1 趣旨



1.経営指標の意義

工業用水道事業の経営状況は、設置された目的や地理的条件により様々である。また、会計としては各団体に1つとなっているが、複数の施設を有する場合には、会計全体(団体別)と施設別と2つの視点からの分析が必要となる。
本書は、まず施設ごとの分析と団体ごとの分析とに大別している。その上で、施設ごとの分析については現在配水能力規模、水源及び給水開始年度による分類を行い、類型ごとに平均値を示した。また、団体ごとの分析では現在配水能力規模による分類を行い、同様に示した。
経営指標を用いた分析を行うにあたっては、現在配水能力規模区分、水源区分及び供用開始年度別区分により細分化された比較対象の数値を参考としていただきたい。
本書では資産、職員、費用、繰入金等、計9項目に関する経営指標について、以下の構成で取りまとめている。
・「2算出式」及び「3利用方法」では、各指標の計算式や見方を示した。
・「4現在配水能力規模別累年比較」では、各指標の過去3カ年の平均値を現在配水能力規模別に示した。
・「5類型別事業数」では事業数を、「6データ一覧」では各類型における指標の平均値を示した。
・「7施設別・団体別類型一覧表」では、各事業体の類型一覧を示した。


2.分類区分とその考え方
地方公営企業決算状況調査では、施設概要項目と損益計算書項目を施設別で、貸借対照表項目を団体別で調査を行っている。令和元年度末時点で決算状況調査の対象となっている事業について、「施設別」は次の(1)〜(3)、「団体別」は(1)によりそれぞれ分類区分を行う。

(1) 現在配水能力規模(施設別、団体別)
各施設または団体を現在配水能力規模別で区分し大分類とした。現在配水能力は、当該年度中における1日あたりの平均配水量(m3)であり、施設または団体の規模を示す。
  [現在配水能力規模別区分]
 1.現在配水能力200,000m3/日以上 ・・・・・・・(大規模)
 2.同50,000m3/日以上200,000m3/日未満 ・・(中規模)
 3.同10,000m3/日以上50,000m3/日未満 ・・・(小規模)
 4.同10,000m3/日未満 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(極小規模)
(2) 水源(施設別のみ)
各施設を水源別で区分し中分類とした。各施設の資本費の水準に影響を与える主な要因の一つである。
[水源別区分]
1.表流水、伏流水、湖沼水のみを水源とする事業
2.地下水のみを水源とする事業
3.ダム・せき等の水源施設を有する事業
4.その他(表流水と地下水の組み合わせ、下水処理水等)を水源とする事業

(3) 供用開始年度別(施設別のみ)
各施設を供用開始年度により区分し小分類とした。昭和50年度前後を境に建設単価の増嵩が著しく、供用開始後の各施設の減価償却費の水準に影響を与える主な要因の一つである。
[供用開始年度別区分]
1.昭和50年度以前の事業
2.昭和51年度以降の事業
   (注記)「一部供用開始」または「全部供用開始」については以下のとおり分類する。
    「一部供用開始年度」 「全部供用開始年度」 「供用開始年度区分」
    昭和50年度以前   昭和50年度以前 → 昭和50年度以前
    昭和50年度以前   昭和51年度以降 → 昭和51年度以降
    昭和51年度以降   昭和51年度以降 → 昭和51年度以降
    昭和50年度以前   なし    → 昭和50年度以前
    なし     昭和50年度以前 → 昭和50年度以前
    昭和51年度以降   なし    → 昭和51年度以降
    なし     昭和51年度以降 → 昭和51年度以降

3.本書の活用方法
以下の類型区分一覧表のとおり、「2.分類区分とその考え方」における(1)〜(3)の分類区分の組み合わせに基づき、施設別区分はA1〜d4 に32分類し、団体別区分は?T〜?Wに4分類している。各施設や団体について、「7施設別・団体別類型一覧表」から該当する類型区分を確認の上「6データ一覧」に掲載した数値と比較されたい。
なお、地方公営企業や工業用水道事業の決算概要については『地方公営企業決算の概況』を、個別の施設や団体の決算数値については『地方公営企業年鑑』を、併せて活用していただきたい。

類型区分一覧表



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令和元年度工業用水道事業経営指標

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