我が国の水道事業は、今日ではその普及率が97%を超え、住民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできない重要なライフラインとなっている。
水道事業の経営は、平成28年度決算において約90%の事業が経常利益を生じているなど、全体としては黒字基調である。
しかしながら、今日の水道事業は、人口減少等に伴う料金収入の減少のほか、高度成長期に整備した施設の老朽化に伴う大量更新、耐震化、資産規模の適正化、技術の継承(人材の育成)と新技術の導入などが経営上の課題である。また、黒字であるものの、既に更新投資が過小と見られる(有形固定資産減価償却率や管路経年化率が高い、管路更新率が低い)事業や、将来に向けた更新投資に係る対策が十分でないと考えられる(将来に備えた財源が十分に確保されていない)事業も見られる。
こうした課題に適切に対応していくためには、将来にわたって安定的に事業を継続するための中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定するとともに、広域化等や更なる民間活用といった抜本的な改革を検討する必要がある。
このような中で、総務省においては、事業の経営状況を客観的に捉え、類似団体との比較を行うための統計資料として、「水道事業経営指標」を作成しているところである。
本指標は、平成28年度地方公営企業決算状況調査を基礎とし、営業中の上水道事業(末端給水事業)について、現在給水人口、主たる水源及び有収水量密度の区分により、類似するグループごとに分類し、収益性、資産・財務状況、効率性・生産性等の多様な観点から分析したものである。
本指標を、経営戦略の策定や抜本的な改革を検討する上での基本的な資料として積極的に活用され、将来にわたって安定的に事業を継続するための経営の健全性確保の一助としていただければ幸いである。
平成30年3月