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【4】 マークI格納容器のこれまでの課題と改善策について
福島第一原子力発電所の事故以来,マークI格納容器に問題があり、事故原因
であるかのような指摘がなされている。確かに、過去、問題が摘示されたのは事
実であり、これを受け様々な対応がなされている。その対応等に関する確認事実
を、以下に記す。
【確認事実】
しろまる格納容器の容積:マークI格納容器は小さく、配管破断で蒸気が格納容器の中
に噴き出すと、圧力上昇が早く問題が起きやすいとの指摘
・ BWR では、配管破断時等に格納容器内に放出される蒸気を、圧力抑制室の
水プールをくぐらせ凝縮させることで、圧力の上昇を抑制する圧力抑制型
の格納容器を採用しており、そのこと自体は問題ではない。
・ 格納容器はマークI、マークIIのいずれも圧力抑制型で出力が大きくなる
と格納容器体積を大きくする設計である。
・ 相対的な大きさを比較するのに適切な指標として体積-出力比をみると、
マークIとマークIIはほぼ同等であり、マークIが特別小さいということ
はない。
表:格納容器体積-原子炉出力比)
炉 1F-1 1F-2〜5
1F-6,2F-12F-2〜4 KK-6/7(参考)
格納容器 マークI マークI マークII マークII改 RCCV
体積-出力比(注記)1,(注記)2
約 4.4 約 3.1 約 3.0 約 4.3 約 3.4
(注記)1 格納容器体積[m3]/原子炉熱出力[MWt]の値
(注記)2 原子炉熱出力は,設置許可申請書本文より。格納容器体積は,設置許可申請書添付
書類八のドライウェル体積(ベント管含む)とサプレッションチェンバ空間部体積の和。
しろまるマークI格納容器の性能改善(ベント)
・ 米国規制当局(NRC)からマークI格納容器に耐圧強化ベントを設ける
ことで炉心損傷のリスクを低減するのに効果的であるとされた。日本でも、
確率論的安全評価により耐圧強化ベントの炉心損傷防止や影響緩和への効
果の確認や具体的設備の成立性等を検討し、マークII格納容器等も含め、
耐圧強化ベントを設置している。
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しろまる事故時に圧力抑制室に加わる荷重(原子炉の蒸気が減圧のために圧力抑制室に
噴き出される時に、それまで考慮しなかった力が加わる等の指摘)
・ 米国において、マークIII格納容器の開発段階で,配管破断等の際に発生す
る高圧の蒸気が圧力抑制室に移動する際に発生する荷重が問題となり必要
な対策(動荷重の発生を緩和する設備:
(蒸気を一方向ではなく、四方に均
等に噴き出す設備(クエンチャ)の設置等)が講じられた。
・ 日本でも米国の対策を踏まえ同様な対策を実施。荷重に対する検討につい
ては、原子力安全委員会の指針「BWR. MarkI型格納容器圧力抑制系に加わ
る動荷重の評価指針」としてまとめられている。
(マークIIについても同様
の指針を整理している)
しろまる事故時に発生する水素による格納容器内での爆発対策(マークIの格納容器は小
さく、格納容器内で水素爆発の濃度に達し易いとの指摘)
・ 格納容器内に窒素を封入し、酸素濃度を一定値以下で管理することで、水
素が大量発生したとしても格納容器内で、燃焼や爆発が発生しないように
している。
・ 原子炉建屋内に可燃性ガス濃度制御系(FCS)を設けて、事故後の格納
容器内の水素・酸素濃度を抑制するため、加熱し再結合させる設計として
いる。

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