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【12】 福島第一原子力発電所2号機格納容器ベント、代替注水の迅速性
[報告書本編 8.2(2) 福島第一2号機の注水に関する対応状況8.2
(3) 福島第一2号機の格納容器ベントに関する対応状況]
福島第一原子力発電所2号機では、発災直後から、RCIC(原子炉隔離時冷却
系)が稼働を続け、注水が継続されていた。
その際、並行して準備した格納容器ベントや代替注水は、迅速、的確になされて
いたのかを知るため、現時点での確認事実について以下に示す。
【格納容器ベントの確認事実】
○しろまる 3月12日1時30分頃、1号機及び2号機の格納容器ベントの実施について、
内閣総理大臣、経済産業大臣及び原子力安全・保安院に申し入れ、了解を得た。
○しろまる 3月12日2時55分、原子炉建屋内の現場にてRCIC吐出圧力を確認した
ことから、RCICが作動していると判断し、1号機の格納容器ベント操作を優
先して対応を進めることとなり、2号機はパラメータの監視を継続することとし
た。
○しろまる 1号機格納容器ベント操作、原子炉注水作業に注力する中、1号機原子炉建屋
で12日15時36分頃水素爆発が発生。
再度、
原子炉注水ラインの構成を行い、
19時頃原子炉注水再開。
○しろまる 3月12日17時30分、2号機はRCICによる原子炉への注水を継続し、
格納容器圧力は約200〜300kPa[abs]と安定していたが、いずれ格納容
器ベントが必要となることが予想されたことから、発電所長(発電所緊急時対策
本部長)は2号機の格納容器ベント操作の準備を開始するよう指示した。
○しろまる なお、1号機での格納容器ベント実施にむけて具体的な準備が開始された際、
2号機についてもアクシデントマネジメント操作手順書や弁の図面、配管計装線
図等で操作内容や手順の具体的確認を既に開始していた。
○しろまる 3月13日8時10分、手順書に記載された手順の通り格納容器ベントライン
の電動機駆動の弁(MO弁)を手動操作に切り替えて25%開とした。
○しろまる 3月13日10時15分、発電所長は、2号機格納容器ベント操作を実施する
よう指示した。同日11時00分、圧力抑制室からのベントラインにある空気で
作動する弁(AO弁(大弁)
)を開くため、中央制御室仮設照明用小型発電機か
らの電源を用いてAO弁の駆動用空気の配管に設けられている電磁弁を強制的
に励磁させ開操作を実施した。これにより、一定の圧力が加わると貫通する閉止
板(ラプチャーディスク)が作動すれば格納容器の圧力が大気に開放されるベン
トラインの構成が完了(ラプチャーディスクの開放待ちの状態)した。
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○しろまる この時、格納容器圧力はラプチャーディスクが作動する圧力(427kPa
[gage])よりも低く、ベントされない状態であることから、格納容器ベントライ
ンを構成する弁の開状態を保持し、格納容器圧力の監視を継続した。
○しろまる 3月14日11時01分、3号機原子炉建屋において爆発が発生し、中央制御
室運転員を除く作業員は、すべての作業を中断して免震重要棟へ一旦退避した。
作業員の安否確認や現場の状況把握、安全確認のため、しばらく復旧に着手でき
なくなった。格納容器圧力は、約450kPa[abs](約350kPa[gage])と
ラプチャーディスクが作動する圧力を下回った状態で安定的に推移した。
○しろまる 圧力抑制室からのベントラインにあるAO弁(大弁)については、3号機原子
炉建屋爆発の影響により電磁弁励磁用回路が外れたため、閉となった。3号機爆
発後の退避指示解除の後、3月14日16時頃から再度AO弁の開操作を実施し
たが、
16時20分頃、
仮設空気圧縮機からの弁駆動用空気の供給が十分でなく、
開操作ができなかった。
○しろまる 格納容器圧力に低下が見られないことから、3月14日18時35分頃、圧力
抑制室からのベントラインにあるAO弁(大弁)だけでなく、同じく圧力抑制室
からのベントラインにあり、並列して設置されているAO弁(小弁)を対象とし
て格納容器ベントラインの復旧作業を継続した。
(圧力抑制室からのベント弁(AO弁)大弁は、仮設空気圧縮機からの空気が十分でなく、開操作ができないもの
と思われたが、電磁弁の不具合により開不能になったと推定した。)○しろまる 3月14日21時頃、圧力抑制室からのベントラインにあるAO弁(小弁)を
開動作させ、ラプチャーディスクを除くベントライン構成が完了(ラプチャーデ
ィスクの開放待ちの状態)した。
○しろまる 格納容器の圧力については、通常ドライウェルと圧力抑制室の圧力はほぼ同じ
ような圧力で推移するが、ドライウェル側の圧力は上昇傾向にある一方、圧力抑
制室側の圧力は約300〜400kPa[abs]で安定し、圧力が均一化されない
状況が発生した。圧力抑制室側の圧力がラプチャーディスク作動圧力よりも低く、
ドライウェル側の圧力が上昇していることから、3月14日23時35分頃、ド
ライウェルからのベントラインにあるAO弁(小弁)を開けることによりベント
を実施する方針を決定した。
○しろまる 3月15日0時02分頃、ドライウェルからのベントラインにあるAO弁(小
弁)の開操作を実施し、ラプチャーディスクを除くベントライン構成が完了した
と思われたが、
数分後にはドライウェルからのベントラインにあるAO弁
(小弁)
が閉状態であることを確認した。結果として、ベントの成否(ラプチャーディス
ク開放の有無)は確認出来ていない。
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【代替注水の確認事実】
○しろまる 3月11日15時39分、RCICを手動起動。
○しろまる 同日16時36分、原子炉水位が確認出来ず、注水状況が不明なため、原災法
第15条第1項の規定に基づく特定事象(非常用炉心冷却装置注水不能)が発生
と判断した。
○しろまる 同日17時12分、発電所長(発電所緊急時対策本部長)は原子炉への注水を
確保するため、アクシデントマネジメント策として設置された代替注水手段(消
火系、復水補給水系、残留熱除去系)及び消防車を使用した原子炉への代替注水
について検討するよう指示した。
○しろまる 検討の結果、残留熱除去系を経由した代替注水ラインを構成することとした。
しかし、電源が使用できる状態であれば、中央制御室からの操作によりラインを
構成できるが、電源が喪失した状態では、中央制御室からの操作ができなかった
ため、照明が消えた暗闇の状況で、原子炉建屋及びタービン建屋にて残留熱除去
系などの弁を手動で開け、原子炉圧力の減圧後(0.69MPa)も注水が可能な系統
構成とした。
○しろまる 同日21時50分、計器類の復旧作業の結果、原子炉水位が有効燃料頂部から
3400mm 上方(TAF+3400mm)にあると判明した。
○しろまる 3月12日2時55分、発電所対策本部は、現場確認を実施した中央制御室か
らの報告を受け、RCICが作動していると判断し、パラメータの監視及びRC
ICの運転状態の確認を継続することとした。
○しろまる 3月13日12時05分、発電所長(発電所緊急時対策本部長)はRCICの
停止に備え、原子炉への海水注入の準備を開始するよう指示を出した。3号機逆
洗弁ピットを水源とした注水ライン系統構成を進め、消防車を配置してホースの
敷設を実施した。
○しろまる 3月14日11時01分、3号機原子炉建屋の爆発により、中央制御室運転員
を除く作業員は、すべての作業を中断して免震重要棟へ退避した。また、準備が
完了していた海水注入ラインについては、消防車及びホースが破損して使用不可
能となった。
○しろまる 同日13時05分から現場の状況確認をするとともに、瓦礫の散乱状況から、
水源は3号機逆洗弁ピットからではなく、物揚場から直接海水を採水し原子炉へ
注入することに変更した。
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○しろまる 原子炉の水位が低下していたため、RCICの機能が喪失した可能性があるこ
とから、3月14日13時25分に原災法第15条該当事象(原子炉冷却機能喪
失)と判断した。原子炉への海水注入の準備作業を進め、同日14時43分に消
防車のFPへの接続が完了した。
○しろまる 発電所対策本部は、消防車による注水のためには、SRV(主蒸気逃がし安全
弁)を手動で開操作することによる原子炉圧力の減圧が必要であったが、圧力抑
制室の温度・圧力が高く、圧力抑制室で蒸気が凝縮せず減圧しにくい可能性があ
ったことから、原子炉への海水注入と圧力抑制室からのベントの準備をしてから
SRVを手動で開けて原子炉を減圧し、海水注入を行うこととしていた。
○しろまる しかしながら、3月14日16時20分頃、ベント弁の手動開操作実施まで時
間がかかる見通しとなったことから、発電所長は、SRVによる原子炉の減圧を
優先することとし、圧力抑制室からのベントの実施についても並行して実施する
よう指示した。
○しろまる 同日16時30分頃、消防車を起動し、原子炉減圧時に海水の注水が開始でき
るよう準備を行った。
同日16時34分、
原子炉の減圧操作を開始するとともに、
消火系ラインから海水の注入を開始することとした。
○しろまる バッテリー電圧が不足していたためかSRVは開せず、複数のSRVの開操作
を試みる対応を継続した。
○しろまる 同日18時00分頃、SRVによる原子炉減圧が開始されたが、圧力抑制室温
度、圧力が高く、凝縮しにくい状況であったため、減圧されるまでに時間を要し
た。
○しろまる 現場の放射線量が高く、消防車の運転状態の確認等の現場での監視を続けるこ
とができず、交代での作業を余儀なくされていたところ、3月14日19時20
分、原子炉への海水注入のために待機していた消防車が燃料切れで停止していた
ことを確認した。
○しろまる 同日19時54分、消防車(19時54分、19時57分に各1台起動)によ
る消火系ラインから原子炉内へ海水注入が開始された。
以 上