
施設内に保管されている発災以降発生した瓦礫や汚染水等
による敷地境界線量 1mSv/年未満を達成するため,
瓦礫等の
保管施設の増設等を実施する。また,これらの作業により,
敷地内全体の雰囲気線量も低減され,作業環境の改善にも
なる。
平成 27 年 6 月設置完了
1「措置を講ずべき事項」に要求されており,対策を実施しない場合,平成 25 年 3 月末
時点での敷地境界線量 1mSv/年未満の目標達成が困難となる。
2敷地境界線量の目標達成が目的であり,放射性物質の追加放出リスクは小さい。
3対策を実施することにより,竜巻等による瓦礫等の飛散するリスクは低減する。
4敷地境界線量の目標達成が目的であり,時間的なリスクの変化はない。
5平成 24 年度内に達成することを目標としており,作業としては既に実施している。
6対策を実施することで,作業員等への被ばくが発生する。その為,線量管理等を適切に
実施することが必要。
7対策を実施できない場合,
施設内に保管されている発災以降発生した瓦礫や汚染水等に
よる平成 25 年 3 月末時点での敷地境界線量 1mSv/年未満が達成できなくなる。なお,
代替策は時間的な制約から困難である。また,保管施設設置場所は限界があるため,放
射性廃棄物の減容等を確実に実施する必要がある。
覆土式の伐採木一時保管槽の設置 平成 24 年 12 月設置完了
水処理二次
廃棄物
・敷地内被ばくリスク
・放射性物質の系外
放出リスク
使用済セシウム吸着塔一時保管施設(第三
施設,第四施設)の設置
第三施設:平成 26 年 2 月設置完了
第四施設:平成 25 年 6 月設置完了
吸着塔保管施設の遮へい設置ならびに吸着
塔の移動
遮へい設置:平成 25 年 3 月設置完了
移動:平成 26 年 3 月移動完了
気体廃棄物 ・放射性物質の系外放出リスク
2号機ブロ-アウトパネルの閉止
2号機原子炉建屋ブローアウトパネルを閉止することで,
原子炉建屋から大気への放射性物質の放出を抑制する。
平成 25 年 3 月閉止完了
1対策を実施しない場合,原子炉建屋から放射性物質が放出する状態が継続する。
2原子炉の状態に変化がなければ,追加放出リスクに変化はない。
3対策を実施することにより暴風等の外部事象に対するリスクは低減する。
4時間的なリスクの変化はない。
5早期に実施する必要があるが,
ブローアウトパネルを閉止することで,
原子炉建屋内の
作業環境悪化が懸念されることから,空調設備設置完了後に実施する。
6対策を実施することで原子炉建屋内の作業環境悪化が懸念されるため,
これらを改善す
るための空調設備の設置が必要。
7現場の状況を踏まえた方法等を検討する必要がある。
3,4号機使用済燃料取出用カバ-の設
置,フィルタ付換気設備の設置・運転
使用済燃料プールから燃料を取り出すにあたって,作業時
の放射性物質の舞い上がりによる大気への放射性物質放出
を抑制するため,カバー並びに換気設備の設置を行う。
3 号機:平成 30 年 2 月燃料取り出し
用カバー設置完了
4 号機:平成 25 年 11 月燃料取り出
し用カバー設置完了
3 号機:平成 30 年 6 月換気空調設備
設置完了
4 号機:平成 25 年 10 月換気空調設
備設置完了
1対策を実施しない場合,使用済燃料取出し作業に伴う舞い上がりにより,放射性物質
が放出するリスクが低減しない。
2使用済燃料取出し作業に伴う舞い上がりによる放射性物質の追加放出リスクは大きい。
3カバーの設置により,風雨により作業性が悪化するリスクを低減できる。
4時間的なリスクの変化はない。
5早期に実施していく必要があり,既に工事を実施している。
6対策を実施することで,作業員等への被ばくが発生する。その為,線量管理等を適切に
実施することが必要。
7現場の状況を踏まえた方法等を検討する必要があり,
現場の状況により使用済燃料の取
り出し作業が遅れるリスクがある。
敷地内除染計画 ・敷地内被ばくリスク 敷地内の除染計画の策定・実施
敷地内の雰囲気線量を低減させることにより,作業被ばく
を低減させるとともに,ノーマスクエリア等を拡大し,作
業員の作業負担軽減を図る。
平成 30 年 5 月以降除染や舗装等の対
策により構内全体の 96%のエリアで一
般作業服と防塵マスク等の軽装備で
作業が可能
1対策を実施しない場合,敷地内の雰囲気線量が低減しない。
2被ばく抑制が目的であり,放射性物質の追加放出リスクは小さい。
3外部事象に対するリスクは小さい。
4時間的なリスクの変化はない。
5対象範囲が広範囲であること,
一部雰囲気線量が非常に高い所もあることから,
段階を
踏んで,計画的に実施していくことが必要。現在,その認識の基,比較的に効果が見込
めるエリアを選定し,作業を実施している。
6対策を実施することで,作業員等の被ばくが増加する。その為,線量管理等を適切に実
施することが必要。
7現場の線量に応じた除染方法を検討する必要がある。
添付資料-1
適切性確認の視点 1対策を実施しないリスク 2放射性物質の追加放出リスク 3外部事象に対するリスク 4時間的なリスクの増減 5実施時期の妥当性 6対策を実施するリスク 7対策を実施できないリスクI-2-4-添1-7
実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性(7/8)
ロードマップ関連項目 想定されるリスク リスク低減対策 目的 対応状況 個々の対策に対する適切性使用済燃料プールからの燃料取出計画1〜6号機
使用済燃料
プール
・冷却機能喪失リスク
1〜4号機使用済燃料プー
ル循環冷却設備の信頼性向
上対策
予備品の確保
SFP冷却については,
震災後設置した冷却設備等により継
続してプールの冷却・浄化等を実施している。昨年に設置し
た設備の故障等により,
冷却機能が一時停止する事象が発生
したため,
これらの再発を防止するため予備品の確保並びに
電源の多重化を行う。
平成 25 年 4 月対策完了
1電源停止等により冷却機能が一時的に喪失するリスクが低減しない。
2冷却機能が長期間喪失した場合の使用済燃料からの放射性物質の追加放出リスク
は大きい。
3外部事象に対するリスクは継続する。
4長期的には,
電気設備の経年的な劣化故障による重要負荷の電源喪失のリスクは増
加する。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7対策を実施できないリスクはない。
所内電源(M/C)多重化1,2 号機:平成 25 年 3 月
対策完了3,4 号機:平成 25 年 6 月
対策完了
1〜6号使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動1〜4号使用済燃料プールには約 3,000 体の燃料集合体が
保管 (1 号機:392 体,2 号機:615 体,3 号機:566 体,4
号機:1533 体)されており,これらの崩壊熱を除去するた
め,震災後に使用済燃料プール循環冷却系を設置してい
る。これら冷却設備については,震災直後に設置した設備
であるため,信頼性向上対策等を実施することで冷却機能
が継続できるよう対策を講じているが,これら機能が長時
間停止した場合,使用済燃料の崩壊熱により,最悪の場
合,使用済燃料が溶融し,大気へ放射性物質を放出する可
能性が考えられる。その為,使用済燃料をより信頼性の高
い冷却機能を有し,雰囲気線量が低く管理しやすい,共用
プールに移送し,保管・管理を実施する。
5,6号使用済燃料プールには約 3,000 体の燃料集合体が
保管 (5 号機:1,542 体,6 号機:1,654 体)されており,こ
れらの崩壊熱を除去するため,既存の燃料プール冷却浄化
系で冷却をしている。廃炉の決定を踏まえ,5,6号機使
用済燃料プールの使用済燃料においても,1,2号機の作
業に影響を与えない範囲で共用プールに移送していく。
1 号機:令和 9 年度〜令
和 10 年度燃料取り出し
開始
2 号機:令和 6 年度〜令
和 8 年度燃料取り出し開始3 号機:令和 3 年 2 月燃
料取り出し完了
4 号機:平成 26 年 12 月
燃料取り出し完了
5 号機:令和 6 年度より
燃料取り出し開始
6 号機:令和 4 年度より
燃料取り出し開始
1使用済燃料の冷却機能が長時間停止した場合,使用済燃料の崩壊熱により,最悪の
場合,使用済燃料が溶融し,大気へ放射性物質を放出するリスクは低減しない。
2冷却機能が長時間喪失した場合の使用済燃料からの放射性物質の追加放出リスク
は大きい。
3共用プールへ1〜6号機使用済燃料プールの使用済燃料を受け入れることにより,
使用済燃料プールでの地震,
津波等の外部事象の影響による冷却機能喪失時のリス
クが低減する。
4冷却設備の劣化より,リスクは経時的に増加する。一方,冷却機能を長期間継続す
ることで使用済燃料の崩壊エネルギーが減少していき,
仮に設備が停止しプールの
水温が上昇しても管理値に達するまでの時間は長くなる。
5使用済燃料を取り出すには,原子炉建屋上部の瓦礫等の撤去,燃料取り出し用カバ
ー,燃料取扱設備の設置等が必要であり,これらを事前に行う必要がある。これら
準備が整い次第,早期に行うことが必要である。
6使用済燃料を共用プール等へ移送させるため,
移送時の燃料落下防止対策等を講じ
る必要がある。また,高線量雰囲気であれば,除染等の作業等を行うことも検討す
る必要があり,作業員の被ばく管理等を適切に行う必要がある。
7瓦礫の影響や燃料ハンドルの変形等により取り出しが不可となった場合,
後工程の
燃料デブリ取り出し工程に影響を及ぼす可能性があることから,
これらの取扱方法
について検討している。
共用プール
・貯蔵容量の不足リスク 共用プールから仮保管設備への燃料移動
共用プールには保管容量6840本に対して,既に637
7本保管している。今後,使用済燃料プールから使用済燃
料を受け入れるため,十分に冷却が進んだ使用済燃料を乾
式キャスクに移し,共用プールの燃料受入容量を確保す
る。
平成 25 年 6 月以降順次実施1対策を実施しない場合,使用済燃料プールからの燃料移送が困難となり,使用済燃
料プールでの冷却機能喪失時におけるリスク等が低減されない。
2冷却機能が長期間喪失した場合の使用済燃料からの放射性物質の追加放出リスク
は大きい。
3乾式キャスクに移し,
高台の仮保管施設に移動することにより津波に対するリスク
が低減する。
4対策を実施しない場合,使用済燃料プールからの燃料移送が困難となり,使用済燃
料プールでの冷却機能喪失時におけるリスク等が低減されない。
5使用済燃料取り出しのために空き容量確保のため,計画的に実施する必要がある。
6キャスク移送時の燃料落下防止対策等を講じる。
7従前より実績のある取扱作業であるが,
共用プール内の燃料払い出し作業と受け入
れ作業の輻輳による遅延が発生しないよう工程管理を検討する必要がある。
・被災したキャスクの腐食等の
リスク
キャスク保管建屋から共用プールへのキャスク移動
キャスク保管建屋には,震災前から保管している乾式燃料
キャスクがあり,震災の影響により海水等を被っており,
腐食等の影響が懸念される。また,パトロール時の線量,
温度測定で異常の無いことを確認しているものの,常用の
監視系は使用できない状況である。その為,これらキャス
クを共用プールに移送し,キャスク本体の健全性を確認す
る。
平成 25 年 5 月完了
1対策を実施しない場合,
密封機能の健全性等,
懸念材料が払拭されないこととなる。
2乾式燃料キャスク内には既に使用済燃料(キャスク9基内に合計408本)を保管
しており,キャスクの密封機能等の健全性が確認・維持されなければ,保管した使
用済燃料からの放射性物質放出の抑制機能が確認できない。
3再度津波等が発生した場合,キャスク保管建屋に海水等が浸水し,キャスクの密封
機能等の健全性に影響を与える可能性がある。
4腐食等の進展によりキャスクの密封機能等の健全性が損なわれる可能性がある。
5キャスクをキャスク保管建屋から移送するための準備,
受入側の共用プールの準備
ができ次第,これら復旧作業を順次実施する計画である。
6キャスクを移送するにあたっては,移送時のキャスク落下防止対策等を講じる。
7監視について検討する必要がある。
・冷却機能喪失リスク 共用プール M/C 設置
共用プールの電源設備について,M/C(A)(B)を復
旧することで,信頼性を向上させ,冷却機能維持に努め
る。
平成 25 年 9 月設置完了
1電源停止等により冷却機能が一時的に喪失するリスクが低減しない。
2冷却機能が長期間喪失した場合の使用済燃料からの放射性物質の追加放出リスク
は大きい。
3外部事象に対するリスクは継続する。
4長期的には,電気設備の経年的な劣化故障による重要負荷の電源喪失のリスクは
増加する。
5可能な限り早期に実施することが望ましく,既に実施している。
6対策を実施するリスクは小さい。
7対策を実施できないリスクはない。
添付資料-1
適切性確認の視点 1対策を実施しないリスク 2放射性物質の追加放出リスク 3外部事象に対するリスク 4時間的なリスクの増減 5実施時期の妥当性 6対策を実施するリスク 7対策を実施できないリスクI-2-4-添1-8
実施を計画しているリスク低減対策ならびに適切性(8/8)
ロードマップ関連項目 想定されるリスク リスク低減対策 目的 対応状況 個々の対策に対する適切性
原子炉施設の
解体・放射性廃棄
物処理・処分に向
けた計画
放射性廃棄物
処理・処分に
向けた計画
・廃棄物保管容量の
不足リスク
雑固体廃棄物焼却設備の設置
敷地内で発生した放射性固体廃棄物等を焼却,減容するた
め焼却設備を設置する。
平成 28 年 3 月運用開始
1対策を実施しない場合,保管する放射性固体廃棄物等が増加するとともに,保管・
管理に係る業務が継続する。
2放射性固体廃棄物等が増加するが,放射性物質の追加放出リスクは小さい。
3保管物が火災等の外部事象によって,飛散する可能性がある。
4対策を実施しなかった場合,放射性固体廃棄物等の保管リスクは時間的に増加す
る。
5対策には建屋の建設から必要であり,長期にわたって時間を必要とする。現在既に
設計に入っており,H26 年度下期供用開始に向け,作業を進めている。
6放射性固体廃棄物等を焼却することから,
大気へ放射性物質を放出する可能性があ
る。その為,適切な処理設備を設置するとともに,放出管理も併せて実施し,敷地
外への影響がないことを確認する。
7対策を実施できない場合は継続的に保管エリアを確保する必要がある。
その他
火災対策
・発電所周辺・所内火災の延焼
リスク
防火帯の形成・維持
発電所内火災対策の策定・実施
発電所周辺大規模火災から発電所重要設備の防護のため,
防火帯を形成するともに,発電所内火災から重要設備の防
護・延焼防止のため対策を策定・実施する。
防火帯の形成は実施済
今後も継続的に維持を行う火災対策について,今後
も継続的に実施する
1発電所敷地内外で大規模火災が発生した場合に,設備の機能喪失ならびに放射性
物質の舞い上がりが発生する可能性がある。
2大規模火災によって放射性物質の追加放出リスクがある。
3対策を実施することで大規模火災等の外部事象に対し,リスクを低減することが
できる。
4リスクは時間的に変化しない。
5計画的に実施していく必要がある。
6防火帯の形成のために新たな森林の伐採が必要となり,保管エリアの確保・伐採
木の自然発火に対する対策が必要となる。
7現場の状況に応じた対策(カメラによる監視・火報の設置・巡視等)を検討・実
施し,火災の早期検知に努めるとともに迅速な初期消火を行える体制を構築する
必要がある。
敷地の確保に
向けた計画
・特定原子力施設の全体工程達
成及びリスクマップに沿ったリ
スク低減のための施設建設用の
敷地の不足リスク
ALPS 処理水希釈放出設備及び関連施設の設置
特定原子力施設の全体工程達成及びリスクマップに沿った
リスク低減のため,今後新たな施設(燃料デブリ保管施設
等)を建設する必要がある。施設建設用の敷地を確保する
ため,ALPS 処理水等の貯蔵量を低減し中低濃度タンクを解
体できるよう,汚染水発生量以上の量の ALPS 処理水を海洋
へ放出できる設計及び運用とした ALPS 処理水希釈放出設備
及び関連施設を設置する。
令和 5 年 4 月中頃使用前
検査完了予定
1対策を実施しない場合,廃炉作業に必要な施設の設置のための施設が確保出来ず,
全体工程の達成及びリスクマップに沿ったリスク低減が実施されない。
2海洋放出前の ALPS 処理水等の貯蔵が継続するが,溶接タンクでの保管や中低濃度
タンクエリアへの堰の設置により,
放射性物質の追加放出リスクは海洋放出前とほ
とんど変わらない。
3対策を実施することにより,外部事象により,中低濃度タンクに貯留している汚染
水,ALPS 処理水の系外漏えいが発生するリスクを低減することができる。
4ALPS 処理水等の貯蔵量が増加し,中低濃度タンクの保守管理が継続することによ
り,廃炉作業に必要な施設建設用の敷地の確保に加えて,燃料デブリの取り出し等
といった相対的に高いリスクの低減に活用出来るリソースの確保等にも影響を与
える。5「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設
備等処理水の処分に関する基本方針」に沿った時期となっている。
6ALPS 処理水を海洋放出することから,告示濃度限度比 1 以上のトリチウムを放出
することとなる。測定・確認用設備での濃度確認,100 倍以上の希釈,希釈後のト
リチウム放出量 1,500Bq/L 未満,年間トリチウム放出量 22 兆 Bq/年未満とする設
計・運用により,環境への影響を抑制する。また,溶接タンクの解体・撤去方法の
確立や発生する固体廃棄物の保管管理が必要となる。
7長期にわたって ALPS 処理水の安定的な海洋放出が必要とされることから,その供
用期間中に想定される機器の故障等を考慮した設計及び運用とする。
特定原子力施設の全体工程達成及びリスクマップに沿
ったリスク低減のための施設建設用に向けた,実施計画
上必要な機能を有しない設備・機器(震災前から設置さ
れている設備・機器を含む)の解体撤去(以降,解体撤去)解体撤去は,福島第一原子力発電所全体のリスク低減対策
を行うにあたり,今後の廃炉作業に必要な施設や設備の設
置エリアの確保や廃炉作業に係る作業干渉の未然防止の
為,安全確保を最優先に且つ遅滞なく実施する。
継続的に実施する
1対策を実施しない場合,
今後の廃炉作業に必要な施設や設備の設置エリアが確保出
来ず,全体工程達成及びリスクマップに沿ったリスク低減が実施されない。
2対策を実施することにより,追加放出リスクを低減することができる。
3対策を実施することにより,外部事象に対するリスクを低減することができる。
4対策を実施することにより,廃炉作業に係る作業干渉の未然防止に繋がり,作業干
渉による一時的な作業中断や工程遅延が発生するリスクを低減することができる。
5既に実施している。
6稼働中の周辺設備に影響を与えないことを図面および現場調査にて確認を行った
うえで実施する。
7現場の状況を踏まえた方法等を検討する必要がある。

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