しかく福島第一原子力発電所の現在2011年3月の福島第一原子力発電所の事故以降、東京電力ホールディングス株式会社は、放射性物質によるリスクから、地域の皆さまや作業員の方々、周辺環境等の安全を守るためのリスク低減活動として、廃炉作業を計画的に進めております。発電所の作業環境は、放射性物質の除去や汚染水の浄化等が進んだことで、事故当時から大幅に改善しており、現在は、発電所構内のおよそ96%のエリアで一般作業服での作業が可能になりました。しかく廃炉作業の一環である汚染水対策1〜3号機の原子炉建屋には、燃料などが溶けて固まった「燃料デブリ」が存在しており、現在も水を循環させて冷却しています。その水が燃料デブリに触れ、高濃度の放射性物質を含む「汚染水」になります。さらに原子炉建屋内に地下水や雨水が流れ込んでおり、それらが混ざり合うことでも発生します。そこで、東京電力は、汚染水対策の3つの基本方針に基づき、様々な対策を施しています。1つ目が「汚染源に水を近づけない」こと。建屋の周囲に設置した凍土壁や建屋周辺の井戸からの地下水のくみ上げなどの様々な対策を講じ、原子炉建屋へ流れ込む地下水の量を抑えたことで、14年5月の時点で540m3/日だった汚染水の発生量は、21年度平均で130m3/日まで減少しました。今後もさらに対策を進め、25年内には100m3/日以下に抑制することを目指します。2つ目が「汚染水を漏らさない」こと。建屋から外に汚染水が漏れないように建屋周辺の地下水位を建屋内の水位よりも高く保ち続けています。また、放射性物質の海への流出を防ぐ鋼鉄製の遮水壁を海側に設けています。3つ目が「汚染源を取り除く」こと。汚染水に含まれるトリチウム以外の放射性物質を多核種除去設備(AアルプスLPS)等で国の規制基準を満たすまで取り除きます。浄化処理した水は、漏えいリスクの低い溶接型のタンクに保管しています。
しかくALPS処理水の海洋放出に関する安全性・透明性の確保「ALPS処理水」は、処理前の水針を決定しました。トリチウムは、宇宙から降り注ぐ宇宙線によって常に生成され、自然界にも広く存在する放射性物質です。雨水や河川、飲料水にも含まれており、私たち人間の体の中にも常に存在します。また、トリチウムは原子力施設の稼働によっても発生しており、これまでも国内外の原子力施設から、健康への影響がないように国際的な基準を満たされた上で放出されています。トリチウムが放出する放射線(ベータ線)のエネルギーは非常に弱く、皮膚を通れないため、体外にあるトリチウムからの人体への影響はほとんどないとされています。またトリチウムは酸素と結びつくことで「トリチウム水」となりますが、トリチウム水を体内に取り込んだ場合は水と同じように体外に排出され、これまで国内外の研究において、人体への影響は、他の放射性物質と比べても低いとされています。東京電力は、政府の基本方針を踏まえ、ALPS処理水の海洋放出にあたっては、トリチウム以外の放射性物質を国の規制基準を確実に下回るまで、何回も浄化処理します。一方、ALPSでは除去できないトリチウムは、国の規制基準や世界保健機関(WHO)の飲料水の水質基準濃度(10000ベクレル/リットル)を大幅に下回る1500ベクレル/リットル未満になるよう海水で薄め、また、年間の放出量は事故前と同じ22兆ベクレル未満を遵守します。また、放出前のALPS処理水の測定を第三者も含めて行うとともに、海洋のモニタリングも強化して実施します。さらに国際原子力機関(IAEA)にもALPS処理水の海洋放出の安全性を確認いただき、IAEAは、実際にALPS処理水や海洋環境の分析もおこなっています。このように幾重もの安全を確保する管理体制を敷いています。東京電力のALPS処理水の海洋放出に関する取組みや測定データはWebサイトでも公開していますので、ぜひご覧ください(下記URL参照)。しかく様々な機会を通じて情報発信してまいります東京電力は、広く社会の皆さまに、ALPS処理水の海洋放出についてご理解を深めていただきたいと思っております。そのために、科学的な根拠に基づく情報を国内外に分かりやすく発信していきます。そして様々な機会をとらえて皆さまのご懸念やご意見をお伺いし、東京電力の考え方や対応について説明を尽くします。これからも、廃炉に向けて全力で取り組んでいく所存です。
東京電力ホールディングス株式会社
福島第一廃炉推進カンパニー
〒 979-1301 福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原 22
廃炉に関する情報はこちらをご覧ください
廃炉プロジェクト
https://www.tepco.co.jp/decommission
福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策
皆さまのご意見をお聞かせください
https://www.tepco.co.jp/decommission/voice.html福島第一原子力発電所廃炉の現状と取組み現在、東京電力ホールディングス株式会社は、福島第一原子力発電所の放射性物質によるリスクを継続的に低減する取組みとして、廃炉作業を計画的に進めております
。「復興と廃炉の両立」を含めた事故の責任を貫徹するべく、廃炉・汚染水・処理水対策を安全かつ着実に進め、復興に全力を尽くしてまいります。ベクレル/リッ
トル未満
ベクレル/
リッ
トル
ベクレル/リッ
トル
(注記)放出口における濃度の水を、生まれてから 70 歳になるまで毎日約 2 リットル飲み続けた場合に、
平均の線量率が 1 年あたり 1ミリシーベルトに達する濃度
トリチウム濃度の比較
経済産業省 資源エネルギー庁
「廃炉の大切な話 2022」より
カナダ
ダーリントン
原子力発電所
約 220 兆ベクレル
2018 年
中国
秦山第三
原子力発電所
約 124 兆ベクレル
2019 年
イギリス
ヘイシャム B
原子力発電所
約 396 兆ベクレル
2019 年
フランス
トリカスタン
原子力発電所
約 35 兆ベクレル
2018 年
韓国
古里
原子力発電所
約 91 兆ベクレル
2019 年
日本
福島第一原子力発電所
ALPS 処理水処分時の放出量
22 兆ベクレル未満
世界各国の原子力施設からの
トリチウムの年間放出量(液体放出)に含まれるトリチウム以外の放射性物質を、ALPS等の複数の浄化装置を通すことで環境放出する場合の国の規制基準を満たすまで取り除いた水です。トリチウム(三重水素)は、酸素と結びつき水と同じ形で存在するため取り除くことが難しく、敷地内に保管しています。現在、ALPS処理水等を保管するタンクは敷地内に1000基を超え、今後、使用済燃料や燃料デブリの取り出し等、廃炉の根幹となる作業を進めるための敷地の確保に支障が生じかねない状況にあります。ALPS処理水の処分については、約6年にわたる議論がなされ、政府は21年4月にALPS処理水を海洋放出する方燃料
取り出し1燃料デブリ
取り出し2汚染水・処理水
対策3廃棄物の処理・処分 /
原子炉施設の解体4廃炉作業の取り組み
3 つの基本方針に基づく主な対策事例
1000基
以上
汚染水・処理水
対策
高濃度の放射性物質を含んだ
水のリスクを低減させる
燃料や建造物等が溶けて
固まった燃料デブリを
取り出す浄化処理
フランジ型から
溶接型のタンク
へ変更
地中に凍土壁を
設置
鉄鋼製の遮水壁
(海側)
を設置トリチウム
(三重
水素)
以外の大半
を浄化
経済産業省 資源エネルギー庁
「廃炉の大切な話 2022」より
ALPS 処理水に関する情報はこちらをご覧ください
処理水ポータルサイト
https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/
watertreatment
貯蔵タンクエリア
原子炉建屋
上部透水層
難透水層
下部透水層
難透水層
多核種除去設備(ALPS)
イメージ
イメージ
汚染水を
漏らさない
汚染水を
漏らさない
汚染源に
水を
近づけない
汚染源を
取り除く
出典:
英国:Radioactivity in Food and the Environment,2019 カナダ:Canadian National Report for the Convention on Nuclear Safety
フランス:トリチウム白書 その他の国・地域:電力事業者の報告書より作成

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